木津明子のこども食堂日記vol.8
JR根岸線、横浜駅から約20分の洋光台駅。駅前のまちまどレンタルスペースの中に、「こども食堂レインボー」はあります。オープンは月に2日。昼ごはん30食、夜ごはん30食。
ずらりと並ぶカラフルなお惣菜、お魚とお肉のメインディッシュのワンプレートごはん。日によってメニューは変わりますが、家庭的で親しみやすく、栄養価の高い食事をいただくことができます。広めの廊下では子ども達が指揮をとって、わたあめやかき氷など食後のちょっとしたおやつを作ったりしています。
2021年8月に「こども食堂レインボー」は開店しました。店主は『otona MUSE』はもちろん、モード雑誌からタレントのスタイリングまで幅広く活躍しているスタイリスト木津明子さん。売れっ子スタイリストである彼女がなぜ、こども食堂をやってみようと決心したのか。vol.1では、開業に至るまでの過程を木津さんからお話しいただきました。vol.2から、こども食堂へお手伝いに行っている編集・ライター 柿本真希が「こども食堂レインボー」を様々な角度からお伝えしていくことになりました。
8回目の今回は、「こども食堂レインボー」の1周年を機に、主宰である木津さんと1年を振り返ります。
「こども食堂レインボー」1年を振り返って
子どもを産んで育てていきながら、だんだん親も育っていくように、こども食堂を始めて1年、だんだんこども食堂のおばさんになってきています(笑)。この1年は「こども食堂レインボー」にとっても私たち家族にとっても、ひとりひとりが成長できた大きな変化の1年でした。
仕事ばかりしてきた私は、そもそも仕事仲間のママ達以外にはママ友があまりいなかったのですが、食堂を通して多くの子ども、ママ達に出会いました。
食堂の目の前にはちょっとした広場や公園があり、食堂の日は息子(小1)はいつもそこで遊んでいます。
バタバタと働いている私は、息子を見失うこともしばしば。そんな時もだいたいいつも食堂に来ているママ達が見守ってくれています。
虫を食堂の中に持ってこようとする息子に、大人のスタッフがなぜ食堂に虫を連れてきたらダメなのかを説明してくれたり、食堂にいる間はみんなで子育てをしているような気持ちになります。大きな声で叫びたい! ありがとう!!
今まで知らなかったママ達、食堂のスタッフが私の中で子育ての大事な味方になってくれているなと思う。
娘(小6)はもともとシャイで、知らない人と話すのが苦手だったり、お出かけより家で絵を描くことが好きな女の子。けれど彼女は食堂が始まってから毎回欠かさず手伝いに来てくれます。食堂のルールである「近所の人達にもあいさつをする」も積極的にしたり、小さい子に「食べられない食べ物ある?」と聞いていたり、お母さんもびっくりな成長をとげております。
学校であったSDGsのスピーチコンテストでは「幼児虐待をなくす」というテーマで食堂のことにも触れながら頑張っていました。成長した彼女らしい正義をこれからも見守っていきたいと思います。がんばれ12歳!!
息子(小1)は恐竜をこよなく愛する男の子。4足歩行で家を走り回り、保育園では先生達に「癒し系」と言われていた彼も、小学校に入ってから男の子っぽさが出てきて、自分のことをアクセント強めで「おれ」と言うように(笑)。
家ではない子ども達の集団の中でも、声を張って「おれは〇〇だぜ!」と自分を主張することができるようになりました。こども食堂でたくさんの子ども達と友達になり、ちょこっと強くなってきたのかな(笑)。「おれ」はただいま絶賛成長中。
毎回子どもスタッフのお姉さん達に会えるのを楽しみにしてきてくれる子、ご飯を食べたら公園で遊べるのを楽しみに頑張って野菜も食べる子、食べた食器を「ごちそうさま!」と運んでくれる子、こども食堂の周りでは自然と子ども達が友達になって明るい空間が生まれてる。1年はあっという間でしたが「こども食堂レインボー」も日々成長しています。
photo&text:MAKI KAKIMOTO
otona MUSE K