フリーアナウンサー 小山瑶の
海外生活 in Germany
Epi.7 「ダルムシュタットの街を歩く」
ドイツ・フランクフルト在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサーそしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度から伝えて頂きます。第7回目は、ドイツ国内の街「ダルムシュタット」を取り上げ、現地の人に伺ったおすすめを紹介していきます。
ヘッセン州の一都市
ダルムシュタットを探訪!
まず、ドイツは16の連邦州で成り立っています。連邦州とは、日本でいう都道府県のことを指します。たとえばドイツ最大の州でいうと、バイエルン州(日本では北海道)。首都ベルリンはベルリン州という都市州(日本では東京)。そしてドイツ経済の中心地であるヘッセン州。私の住んでいるフランクフルトは、このヘッセン州に属している中心都市です。
今回はヘッセン州の中でもフランクフルト以外の都市、ダルムシュタットにフォーカスします。友人が住んでいるのもあって何度も遊びに行っていて、私自身とても好きな街です。ちなみにヘッセン州は、フランクフルト、ダルムシュタットの他にカッセル、ヴィースバーデンという都市があり、計4都市で成り立っています。
ダルムシュタットは第二次世界大戦でほとんどが焼け野原となりましたが、その後の復興で博物館など多くの研究機関が建設され、今では学術都市としてその名が知られています。観光スポットも街中に点在していて、歴史も長く面白い都市でもあります。
今回はそんな歴史のあるダルムシュタット在住の友人に、おすすめスポットを教えてもらいました!
おすすめスポット❶
マチルダの丘
マチルダの丘(Mathildenhöhe)は、去年世界遺産に登録され、今まさに注目を集めているホットスポット! ヘッセン州の最後の大公、エルンスト・ルートヴィヒが19世紀末にドイツ国内からこの土地に芸術家を呼び寄せ、芸術村を造ったことがきっかけだそう。その際に建てられた歴史ある建築物が集まっていて、なかでもひと際目を惹くのは、「婚礼の塔」です。ルートヴィヒ大公とエレオノーレ妃への結婚記念碑としてダルムシュタット市民が寄贈したものだそう。この塔は登ることができ、頂上まで登るとライン川とマイン川が流れる平野の絶景を望むことができるのです。
塔のすぐ横には、玉ねぎ型の屋根が特徴的なロシア正教の美しいチャペルがあります。ドイツには至る所に教会がありますが、このような豪華な教会は見たことがなかったので正直驚きました。今回特別に中に入れていただき、壁から天井まで一面に渡って描かれているモザイク画には言葉を失うほど感動しました。
おすすめスポット❷
屋外プール グロッセルウーグ
ダルムシュタットに降り立った時、なんて自然が多いのだろうと思いました。その理由のひとつが湖(グロッセルウーグ)でした。街の中心にどかーんと広い湖があります。湖は木々に囲まれていて、緑が豊かなうえ、とても静かで穏やかな時間が流れていました。ウーグは16世紀半ばに溜池として作られたそうです。その後は1820年ごろに公共プールとして多くの市民から利用されるようになり、1994年に改良工事が行われ、今日の形となりました。夏には多くの人が涼を求めてこの地にやってきます。遊泳ができるのはもちろんですが、マガモやカワセミ、サギなどの水鳥を見ることもできるんですよ。
おすすめスポット❸
ダルムシュタット名物?
友人のDeanは大のお酒好き。ドイツビールについて知り尽くしたDeanがおすすめするビールは、なんと地元ダルムシュタットで作られているビール! ダルムシュテッター・プリヴァートブラウエライが造るピルスナーです。ダルムシュタット中央駅前に大きな工場を持っていて、どこのグループにも属さない独立系の醸造所が生産しています。ダルムシュタット郊外で見つけるのはなかなか難しいとされる珍しいビールです。
MiuとDeanにダルムシュタットのいいところを聞いてみました。
Miu フランクフルトから近いにも関わらず、自然が多くて閑静でとても住みやすいところ。
Dean 誰にでもオープンで正直者が多い。自分の意見を持った人が多い。なかなかコアな都市だけど、知れば知るほど歴史が長く面白いところ。
今回はいつもとは違って現地の友人と一緒に街のスポットを紹介しました。友人がいなかったら訪れなかったかもしれないダルムシュタット。友人の1人Miuは、会社員時代に過ごした山形で私がお世話になっていた方のお子さん。ドイツに来る前からコンタクトを取っていて、ドイツに来てからはいつも助けてもらっています。“人との繋がりが新しい出会いや経験に繋がること”を日本を離れてからより強く感じています。ドイツでの人との出会いをもっともっと増やしたいと思います。
ドイツは本格的な夏が終わり、朝晩は冷え込んできました。日が暮れるのも早くなって、あの嫌になるほど強い日差しが恋しくなったり…… 次のコラムをお届けする頃にはどんな生活になっているか楽しみです。次のコラムもお楽しみに!
Vielen Dank!
text : HARUKA KOYAMA