台湾の最南端【墾丁(ケンティン)】と【台東】想像以上の青い海に出合う!清水みさとの台湾リゾート旅・素敵な体験記

訪れた国は約40カ国。サウナと旅をこよなく愛するタレント・モデル・俳優の清水みさとさんの旅連載がスタート! 初回は台湾をぐるり半周した夏の冒険について。
【新連載】清水みさと「旅をせずにはいられない」vol.1 赤じゃなくて青い台湾を知る
「台湾」と聞いて思い浮かべるのは、夜市、八角、あの熱気。湯気と人でむせ返るような台北を、去年、友人たちと四六時中食べ歩いた。限界突破の食い倒れ旅の末、わたしはすっかり台湾の魅力にハマってしまった。
そして今回、仕事で再び台湾を訪れることになり、台湾料理好きのわたしは、当然のように腕まくりして、胃袋拡張工事に取りかかろうと息巻いた(ただたくさん食べるだけ)。
ところがどうやら今回の目的は「食」じゃなくて、「リゾート」らしい。食べる気満々だった身としては、若干拍子抜けしてしまった。
台湾で、リゾート。
自分の中の台湾像とあまりにかけ離れていて、正直ピンと来なかった。
飛行機と電車を乗り継ぎ、言われるがままにたどり着いたその場所でGoogleマップを開いてみると、わたしは台湾の最南端にいた。「ここが台南!」と口走ったわたしに、現地のコーディネーターがすかさず「台南じゃないです」と言った。「南なのに?」と、間抜けな返事をしたのは、何を隠そうこのわたしである。
墾丁(ケンティン)。
なんだか、「バービー」の登場人物みたいな名前だなぁと思った。
車で移動中、突然車窓に息を呑むような青い海が広がって、思わず、ハワイ! ってなった(行ったことないのに)。台湾に似つかわしくないと思っていた青い海が、本当にある。
おすすめの隠れ家のようなビーチへ移動し、水着に着替えて、ボートに乗って海へ入った。でも、海があまりにきれいだったので、早々にボートに飽きてしまい、海に向かってジャンプした。
透き通った青い海を、縞模様の魚たちが泳いでいる。台湾だということを忘れて、わたしは夢中で泳いだ。ライフジャケットにiPhoneを入れていたこともすっかり忘れて、魚たちと泳いだ(普通に水没)。
これまで、わたしの中の台湾は、ずっと「赤」だった。ガイドブックの表紙は大体赤みがかっているし、混み合う夜市の熱気に、主張の強いネオンサイン。湯気も人もみんな熱を帯びていて、台湾の空気そのものが、八角色をしている気がしていた。
みんな、知ってるんだろうか。台湾に「青」があることを。知らないのなら、知って欲しい。透き通った果てしないこの青色を、今すぐ日本で言いふらしたくて仕方なくなった。
ケンティンで想像以上の青い台湾に出会ったあと、車で台東へ向かった。今回のロケで決まっているのは宿だけだった。あとはその場のアドリブで決めていいことになっている。仮にも仕事なのに、こんな自由が許されるなんて、普通ない。だから、遠慮なんてしていられなかった。
準備されたその自由に、全力で飛び込みたかったので、旅の勘とアンテナだけを頼りに行き先を決めた。小さなかき氷屋さんで、前髪がおそろいだったお姉さんが何度も「かわいい」と言ってくれて、思わず「あなたのすべてがかわいい」と言いたくなった。
お腹がいっぱいになるまで返さないという肝っ玉母ちゃんみたいなおばちゃんは、テーブルの隙間がなくなるまで料理を出し続けた。お腹はパンパンではち切れそうになり、ついでに心までぷくっとふくらんで、しばらく何もいらないと思えた。
たまたま見つけた足裏マッサージで、施術中、お店の人が2回もおやつを買ってきてくれた。どこまで満たしてくれるんだよ台湾。
出会う予定じゃなかった人たちとの、予定していなかった忘れられない時間。あの店に入ったのも、道を間違えたことも、軽い山道の遭難も、偶然にみせかけて全部が運命だったような気がしてしまう。
こだわりすぎず、決めすぎず、その場の流れに身を任せていたら、すべてが自分の味方になっていく気がした(失敗でさえも)。
旅は、人生の縮図みたいだなぁと思う。だから旅をしていると、人生の歩き方が、ちょっとずつみえてくる。きっとわたしは、旅をしながら人生の練習をしてるんだ。
だからやっぱり、旅をせずにはいられない。
photograph & text:MISATO SHIMIZY
WRITER
タレント・モデル・俳優
清水みさと
タレント、モデル、俳優など幅広く活動。サウナ好きが高じて、「サウナイキタイ」のポスターをはじめ、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(AuDee/JFN全国21局ネット)のパーソナリティーを務めるほか、TRANSIT「世界のサウナ巡礼記」、るるぶ「あちこちサウナ旅」、リンネル「食いしんぼう寄り道サウナ」、オレンジページ「本日もトトノイマシタ!」など多数の連載を担当。