魂が求める香りに出会いたくて
「FUEGUIA 1833」に潜入しました
香水難民の大人に提案したい
パタゴニア発のフレグランスブランドです
突然ですが、香水は何を使っていますか?
すごく気に入っている香りをつけていますか?
本当に?
10年前から愛用している香水をアップデートしていなくて、若作り感満載で使いづらくなっちゃったとか。でも香水って本当に気に入らないとつけたくなくなるからなんでもいいわけじゃなくて何もつけてないとか。好きな女優さんが使ってるって噂の香水を買ったんだけど全然好きじゃないんだよねなんだコレへんなにおいと思ってたりとか。やっすい香水つけたら頭痛くなってきちゃって若干トラウマとか。あるあるですね。あるあるです。私がそうです。
本当に自分にフィットする香水に出会うって、並大抵のことじゃありません。けれどいい大人になって、気に入らない香りを纏って生きられるほどおのれの意志がないわけじゃありません。というわけで、行ってきましたフエギア1833六本木店。ここ、お仕事の流れで「厳選した原料だけ使用しているから、たくさん嗅いでも頭とか痛くならない」ことを教えていただき、運命の相手に出会いたいと思ったからです。
スタッフの方にご相談しながら、好きな香りを選り分けていきます(ここ、実は特殊な体験もさせていただいたのですが、それは最後に)。いくつか香りをピックアップして、「この香りは好きです」「この香りは嫌いです」とハッキリ意思表示しましょう。いくつもの香りを嗅ぎ過ぎて頭と鼻が混乱したら、お水を飲んだり、コーヒー豆の香りを嗅いでリセット。本当に、ときには「私にとってはばあちゃんちのお線香の香りにしか思えません!」とか「無理!」と思うほど好みではない香りも存在するし、ときには「は~、天国~……!」とホンワカしてしまう香りも存在します。
フエギア1833は、2010年、ブエノスアイレス生まれのアーティスト、ジュリアン・ベデルにより創業されたフレグランスブランド。量産された人工香料を用いず、植物由来の原料のみを使っています。しかも生産時に入手できる最高峰の天然原料のみ! なので全てのフレグランスが限定品であり、シリアルナンバーが刻まれているのです。
香水には当然名前があるのですが、「アグア マグノリアーナ」とか「アラビカ」とか、なんとなく「マグノリアの香りがするのかな」「コーヒーっぽいのかな」と香りの想像がつく名前もあれば、「方程式」とか「バベルの図書館」とか、「ど、どしたん! どんな香りなん?」とちょっとゆっくり話聞かせてもらわんと意味が分からんものもあります。というのもベデルさんが愛する詩やタンゴ、あるいはパタゴニアの大自然、歴史、文化、人物などを着想源に、独自の物語性を織り込んでいるためです。そうです。もう、珍名がつけられちゃうかどうかはベデルさんの胸先三寸です。でも香りを嗅いで理由を聞くと「なるほどねえ」となるから、もちろん適当につけられてるわけじゃ、ないんですよ。
フエギア1833は現在、こちらの六本木店と銀座、そしてオンラインにお店があり。人気があるため他都市でもポップアップショップを行っているので、全国の香水難民のミューズの皆様もチェックしていただけたらと下にリンク貼っておきますが、実は! 「現在受け付けはできていないのですが、期間限定やご予約を承って『香りのプロファイル』というイベントを開催することがあるんです。体験、してみますか?」と問われたので二つ返事で受けてみたのです。
それは香りに関係あることも、そう関係なさそうなことも、いくつか質問されて答えていくだけ。質問の内容はここに記せないのですが、下の写真でスタッフの方がお持ちのクリップボードにぎっしり書かれています。「なんでそんなん聞くん?」と聞き返したくなる内容もありますが、そんな可愛げのないことはノンノンです。ありのまま素直に答えていくことで、運命の香りへのトビラが開くわけですよ。
本当に、卓越したプロファイラーのようなスタッフの方のお導きで最後の最後まで似た感じの香り2つで迷った私。あのね、似た感じなんですけど、同じじゃないことがはっきり分かるんですよ。なんで似ているのにどちらも気になるんだろう、とウンウン唸って迷いました。そして……!
結局ひとつに絞れなくて、「ダーウィン」と「バベルの図書館」を買いました
というわけで購入! 本命の香りは『バベルの図書館』。いいですね、文学部を出て編集者をしている私にピッタリじゃないですか。アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスという方の短編小説のタイトルなんだそうですが、大学は文学部を出ているのに不勉強で読んでおりません。もしくは読んでいたとしても、記憶がありません、あたくし。てへ。ただ確かに、本棚のような、皮の表紙の本のような、でもどっかからシナモンが香るような、一言で言い表せない香りが心地よく感じます。これはでっかいボトルで買いました。お値段100L¥40,700!
もうひとつの香りは『ダーウィン』。あれでしょ、「種の起源」の人でしょ、それは知ってる! こちらは『バベルの図書館』ととっても似ているようでいて、少し華やかさも感じたんです。体調によってはこちらを求める気持ちもでるかもしれないなあって、スタッフの方に「こっちもください」と自ら申し出ましたら「小さいサイズもありますよ」と教えてくださいました。なんて親切なんでしょう。お値段は30mL¥20,900。
というわけで訪問から2カ月。実際『バベルの図書館』を基本に、ちょっと元気盛りたい日は『ダーウィン』に切り替えたりして新しい自分の香りを楽しんでいます。朝、脚や腕につけて出かけて、夕方ふと腕をくんくんすると一番好きな香りだなって感じたりもします。そんな香りの変化に気づくのもすっごく愉快な自己満足タイム。今まで使ってきた香水よりも落ち着いた香りで、40代も半ばに差し掛かった自分にはちょうどいいのかもしれないなあ、なんて思ったりもしています。身にまとう香りに納得すると、気持ちが落ち着くのはなんなんでしょうね。
ともあれ、香水難民の大人が本気で運命の香りに出会いたいなら。決して安価なお買い物ではありませんが、フエギア1833、オススメいたします。お店であれだけ嗅いだのに、私は気持ち悪くなったり頭が痛くなったりはしなかったのも安心してオススメできる理由のひとつ。冷やかしで気軽に覗きに行くというよりは、運命の香りに出会えるか緊張しながら行くお店かもしれませんが、そういう緊張感もたまには、よくないです?
FUEGUIA 1833 六本木
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