息子からの「赤ちゃんってどうやってできるの?」には、どう答えるのが正解?【初めての性教育】
会話は小さくても、安心は大きい
性の話は、いつも少しだけぎこちない。だけど、そのぎこちなさを超えて、話そうとする姿勢そのものが、何よりの教育になる。「親子のあいだに“性の話をしていい空気”があること。それが、将来の性被害・加害を防ぐことにもつながります。正しい知識が、子ども自身を守る力になりますから」
性教育は、“はじまり”の話だ。からだのことも、命のことも、人を好きになるということも。すべてはそこから始まる。
今日の夜ごはんのあと、「そういえばさ…」と、ちょっとだけ話してみてもいい。それはきっと、未来へのささやかな準備になるはずだ。お風呂で息子が言った。「ねえ、ママ。赤ちゃんって、どこから出てくるの?」。その声は、湯気の中にふわっと浮かんで、タイルの壁にすこしだけ跳ね返ってから、ママの耳に届いた。ママは一瞬、湯船のふちに置いたボディソープのポンプのことを考えた(それくらい、とっさに言葉が見つからなかった)。「赤ちゃんはね、お母さんの“特別な場所”から出てくるんだよ」。なんとかそう答えると、息子は「えっ!」と叫んで、お風呂の中で思いきりのけぞった。「ほんと? おしり? おしっこ出るとこ? 鼻の穴?」
平山先生は、笑いながらこう話してくれた。「子どもって、真剣に聞いてくるんです。でも、だからこそ、“正しく、でも怖くない表現”が大事なんですよ。『赤ちゃんが生まれるのは、お母さんの身体の特別な通り道から』とか、『病院でお医者さんが手伝ってくれることもあるよ』と伝えてあげてください。想像できる“入り口”があるだけで、子どもはすごく安心しますからね」
大人は、ときどき“全部説明しなきゃ”と思いすぎる。でも子どもは、答えそのものよりも、“その話をしていい空気”をちゃんと覚えている。だからときどき、湯船の中で「おしっこって、何回たまると出るの?」なんて言われても、笑っておけばいい。
彼らは、すべてを知りたがっているわけじゃない。ただ、信じられる誰かに「聞いてもいいか」を、毎日少しずつ試しているだけだ。
平山和秀/国立大学法人 熊本大学医学部卒業後、聖路加国際病院にて外科系初期研修医を経て京都大学附属病院泌尿器科に入局。泌尿器科専門医・指導医、がん治療認定医、ロボット手術ダヴィンチ免許を取得し、欧州泌尿器科学会、米国泌尿器科学会、世界泌尿器科学会に3年連続採択。アメリカで最も権威のある泌尿器科雑誌『UROLOGY』に論文出版する傍ら、形成外科医として美容医療に従事。『専門分野である男性器治療・性同一性障害・AGA(薄毛治療)の分野で安全で質の高い医療を提供したい』とカズ博多クリニックを開院。日本男性器学会理事長や日本初の男児向けデリケートゾーンケアクリーム『キレイにむけたね』を展開する秀和製薬代表取締役社長を兼務。
illust:YAECHIN
EDITOR
37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。