「恥ずかしがらずフラットに話すことが子どもの安心に」今日からできる【やさしい性教育】
「ねえママ、“おちんちん”ってなんであるの?」――戸惑いの先にあるもの
夜の台所で洗い物をしていると、ふと、リビングから息子の声がする。「ねえママ、“おちんちん”ってなんであるの?」その瞬間、手の中の皿が少し止まる。言葉を探す間に、蛇口の水音だけが静かに流れる。――そんな経験、誰にでもあるだろう。
平山和秀先生は言う。「親世代の多くは、自分が性教育を受けてこなかった。だから“どう話せばいいかわからない”という不安が生まれるんです。でも、“わからないからこそ、一緒に学ぼう”という姿勢が、すでに立派なスタートなんですよ」。たとえば、性教育という言葉を聞くと、多くの人は“避妊”とか“病気”とか、重いテーマを思い浮かべる。だが、本来の性教育はもっと根っこのところにある――“自分を大切にする”という生き方の話である。
「性教育とは、からだを知ること、命を知ること、そして『自分を大切に、他人を大切に』という価値を育むことです」と先生は語る。この言葉に象徴されるように、性教育とは決して“タブーを解除する”だけのものではない。むしろ親子で共有すべき、日常の問いのひとつなのである。
子どもが「これって何?」「どうして?」と投げかけるその瞬間は、まるで夜明け前の淡い光のように、静かに、しかし確実に、親子のあいだに橋を架ける。例えば、幼児期に「男の子ってどうしておちんちんがあるの?」と質問された母親が、つい言葉を探して黙ってしまう。その沈黙こそ、子どもにとって「これは話してはいけないこと」という暗示になりかねない。だが、その一歩を“早すぎる”と躊躇せず、むしろ「ゆるっと」始めることが、未来を拓くカギとなる。
平山和秀/国立大学法人 熊本大学医学部卒業後、聖路加国際病院にて外科系初期研修医を経て京都大学附属病院泌尿器科に入局。泌尿器科専門医・指導医、がん治療認定医、ロボット手術ダヴィンチ免許を取得し、欧州泌尿器科学会、米国泌尿器科学会、世界泌尿器科学会に3年連続採択。アメリカで最も権威のある泌尿器科雑誌『UROLOGY』に論文出版する傍ら、形成外科医として美容医療に従事。『専門分野である男性器治療・性同一性障害・AGA(薄毛治療)の分野で安全で質の高い医療を提供したい』とカズ博多クリニックを開院。日本男性器学会理事長や日本初の男児向けデリケートゾーンケアクリーム『キレイにむけたね』を展開する秀和製薬代表取締役社長を兼務。
illust:YAECHIN
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