LIFESTYLE

【本場のクリスマスマーケット/後編】
フリーアナウンサー 小山瑶の
海外生活 in Germany Epi.13

ストラスブールの街の中心に設置されている大きなモミの木でできたツリー。クリスマスマーケットにて。

メリークリスマス!
歴史を感じるドイツのマーケットの様子を楽しんで

ドイツ・フランクフルト在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサー、そしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度からお伝えしていただきます。 2022年最後の連載は、前回に続きクリスマスマーケット情報をたっぷりお届け! 今回はドイツ南西部を中心に、各地の様子を写真と共にお送りします。開催地域によって歴史やイベントも異なるマーケット事情。地域の文化や個性も知ることができる、面白い風習に迫ります。少しでも皆さんに感じてもらえたら嬉しいです!
ドイツ南西部の地図

ドイツ南西部の地図。番号順にご紹介していきます!

①マインツ

フランクフルトから電車で30分ほど。200年以上もの歴史を持つマインツのクリスマスマーケットは、100近くのイルミネーションが町中を彩ります。
マインツのクリスマスマーケット。

大きな支柱を中心に、放射線状に伸びるイルミネーション。中央部分は天使を模したステンドガラスでできており、細部までこだわりを感じます。

マインツの大きなクリスマスピラミッド像

マーケットの入り口にあるクリスマスピラミッド像は全て手作り。高さはなんと10m以上にも及びます。

多くの人で賑わう、はちみつの家を意味する「honighaus」のお店

はちみつの家を意味する「honighaus」では、はちみつをはじめ蝋などが販売されていました。

②ニュルンベルク

ニュルンベルクのクリスマスマーケットは、世界で最も歴史のあるクリスマスマーケットのひとつ。この街のシンボルは「The christ child」。クリスマスの天使を指す、christkind(クリストキント)です。
ニュルンベルクのクリスマスマーケットの入口には、大きな黄金色のクリストキントが

マーケットの入口には、大きな黄金色のクリストキントが設置されています。2年に一度、地元の16歳から19歳の若い女性の中からクリストキントを選ぶコンテストがあります。対象の人は金と白の衣装を身に纏い、金髪の巻き髪のかつらをつけて出場するそうです。クリスマス版ミスコンテストのようですね。

ニュルンベルクのマーケット内にはメリーゴーランドのような遊具まで設置されています

マーケット内にはメリーゴーラウンドのような遊具まで設置されていて、まるで遊園地に来たようなワクワク感が味わえました。

粗挽きソーセージがたくさん!

ニュルンベルグソーセージは、粗挽きで細め。お店や屋台でも販売されていて、大人気です。

③ミュンヘン

友人の後ろにあるツリーがミュンヘンのシンボル。その大きさは、なんと重さ5t、高さ25m! この立派なモミの木はツリーにするためではなく、近くに電線があって危険なことから伐採された木の再利用なんだとか。
寒空の下、友人と共に大きなツリーを見に行ってきました

日本ではあまり見かけることがない、生のモミの木を使ったツリーは大迫力! シンプルな装飾だけど、とっても華やかでした。

ミュンヘンのクリスマスマーケットには、ランプを販売している屋台も

屋台のひとつに、ランプを販売しているお店がありました。ミュンヘンでしか見かけなかったので、珍しいのかも?

④シュトゥットガルト

イルミネーションなどの装飾に一層力を入れているシュツットガルト。というのも、最も綺麗な装飾をしているお店no.1を選ぶコンテストが開催されているため、出店者は毎年工夫を凝らしては力を入れているそうです。
シュトゥットガルトのクリスマスマーケットの様子

この街にはなんとミニ観覧車が! 他の街と比較しても一層力を入れているように感じました。

細かなところまでイルミネーションで飾られています

屋台の上にモニュメントを置いたり、シュトゥットガルトの屋台は一段と豪華絢爛でした。

シュトゥットガルトの名物、ケーゼシュペッツレ(チーズのパスタ)

ケーゼシュペッツレ(チーズのパスタ)はこの土地の伝統料理。細かいパスタにチーズを絡めたもので、スプーンで食べるのが主流。ドイツ人は、長いパスタをナイフで切って食べる文化があります。

地元の合唱団によるコンサートの様子

地元の合唱団によるコンサートも行われていました。クリスマスソングの生歌は特別でした。

⑤ストラスブール

ドイツとフランスの県境にあるストラスブールは、街全体が世界遺産に認定されています。フランスとドイツの文化が融合している街もこの時期、各国からの観光客で賑わっています。建物のイルミネーションは本格的。街全体でこうしたイルミネーションが楽しめます。
ストラスブールのクリスマスマーケットの様子

「クリスマスの首都」とも称される街、ストラスブール。マルシェ・ド・ノエルは1570年からの歴史があり、フランスで最も古いクリスマスマーケットとして知られています。

ホットワインならぬホットジュースで暖を取ります

ホットワインならぬホットジュース。いちごと桃がミックスされた手作りジュースを飲みました。ドイツ国内では見かけなかったので、フランスの文化から来ているものかもしれませんね。

ネジやワイヤーなどを使って置物を作っているクラフトの出店もありました

ネジやワイヤーなどを使って置物を作っているクラフトの出店もありおしゃれでした。

⑥ハイデルベルグ

学術都市でもありルネサンス建築が有名なハイデルベルグは、建物の多くに赤砂岩を使用しているため、温かみのある街の風景が特徴です。その雰囲気に合わせるかのように屋台の装飾が施され、統一感が感じられました。
ハイデルベルグの教会、聖霊教会の近く。

ハイデルベルグの教会、聖霊教会の近く。ドイツ最古の大学のハイデルベルグ大学もあって学生の姿も多く見られました。

きのこと玉ねぎで甘辛く煮詰めたハンバーグを、ドイツパンに挟んで食べるバーガー

煮込み料理がハイデルベルグは有名だそうで、きのこと玉ねぎで甘辛く煮詰めたハンバーグをドイツパンに挟んで食べるバーガーがとても美味しかったです。

クリスマスまであと数日!
ドイツでの過ごし方

前回のコラムでもお伝えしましたが、ドイツのクリスマスは12月1日~24日までがアドベント期間。店頭にはアドベントカレンダーが並び、クリスマスまでのカウントダウンをするのが一般的です。その一方で、12月24日の午後から26日の本番は街中が静まり返ります。交通機関も地域によっては運休、お店も閉じて、マーケットも終わります。もしかしたら過去に、クリスマスマーケットを期待してドイツへ行ったものの、お店が全部閉まっていた! と期待を裏切られた方もいらっしゃるかもしれませんね。 クリスマス本番は、あったかいお家で家族や大切な人と特別な時間を過ごすのです。これがドイツのクリスマスの伝統スタイル。12月24日の朝から教会を訪ね、夕方からはプレゼント交換や食事を楽しむBescherung(贈り物)の時間の準備をします。ツリーの飾り付けもこの日に行うことが多いそうです。次の日の25日も家族以外に親戚などが集まってごはんを食べるところが多いです。まるで日本のお正月のようですよね。
ドイツで頻繁に食べられるソーセージとザワークラフト

ドイツで頻繁に食べられるソーセージとザワークラフト。クリスマスは、こうした伝統料理で祝う家庭も多いそう。

クリスマスムード漂う飲食店店内にて

店内もガラッとクリスマスムードに。クリスマスランチ、ディナーは日本では12月24日、25日の2日限定で提供しているところが多いですが、ドイツでは12月上旬から提供してるお店があります。

ドイツ特有の行事
黒いサンタクロース?

12月に入ると毎日がクリスマスなドイツですが、なかでも12月6日と24日の2日間は特別な日です。 12月6日は、紀元270年ごろ、貧しい者たちに施しを与えたとされる聖ニコラウスの日。彼はサンタクロースのモデルとなった人物とされています。英語の「セント・ニコラウス」のオランダ語読みが、現在の「サンタ・クロース」につながっています。 子どもたちはこの日、靴下を下げてニコラウスからのプレゼントを待っていますが、一部地域ではニコラウスの同伴者である「クネヒト・ループレヒト」も一緒に現れ、プレゼントを渡しに来るという話があります。いい子にはニコラウスから甘いお菓子を、悪い子にはループレヒトから石や棒などの嬉しくないプレゼントが渡されお仕置きがあるというドイツ特有の民俗行事があるそうです。 そして12月24日の夜のクリスマスイブには、クリスマスの天使、クリストキントからプレゼントが贈られるといわれています。果たして皆さんの元にはプレゼントが届くでしょうか?
ツリーに飾るオーナメントもこんなにたくさんの種類があります

猫に電卓、チェリーにニワトリ…… ツリーに飾るオーナメントもさまざま。

毎年盛り上がる冬のクリスマス商戦期。ドイツの小売業連盟によると、今年はウクライナ情勢や物価高騰の影響で12月までの売上高が去年より4%落ち込み、2007年以来最も低調だと発表しています。賑やかなクリスマスマーケットの背景にこうした社会情勢の影響を受ける深刻な問題もあるようですね。これまで通りのクリスマスに少しでも早く戻ることを願いたいです。 Merry Christmas and a Happy New Year!
小山瑶

Profile
小山瑶(こやまはるか)/山形県のテレビ局で4年間アナウンサーとして勤務し、今年4月からフリーアナウンサーに転身。(ニチエンプロダクション所属)ドイツ・フランクフルトで勤務する夫に帯同。暮らしぶりをSNSで綴っている。

texte : HARUKA KOYAMA

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