アーティスト・三浦大地の大阪の自宅&アトリエ拝見。東京⇒大阪に拠点を移して見えた景色とは?
「歴史ある西のカルチャーを作品作りに生かしたい」アーティスト・三浦大地の温かみのある家と真っ白なアトリエ空間 in大阪【後編】
リモートワークの普及で働き方や働く場所がフレキシブルになった昨今、東京を離れて地方に移住する人も。それぞれの土地で新たな生活をしている人たちの暮らしについて取材しました。一人目は、約二年前から大阪で暮らしているアーティスト・三浦大地さん。
Dining
Kitchen
ところで、ずっと東京で生活をしてきた三浦さんにとって、大阪のカルチャーに違和感などは感じなかったのだろうか。
「大阪ってすごく活気があって、人も生き生きしてるから見てて気持ちいいんですよね。京都もそうだけど、みんな自分たちの文化に誇りを持ってるし。近所にも個人商店とかたくさんあって、みんなそれをすごく大切にしている。大阪の中心地は碁盤の目になっていて、起伏もそんなにないからか気の流れがいい気がするんです。そして、大阪は水辺が気持ちいい。友だちと川沿いのテラスでお茶をしたりすると、本当にリラックスできるんです。大阪にいるときはオフ、月に何度か行く東京ではオンという感じ。だからといって、大阪にガッツリ移住している感もあまりなくて、いつかフラッと東京に戻るかもしれないし、何なら多拠点生活もいいなとも思ったり。放浪癖があるので、ずっと同じ場所に留まってる気がしない(笑)。とりあえず今の家を気に入ってるし、もう少し大阪でアート制作をしながらダンロと一緒にのんびり暮らしていこうかなと思っています」
Atelier
歴史や文化を色濃く感じる
西のカルチャーに触れたくて
マンションのごく近くにアトリエを構える三浦さん。大阪に引っ越してきたころ、アトリエを探していると知り合いに話したところ、すぐに物件を紹介してくれ、その翌日にはここに入ることが決まったのだとか。
「奇跡ですよね。しかも大阪って道が広いからアートの運搬もしやすい。家もアトリエもすぐ決まり、いろんなことがタイミングよく進んだ」
三浦さんが東京を離れた理由は、気分転換やダンロくんのこと以外に自身のアート活動に関することも大きかったそう。
「37年間住んだ東京はもちろん好き。ただ、“壊して作る”を繰り返す東京のカルチャーから少し離れて、歴史や文化が色濃く残る西のカルチャーに触れたかった。どんどん新しいものが入ってくるのもいいけれど、今の僕はそのフェーズではない気がしていて。“KYOTO GRAPHIE(京都国際写真祭)”という日本で一番好きなイベントがあるんですけど、お寺や重要文化財など京都は本当に舞台がたくさんあって、そんな場所でクリエイションを発表できるのって素敵だなって。ここ最近、これまでのイラストレーションの他に、全く作風の違うアートを制作し始めたんです。今作っている作品も天然石の持つエネルギーを表現しながら、どこか和を彷彿とさせるもの。歴史ある西の文化を肌で感じながら、作品作りにもっと生かしていきたいんです」。そう語る三浦さんの今後がますます楽しみだ。
次回は軽井沢に移住して3年になる、Chaosディレクター・櫛部美佐子さんの自宅をご紹介します。お楽しみに!
photograph:HISASHI OGAWA / illustration:MIO YOSHIDA
otona MUSE 2023年8月号より