作家LiLyさんが手がける新プロジェクト「Bedin」。37℃美容液キャンドルが導くベッドタイム美容とは
ベッドルームについての小さな物語
パーティよりも世界旅行よりも私は自分のベッドにいたい。
調光された優しいオレンジの灯り、フワフワの毛布、大好きな甘い香り、その日の気分でうっすらと音楽を流してもいいし無音でもいい。目を閉じる。そのままどこまでも果てしない思考の旅へと出かけることができる。いつだって考えるのは人間心理。矛盾をはらむ人間の思考は考えれば考えるほどに面白く、だけど答えがないからグルグルしちゃって疲労したりもするわけだけど、疲れたなんて感じる間もないくらいに、眠たくなれば至福の寝落ちが許される。だってここはベッド。安全で清潔で爪の先まで癒される、私だけの居場所。
女子会よりもショッピングよりも私は恋人とベッドにいたい。
頰にかかる息、重たい腕、あたたかな体温、大好きな男の首筋の匂い、その夜の気分でうっすらと光をつけてもいいし真っ暗でもいい。目を開ける。いつだって欲しいのはその目。欲情を帯びたその視線。愛してるなんて言い合う余裕もないくらいに気持ちが高まり合ったなら、そのままどこまでも深くキスすることも許される。だってここはベッド。危険で刺激的な快楽の溜まり場、二人きりの天国。
刺激と癒し。
セックスとリラックス。
恋人タイムとひとり時間。
対極な/大好き2トップ。
それらをどちらも
叶える唯一の場所/自分のベッド。
「対極の共存」は常に私の作品のテーマで、それはきっと子どもの頃から自分の中にある矛盾を“なんとかしたい”と思い続けていたからなんじゃないかと思っている。難しい話ではまったくなくて、何かについてちょっとでも深く考え始めると、すぐに矛盾する思いが交差していることに気づいてまずはそこで躓くからだ。で、そこから先にいくには、矛盾を事実として丸ごと受け入れるしかない。
例えば、恋心。好きだけど嫌い。意味がわからない。だけどそういうもの。ね? 対極の共存こそが「人間」らしさ。「男と女」は永遠に私の人生のテーマ。対極で/剥き出しで/生々しくて/とても純粋。つまりは「本能」。ベッドは世界の中で最も人間の本能を満たす「野蛮」で「神聖」な場所だと思っている。
まさに、パワースポット。
しかも毎日行けるところ。
photograph_TESUN HIRAMOTO styling_ERINA KAWASE
otona MUSE 2024年4月号より