「本来の自分を取り戻す時間だった」ハワイに移住して10年。吉川ひなのが語るこれまでとこれから
「居場所ができたハワイ。
東京の記憶も捉え方が変わった」
― 現在は、ハワイで3人の子育て中。
「子どもたちを見ていると、あまりにも自然との距離が近いことに驚かされるんです。裸足のまま駆け回って、芝生の上で寝転んで『大地を感じたい!』と口にしたり、海に入っていると『もうすぐ大きな波がくるよ』と教えてくれたり、木に止まっている鳥を見ては『あの鳥、すごくお腹がすいてるね』と教えてくれる。ハワイの自然に子どもたちを育ててもらっていると思うと感動しちゃって、毎日、毎日感謝してます。私も一緒になって自然と触れ合っていると、子どものころから自然や動物や虫が大好きだったことを思い出すことができた。子どもが学校に通うようになると、私が日本の学校で教わったことって権利よりも義務ばっかりだったなと気づかされたりもして。子どもたちは義務よりも自分の権利、相手の権利とは何かを教わっているから、自分を大切にできるし、相手を尊重する心が養われている。誰かのことを否定する必要はないけれど、自分がどう感じるかどう考えるかというのは言葉にしていいものだと。それが分かっているから、子どもたちは生きることがすごく上手なんですよ。私の中で、“みんなみたいにできないこと”が、ずーっとコンプレックスだったけど、その違いをもっと堂々とより自由にあらわにしてもいいのかもしれないと、子どもたちが教えてくれた気がします」
interview:HAZUKI NAGAMINE illustration:MASAMI WAKAYAMA
otona MUSE 2024年5月号より