【ENOWA YUFUIN】でからだの中から浄化され、幸せで満たされる大分県・湯布院美食旅

なにかとストレスフルな現代社会、仕事にプライベートにと充実しながらも忙わしない日々。自分では気づかないうちにストレスに苛まれていることも……。そんなときオススメの、五感を刺激し身も心もたっぷりと満たされるデスティネーションは、オープンから2周年を迎えた、話題のオーベルジュ・ENOWA YUFUIN。その魅力をお届けします。
心身を解き放ち、本来の自分を取り戻す。今回うかがった大分県屈指の温泉街・湯布院高台にあるENOWA YUFUINは、まさにそんなリトリートを体感できる場所。
FARM-DRIVENという新たなコンセプトを掲げ、最幸な食体験をかなえてくれる
「FARM TO TABLE」という言葉を耳にしたことはあるかもしれませんが、ここENOWAのコンセプトは「FRAM-DRIVEN」。ちょっと聞き慣れないワードですが、「FARM TO TABLE」(生産者から消費者までを、できるだけ短い経路で食材を届けること)の考えをアップデートさせたのが「FARM DRIVEN」という考え。
畑が主導で食材を決めるというコンセプトで、食事のメニューはその日に農園で採れる食材によって決めるというのがなんともユニーク! しかもシェフが自ら毎日ファームに出向き、その日に使うものだけを吟味して収穫するというスペシャルなスタイル。そのコンセプトを聞いただけでも、いまだかつてないスペシャルな食体験がかないそうでワクワクしてしまいます!
シェフのファームでの食材吟味に同行
今回は特別に、ENOWAのシェフであるタシ・ジャムツォさんが実際に自家ファームに出かけ、野菜を収穫するのに同行。ズッキーニ、バジル、トロンボーンチーノ(かぼちゃの一種)。きゅうり……完全に熟して香りがピークに達した、リアルに力強く野菜そのものの風味や魅力が溢れ出る〝食べごろ〟のものだけを吟味して収穫していきます。
湯布院はもともと肥沃な土地ですが、ENOWAのファームはもともと田んぼだったところだそうで、土から入れ替え、試行錯誤を繰り返し土壌を整えながら、様々な野菜や果物、ハーブ類を育てているのだとか。農園の巧として名だたるシェフからも一目おかれる存在の石割農園の石割輝久氏とシェフのタシさんとの二人三脚で、ENOWAのオープンの何年も前からファームと人を育ててきたそう。トマトだけでも20種くらい、いまでは季節に合わせてアレンジを加えながら今年は55種250品目、ハーブは30種育成、収穫しているのだとか。いかに素材の美味しさで感動を呼ぶ野菜に育て上げるか、からだが喜ぶ食体験へとつなげるか、を常に考えながらファームも常にアップデート。地元の生産者の方々とも積極的に交流をしながら、地域共生にも取り組んでいるそう。
レストランJIMGUのシェフ タシ・ジャムツォさん
シェフのタシさんはチベット出身で幼い頃から畑仕事や畜産を身近に経験。アメリカに渡りN.Y.のレストランで修行を積み、「FARM TO TABLE」を世界に広めたブルー・ヒル・アット・スートン・バーンズで副料理長に。その後、ENOWAの想いに共鳴し日本への移住を決め、ENOWAのレストラン「JIMGU」のシェフに就任。
「JIMGUではあえてメニューはフレキシブルにしています。ファームは毎日コンディションが異なり、食材の鮮度も美味しさも日によって変化するもの。その日にベストな食材を使い、食材主導でメニューを決め、素材そのもが持つ力強い風味を生かした料理へと仕立て上げていきます。(タシさん)」
この日に収穫した素材たち。この野菜やハーブがどのような料理に仕立て上げられるのか……想像するのも楽しい時間♪ 初めて目にした長さ1~2cmほどの「マイクロきゅうり」。こんなに小さくても、きゅうりの形をしていて香り高くて……どんな料理になるのか、ワクワクが止まりません!
夕飯はそこにいるだけで癒やし度満点なレストランで
中央にグリーンが配され、それぞれのテーブルのプライベート空間が心地よく保たれた空間
鎮守の森をイメージしたインドアグリーンに囲まれたレストラン「JIMGU」で、心躍るディナーのスタート。「JIMGU」とはチベット語で「帰る所」という意味だそうで、自然の恵みを感じ、旬をいただいて、元気をチャージするのにぴったりなネーミング。
まず乾杯のスパークリングの一杯は大分県の安心院ワイナリーのもの。前菜はレセプション横にあるインドアガーデンで。円形の室内ガーデンには季節に合わせて旬の野菜やハーブが植えられていて、FARM-DRIVENというコンセプトを肌で感じながら、タシさんが奏でる唯一無二の料理の世界へ。
焼き野菜を始めとして、鮑と平貝の食べ比べ、ウニとポテトのサマーポテトなどタシシェフの個性溢れる料理が続く
そしてレストランに移動し、その日に収穫した素材をふんだんに使った一期一会のスペシャルコースのスタート。ファームツアーの際に収穫した野菜の恵みを余すところなく生かした料理の数々……。野菜そのものの味がシンプルに生かされていながらも、新たな発見や驚きのある絶妙な味つけや食感、そして盛り付けやお皿との組み合わせにも、ひと皿ひと皿感動しっぱなしでした! デザートに至るまで皿数がかなりあるのに、とにかくパワーあふれる野菜がメインだからか、胃も心もしっかり満たされながらも、からだが軽やかになる感覚が不思議!
目も心も胃も幸せに満たされる朝食
朝採れ野菜のサラダ、アスパラガスのスープ、デザートはラムとバナナのクレープ
そして朝食はみずみずしく彩りにあふれ、見ているだけでも心の底から元気がみなぎるようなメニュー尽くし。野菜くずなどを発酵させ飼料にし、畑で採れた野菜を余すことなく使い、循環させながら平飼いで育てているアローカナか、もみじの卵どちらかを選んで卵料理をオーダー。ひと口、またひと口といただくたびに、人生最大級に「ととのう」実感がありました! シェフ・タシさんのお料理、さらに数日食べ続けたい! そんな幸せな食体験ってこれからの人生にもうないかも、って思ってしまったほど!
photo&text:NORIKO MONJI
WRITER
学生時代に女性ファッション誌のアシスタントとして雑誌作りのキャリアをスタート。フリーランスエディター&ライターとして、美容、旅、食、レシピ監修まで手掛ける。強靭な胃腸&体力をもち、国内外を貪欲に旅する弾丸トラベライターとしても活動中。とくに台湾を愛し、訪台歴は60回以上。台湾の充実の食ガイド『台北エリア別満喫旅 食べまくり!』をはじめ、著書4冊。