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門司紀子

山奥の秘境で、新鮮な空気に触れ風を感じながらリフレッシュ!【界 奥飛騨】でゆるり温泉美食旅

山奥の秘境で、新鮮な空気に触れ風を感じながらリフレッシュ!【界 奥飛騨】でゆるり温泉美食旅

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猛暑の夏でたまった疲れを癒やし、なにかと忙しさが増す年末シーズンへの英気を養うために、温泉旅をプランニングしたい気分♪ 秋の行楽シーズンにおすすめの、岐阜の山奥にある隠れ家温泉宿を試泊レポートします!

コンセプトは……山岳温泉にめざめ、飛騨デザインに寛ぐ宿。

雄大な北アルプスの名峰に囲まれ、日本屈指の湯量を誇る温泉地である奥飛騨温泉郷。「界 奥飛騨」はこの地で開業1年を迎えたばかりの隠れ家的温泉宿。


東京からはバスタ新宿から高山濃飛バスにて平湯バスターミナルまで約4時間40分、または新宿駅から特急あずさにて松本駅→松本バスターミナルから平湯バスターミナルまでで所要時間約4時間。名古屋、長野、北陸方面からも電車とバスを乗り継いでアクセス可能。今回は新宿駅から特急あずさで松本駅まで行きレンタカーを借り、ご当地ランチをいただいたり道の駅などを経由して旅気分を盛り上げながら宿へ。

 

奥飛騨、正直なところ思った以上に遠かった(笑)。ですが、車の運転に自信がなくなかなか奥地まで旅に行けないという方でもバスタ新宿からバスでアクセスできるのは大きな魅力(しかも最近の長距離バスはかなり快適と聞きますし!)。箱根や熱海などのように気軽に行ける温泉というわけではないですが、わざわざ足を運びたくなるような魅力にあふれる滞在がかないました! 

49の客室全室が飛騨の魅力に浸れる「ご当地部屋」!

全国に21施設ある星野リゾートが手掛ける温泉宿の「界」は、ご当地の魅力に触れられる部屋やその土地ならではの体験がかなうのが特徴ですが、「界 奥飛騨」は客室全49室すべてがご当地部屋で天然木の優しい温もりを感じられ、飛騨ならではの伝統家具や工芸品に直に触れられるのがうれしいところ。28室には源泉かけ流しの露天風呂が備わり、その横には濡れたまま上がれてくつろげるソファーが配されているのもさすが。

ベッドを包み込むようなヘッドボードは、曲木(まげき:木材を高温の蒸気などで蒸して柔らかくした後、型枠に沿って曲げ、その形を固定して乾燥させることで木の自然な曲線や形状を作り出す木材加工技術のこと)をモチーフに。飛騨地域の広葉樹の代表格であるブナ、タモ、サクラ、ナラの木のグラデーションが美しく、上質な眠りをサポートしてくれそうな期待感もたっぷり。

さらに地元の家具メーカー・飛驒産業による飛騨市産の広葉樹を用いた曲木チェアが配されていたり、800年の歴史ある山中(さんちゅう)和紙の行灯や木を使ったアートなど、さまざまな地元の名品がインテリアのアクセントに。その土地ならではの個性に触れながらも、とことん居心地のいい空間づくりを追求していて本当にステキ! 

露天風呂の外側の扉はシーンや気分に合わせて自由に開閉可能。昼間は解放感を楽しんだり、夜は扉を閉めてしっとり落ち着いた雰囲気にも…。

客室の洗面台にはおりじなるのアメニティも充実。大浴場に行く際に使える風呂敷は、持ち帰り可能なのもうれしい。

心地いい風が抜け、季節の移ろいを感じる中庭には源泉かけ流しの足湯も!

界 奥飛騨は東と西の客室棟、湯小屋棟、離れ、の4つの棟に分かれており、棟に囲まれた中庭があるのがまた特徴的。かつてこの温泉地にあった共同浴場に歩いて出かける文化をイメージし、大浴場や客室の露天風呂、中庭の足湯、さらに外への回遊がしたくなるような造りにあえてしているのだそう。湯けむりが漂う湯の川や遠くの壮大な山々を眺めながら足湯に浸かり、ボーッとしたり、読書したりする時間はなによりも最高の癒しに! 

 

冬はかなりの豪雪地帯なので、ひんやりとした空気の中、雪景色を楽しみながらの足湯もまた風情がありそう。足湯は源泉かけ流し、泉質はナトリウム・カルシウム一炭酸水素塩・塩化物泉。保温効果が高く、肌をなめらかに保つ効果が。

「界」滞在中、「ご当地楽」は体験したい楽しみのひとつ!

地域の特徴的な魅力を楽しめるよう、伝統工芸、芸能、食などを満喫できるおもてなし「ご当地楽」がそれぞれの宿に準備されている「界」。「界 奥飛騨」では、曲木のバッグハンドルづくりを体験できます。1,300年以上ともいわれる飛騨の匠の歴史に触れながら、実際に檜の板を自分で曲げてバッグハンドルをつくっていきます。

あらかじめ蒸して柔らかくした檜を、半円型の型に押し付けるようにして圧をかけてゆるやかな弧を描くように曲げていき、乾燥させたら、あっという間にハンドルが完成。圧をかける際にはちょっとコツがいりますが、伝統の技をヒントに職人になったかのような気分に浸れる体験はとっても有意義!

曲木のバッグハンドルにオリジナルの風呂敷を結べば、ミニバッグのできあがり! これを持って温泉街を歩くのも乙ですね!

「ご当地楽」が行われるのは、中庭に面した離れ棟。滞在中自由に利用できるスペースで、ご当地の歴史や文化、自然、工芸にまつわる本やこの地に伝わる物語などを読みながら、おいしいコーヒーをいただけるのも魅力です。

大浴場は雪の回廊がモチーフに!

大浴場は奥飛騨の豪雪地帯によく見られる雪の回廊をモチーフに。頭上にっぽかりと穴が開いているので、空を見上げながら温泉に浸かり、心身ともにリラックス! 夜は光輝く星空を見られるのもうれしいポイント! 今回客室にも露天風呂がありましたが、また違ったノスタルジックな気分に浸れる空間でした。

湯守りによる「温泉いろは」に参加!

界の湯守りは、従来の泉質や大浴場の管理のみならず、地元の食や文化も紹介する湯治旅の案内人。界 奥飛騨では、湯守りの方が奥飛騨温泉郷平湯温泉の歴史とともに泉質や効果的な入浴法を説明する「温泉いろは」の体験も。界 奥飛騨のある平湯温泉の1日の温泉の湧出量は1,000万リットルで、全国でも有数の湧出量を誇るのだとか。日本自宅のお風呂に換算するとなんと130年分! 戦国時代に武田家の軍が白猿に導かれ、平湯の温泉で傷を癒したという開湯伝説もあるのだそう。プチ知識を知ってから温泉に入ると、なんだか効果実感が増す気がしますよね!

温泉いろはに参加するともらえる「お湯印帳」。ご当地モチーフが描かれたスタンプ「お湯印」が押せ、湯治体験の感想や旅の記録を書き込める手帳。界の施設をめぐり、スタンプを集める楽しみも♪

お待ちかねの夕食は、地元の食文化を生かした会席料理

夕食は半個室スタイルの食事処で人目を気にせずゆったりと。最初に供されるお膳はなんと、開運魔除けのお守りとして飛騨で親しまれている、代情(よせ)山彦人形とともに登場! そんな地域ならではのちょっとしたサプライズも楽しい♪

季節の旬菜をはじめ飛騨牛など地方の食材もふんだんに使いながら、目でも舌でもたっぷり楽しめる多彩なメニュー構成。料理の盛り付けには囲炉裏端を思わせるデザインの古材が活用されていたり、プレゼンテーションにも風情を感じます。

デザートは七輪の網の上に焼きマシュマロがのっていて、みたらし餡をかけていただくスタイル。食べ終えたら網の下には黒ゴマアイスがお目見え。二度おいしい別腹デザートで、大満足の夕食タイムでした!

ちなみに夕食時には飛騨の地酒の飲み比べセットも堪能。力強いどぶろくに、スキッと辛口、旨口の日本酒、美味でした!

翌朝は心身を目覚めさせる体操からスタート!

翌朝は、15分ほどの体操プログラムに参加。山々から昇る朝日と朝の澄んだ空気を全身で感じながら、ストレッチや斧で大木を切る動作でリフレッシュ! じんわり汗をかいて、また部屋に戻って温泉に浸かるひとときが最高でした♪

地元の恵みをたっぷりと! 朝食も大充実

朝食には豪雪地帯の飛騨ならではの、にんじん、かぼちゃ、椎茸、2種の大根など干し野菜をふんだんに使った滋味深い鍋に加え、きびのほう葉蒸し、鮎の甘露煮、めしどろぼう漬けなど、カラダが喜ぶバランスのいいお膳が。朝から温泉にゆったり浸かり、ヘルシーな和朝食をいただき、元気満タンチャージできました!

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photo&text:NORIKO MONJI

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門司紀子

門司紀子

学生時代に女性ファッション誌のアシスタントとして雑誌作りのキャリアをスタート。フリーランスエディター&ライターとして、美容、旅、食、レシピ監修まで手掛ける。強靭な胃腸&体力をもち、国内外を貪欲に旅する弾丸トラベライターとしても活動中。とくに台湾を愛し、訪台歴は60回以上。台湾の充実の食ガイド『台北エリア別満喫旅 食べまくり!』をはじめ、著書4冊。

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