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オトナミューズ編集部

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黒木華さん撮り下ろし&インタビュー「これを見た方に悪い役をやらせたいって思ってもらえたら嬉しい(笑)」

『芯の強さと儚げな部分が交差する内面を
ファッションを通して表現したかった』
ーーメイクアップアーティストUDAさん

黒木さんとは以前、2度ほどお仕事でご一緒させていただくことがありました。初めての現場がファッションの撮影だったのですが、服の見せ方やムード作りが絶妙で、とても楽しんで撮影をされている方なのだな、というのが印象に残っていて。そこで今回はファッションの要素を多めにしたディレクションにしようと決めました。

 

黒木さんには、柔和でーご自身でもおっしゃっていましたが、演じている役柄からか“和”というイメージがありました。一方、撮影前の打ち合わせの際には、邦画より洋画を観る機会が多いことや、悪い女の役を演じてみたいとお話しされていたのが印象的で。他にもパンクが好きという話などを伺って、柔らかな心像の裏には必ず芯の強さがあるはず、と感じていたことの確認ができ、腑に落ちる部分がありました。

そこで、今回は黒木さんのなかにある強さと儚さがアンバランスに揺れているような内面的な部分を、ファッションを通して表現できたらと思いました。それを広げるキーワードを探していたとき、偶然見つけたのがマルコム・マクラーレンの1枚のポートレート。パンクの父とも呼ばれている彼のスタイルは、ルールに縛られない自由さと根底にクラシックなエッセンスが絶妙な按配で組み込まれているように見え、何かヒントとしてピンッとくるものがありました。さらに、そんな彼と相棒のヴィヴィアン・ウエストウッドによる1982年秋冬コレクション『Nostalgia of Mud』には、民族っぽいのにパンクなムードがあり、今までの黒木さんのイメージにない世界観だけど絶妙に合う気がしました。

 

正直、ご本人に楽しんでいただけるか、やってみるまで不安もありましたが、杉浦(加那子)さんが最後まで調整してくれたスタイリングもあり、撮影を進めていくなかで、黒木さんもいろいろキャッチしてくださって、とても楽しみながら委ねてくれた感覚がありました。それをしっかり引き出していってくれたフォトグラファーの(岡本)充男さん、強さや厚みを加えてくれた(ヘアの)NORIさんの力もあってとてもよい空気ができ、今回もちょっと冒険的で新鮮なイメージが生まれたような気がします。

Profile_黒木 華(くろき・はる)/1990年生まれ、大阪府出身。2010年、NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」でデビューし、2011年より映画やドラマに出演。『小さいおうち』(2014年)では第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞を日本人最年少で受賞。近年の主な出演作に大河ドラマ『光る君へ』、舞台『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』、映画『アイミタガイ』などがある。

 

Profile_UDA(うだ)/大手化粧品会社にてPRやマーケティング、教育、店頭プロモーションなどさまざまな業務に携わり、その後独立。現在は国内外のエディトリアル、コスメティック、ファッションのキャンペーン広告、ショーなどのメイクアップを担当。2021年に日本の季節にフォーカスした初の著書『kesho:化粧』(NORM
AL)を刊行し、話題を集めた。

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direction & make-up:UDA[mekashi project] photograph:MITSUO OKAMOTO styling:KANAKO SUGIURA
hair:NORI TAKABAYASHI [YARD] model:HARU KUROKI interview & text:MIYU SUGIMORI

otona MUSE 2025年3月号より

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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