Interview

今まで以上にセルフケアを集中して行うことで心の芯が整ってきた、と柔らかな笑顔で語ってくれたローラ。そんな彼女が2025年、大切にしたい想いや新たにチャレンジしたいこととは？

interview & text:HIROKA AMANO

LAを訪ね、初の表紙撮影とインタビューを行ったのは2023年の初秋。あれから約１年半。生活や仕事、心境にどんな変化があったのか……。帰国を知り、久しぶりに話が聞けることを楽しみにしていた矢先、彼女のSNSからは、新たなプロジェクトによるアイテムのローンチや、教習所の合宿に参加して運転免許を取得するなど、数々の驚きのトピックが飛び込んできた。常にアクティブに、さまざまな挑戦を続けるローラの現在地、そしてこれからの展望は？ うららかな日差しが差し込む冬のスタジオで、話を伺った。

去年はね、すごく自分が成長していることを感じられた1年だった。以前の私は“心のクセ”っていうのかな、自分自身の嫌な部分を認めたくないというか、強がって常に完璧を求めてしまっていたの。その結果、心を壊してしまうこともあった。でも今は自分自身を知って、認めてあげることが心の成長に繋がることが分かってきたの。自分と向き合うためには何をしたらいいのかを考えて、自然の中に身を置いたり、瞑想や運動をしたり。今まで以上にセルフケアを集中してやるようにしてみたんだ。そしたらね、少しずつだけれど、自分の心の芯が整ってきているのを実感できるようになったの。それには誰とでも問題なくコミュニケーションできるくらい英語が話せるようになって、自信がついてきたっていうのもあると思う

仕事も絶好調。2020年にローンチしたエシカルでサステイナブルなライフスタイルブランド『STUDIO R330』をはじめ、地球環境を考えた活動にも積極的に取り組んでいる。

地球のことをいろいろ勉強しているとね、日本に辿り着くことが多いんだ。例えば、江戸時代の人たちの生活ってものすごくエコだったの。今、私はお茶の世界に夢中なんだけれど、茶道は私にとって心の学校のようなものなの。常に“今”を生きる気持ちにしてくれる。人はどうしてもマインドが過去か未来に向いてしまいがちじゃない？ でも茶道って手順が決まっているから、集中していないと順番が崩れちゃう。余計なことを考えず“今”に集中すると、自然と今を生きる大切さが分かってくるの。『足るを知る』っていう考え方があるけれど、まさにそれ。お茶を静かに淹れていると自分自身を愛する気持ちが溢れて、これで十分なんだって教えてくれる。それにね、茶道は日常の所作を美しくもしてくれるの。歩き方が変わったり、冷蔵庫の開け閉めやお皿の洗い方が丁寧になったり。自宅にゲストが来るなら、手作りのものを用意してお茶を淹れようとか、そんなおもてなしがナチュラルにできるようになる。そう考えられる自分を好きになれるし、心地よく過ごせる。全てがセルフラブに繋がっているよね。だからお茶のクラスに行ったあとは、すごくハッピーな気持ちになれるから、こんな素晴らしい日本の伝統を、世界中の人にもっと経験してほしいなって思っているよ

彼女のポジティブな思考の連鎖は、さまざまな活動に繋がっている。例えば資格を取得するほど造詣が深いアロマやハーブ。今回そのセンスと知識に惚れ込んだ水原希子さんと、彼女が手がけるブランド、ｋｉｉｋｓとのコラボレーションが実現した。

私がアロマや環境保護の勉強をしているのを知っていた希子ちゃんと一緒に、ヘアオイルを作りました。椿油やホホバオイル、それにとっても素晴らしい茶実油をブレンドしているんだけれど、茶実油は鹿児島県錦江町田代地区の耕作放棄地のものを使っています。農業離れは日本の深刻な課題。だからこのヘアオイルはその解決や農業復興の貢献にも繋がるプロジェクトになったらいいなって思ってる

しっとりまとまるけれどベタつかない、丁度いいバランスのヘアオイルは、使用感はもちろん、心地よく穏やかな香りで髪を包み込んでくれる。

香りはね、インスピレーションですぐできちゃった。白檀とジャスミンをミックスしたの。白檀ってね、私は瞑想のときによく焚いている香りなんだけれど、嗅いでいるとご先祖様たちに守られているような気持ちになるんだ。そこにジャスミンを入れて、ちょっとセクシーさやエキゾチックさを感じるように。とっても自信作だから、ぜひたくさんの人に使ってみてほしいな

LAでの生活も9年目に。ローラの2025年はどんな1年になるのだろう？

１年、２年、３年って、毎日はあっという間に過ぎちゃうから、しっかりスケジュールを立てて、やりたいことを思いっきりやろうって気持ちがどんどん高まってるの。今年は初めて1年のプランを立てたの。この月にはこれをやる、って具体的なスケジュールをみっちり詰めてみた。今までは、目の前のことに全速力だったけれど、毎日を後悔なく、目標に向かって前進していく年にしたい！ って思ってるから

具体的に、どんなことに取り組もうと思っているか尋ねてみると「農業の楽しさを伝えていきたい」という意外な答えが。

私ね、食べるものとマインドはすごくエフェクトしているなって思うから、食事にはずっと気を使ってきた。お肉を少し控えるようにして、栄養たっぷりの玄米を食べる生活を続けてるの。実は私のママのルーツは新潟にあって、新潟ってお米の町でもあるから、お米に関して何かできないかなって思って田植え経験をしたり、いろいろな本を読んでお勉強したりしていたんだけど、去年新潟で農家をしている方を、たまたま希子ちゃんに紹介してもらう機会があって。その方と連絡をとったら、雑穀栽培を提案してくださったの。それで実際に経験させてもらったら……すっかり取り憑かれちゃった（笑）。キビやアワといった雑穀って、栄養のバランスがすごくいいし、縄文時代から食べられているくらい古い歴史があって。種類もたくさんあるし、何よりとっても美味しい！ 火を通したジャガイモと黄色くてツブツブな“もちきび”っていう雑穀をオリーブオイルやお塩と混ぜ合わせたシンプルな料理がお気に入りなんだけれど、もう本当に美味しいの！ 雑穀って1万年以上争いのない縄文時代に食べられていたんだって。それを聞いて、やっぱり食べ物と心の関係って大きいのかなって、改めて思ったら、どんどんその魅力にはまっちゃった。そんな雑穀が、今はほとんど食べられなくなってしまっているのが現実。だから私、その魅力を伝えるためにも、もっと農業を盛り上げられるような活動を頑張りたいって思ったの

やると決めたら、真面目で一途なローラ。なんと今年は月に1回帰国し、新潟で雑穀栽培を本格的に行うというのだ。

私自身が土に触れたり、種から育てたり、ちゃんと実情を知らなきゃ人に伝えられないから、1年かけてしっかり勉強してみようって思ってる。かなり大きな覚悟だけれど、ワクワクする気持ちがどんな感情にも勝っているから、もう楽しみでしかないよ！

顔やからだは心を映す鏡といわれるけれど、聡明で、凛としていて、しなやかで……。インタビュー中はチャーミングで愛くるしく、誰をも笑顔にさせてしまうローラ。でも、カメラの前に立った瞬間に空気がガラリと変わる。内面から滲み出るパワーとそのオーラに、彼女から目を離すことができなくなってしまった。

私はモデルのお仕事ができていることをすごく有り難く感じていて、その気持ちは年々増していっているの。ギフトとしてもらったこの顔やからだで、デザイナーさんが作ったお洋服を表現したり、思っている言葉を発信したりできることはとても楽しい。だからこの仕事はずっと続けていきたいと思っています

彼女の「表現」はモデルだけに留まらないようで、今年は新たな取り組みが他にもあるそう。

映画を撮っている友だちがいて、その作品に出ることになったから、演技のトレーニングをずっとしているの。まだ具体的なことまでは決まっていないけれど、やりたいことは思いきりやることが大切だなっていうマインドスイッチが入った今は、後ろを振り返らずにやってみようと思ってる！ 急に思い立って取った（運転）免許もそう。合宿の初日は、無理無理無理、こんなに覚えられないよ、って挫けそうになった。毎日宿題もたくさんあるし。でもね、期日があると頑張れるってことを身をもって感じられた。だからバランスよくスケジュールを立てて、１日１日を無駄にしない生き方を今年は頑張る。楽しみ！