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オトナミューズ編集部

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二階堂ふみが語るメイキャッパーUDA氏「メイクを通じて私という存在を深く掘り下げ、引き出される感覚がありました」

BEHIND THE SCENES

ここでは連載のディレクションを務めるメイクアップアーティストのUDAさんと二階堂さんに、今回のクリエイティブのテーマであり、ふたりの共通点である “藤田嗣治”について語っていただきました。

『人と人とが直接向き合い、深く語り
合うことの豊かさを感じた撮影でした』
ーー二階堂ふみさん

「テーマにあるアンナ・ド・ノアイユがサロンのオーナーだったことを伺って、私も30代の目標がサロンを開くことだったので、嬉しくなりました。撮影のなかで仮にその役割を担えたことも、とても楽しかったです」

 

二階堂さんが思い描くサロンは、特定の分野に縛られず、多様な視点が交わる場所だ。「ジャーナリストや俳優、学者など、異業種の方々が集まって対話を重ねることで、新しい発見が生まれるような場を作りたいんです。たとえば、日本にもかつて銀巴里といった文化交流の場があったことを、美輪明宏さんから伺ったことがあります。さまざまな文筆家やアーティストが集い、自由に意見を交わしていたという話がすごくロマンティックで面白く感じられて。デジタルが主流の今、対話の場がどんどん減っている気がします。だからこそ、誰もが自由に話し、偶然の出会いや議論が生まれるアナログな場を作りたいという思いが強くなりました」。人間への深い関心をもつ二階堂さんが藤田嗣治の作品に惹かれるのは、描かれるモデルたちの人間性の奥行きに繋がっているのかもしれない。

「藤田の絵は、単なる美しさだけでなく、被写体の背景や人生を感じさせる力があります。特に沖縄の文化を描いた作品に強く心を動かされました。明治政府によって禁止された、女性の手の甲に入れる針突(ハジチ)という入れ墨を描いた作品があるのですが、それをすごく丁寧に、愛情を持って表現しているんです。当時は美の基準が今よりも固定的だったはずなのに、彼は人種や文化を超えて、多様な美を肯定していた。100年前にそんな価値観を持っていたことに感動します。

 

また、撮影中私が感じたのは、UDAさんが色を通して私の人間性を見抜こうとしていることでした。メイクは単なる装飾ではなく、私という存在を深く掘り下げ、引き出される感覚がありました。まるで藤田が女性を描くときのような、細やかで愛情がこもっているかのように。撮影前にもたくさんお話しさせていただけて、改めて人と人とが直接向き合って、深く語り合うことの豊かさを感じられた撮影でした」

ドレス¥275,000※参考価格(ユークロニア)
本ページで出演している“鴉の政所”通称カラちゃんは、二階堂さんが一時保護をしていたわんちゃん。

Profile_二階堂ふみ/1994年生まれ、沖縄県出身。映画『ヒミズ』(2011年)で第68回ヴェネツィア国際映画祭における日本人初の新人賞を受賞し注目を集める。以降、映画・ドラマ・舞台で幅広く活躍し、高い演技力と存在感で主演、助演問わず多くの作品に出演。本年公開予定の映画『遠い山なみの光』では、繊細な心情表現に磨きをかけ、さらなる進化を見せる。

 

Profile_UDA/大手化粧品会社にてPRやマーケティング、教育、店頭プロモーション等さまざまな業務に携わり、その後独立。現在は国内外のエディトリアル、コスメティック、ファッションのキャンペーン広告、ショーなどのメイクアップを担当。2021年に日本の季節にフォーカスした初の著書『kesho:化粧』(NORMAL)を刊行するなど、常に新しいアプローチを試みている。

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direction & make-up:UDA[mekashi project]
photograph:YUKI KUMAGAI
styling:TOMOKO KOJIMA
hair:YUSUKE MORIOKA[eight peace]
model:FUMI NIKAIDO
interview & text:MIYU SUGIMORI

otona MUSE 2025年4月号より

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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