「ジュエリーは老後のための投資」「ロゴに頼らない」金子綾と百々千晴が語る【40代のラグジュアリー】

多くのファッション業界人がそのセンスのよさを絶賛し、読者人気を二分するスタイリストの金子綾さんと百々千晴さんにフィーチャー。ラグジュアリーブランドやそのアイテムを日常的に、どのように自身のスタイルに取り入れているのか? 共に40代で、同世代でもある2人のトークからそのバランス感覚を学んじゃいましょう!
初セッション♥ R40世代の等身大アイコン2人の対談実現
気負わず、等身大なそのスタイリングに多くの共感と憧れを集める金子さん&百々さん。意外にも今まで交わることのなかった2人のクロストークには、お買い物の醍醐味やファッションとの向き合い方のヒントが満載です。
金子綾
“好き”と“らしさ”を追求したスタイルは気づけばその緻密さの虜
1979年生まれ、45歳。「流行っているから買う、は私の中にはない」と2018年に上梓した3冊目の著書『a only.』(小学館刊)で断言しているとおり、自分に似合っていて“らしく”いられる服を選び取り、着こなすセンスが抜群の金子綾さん。代名詞でもある黒をベースにしたシンプルで女らしさの光る着こなしは、キレのよさだけでなく、チャーミングな可愛げも潜んでいて、思わず真似したくなるR40女子が続出。毎日OOTDをアップしているインスタグラム(@ayakaneko)のフォロワー数は22.3万人に及び、YouTubeチャンネルでもリアルな購入品紹介動画が高い人気を誇る。ディレクションするブランドCOUDRE(クードル)はもちろん、数々のブランドとのコラボも注目度が高く、“金子売れ(金子さんが着ると売れる)”という言葉が生まれるほど、その影響力は大きい!
著書も数多く上梓。ベーシックな服をこなれて魅せるテクニック、小柄(158㎝)に見えない着こなしバランスの妙など、今読んでも参考になるTIPSがいっぱい!
2年前にスタートしたYouTubeチャンネルは、心地よいトーンの声とテンポで思わずずっと流し見てしまうと噂。
百々千晴
シンプルをこんなに素敵に魅せられる人って他にいない
1980年生まれ、44歳。スタイリストとしてだけでなく、登録者数が12.5万人を超えるYouTubeチャンネルや、インスタグラム(@dodo_chiharu)で見せる自然体な姿、トークの面白さも魅力で、その人柄にも多くのファンがいる百々さん。そんな彼女の着こなしの軸となるのはデニム。2018年に上梓した初の著書も『THE DODO JEAN ジーンズ3本でスタイルは決まる!』(ワニブックス刊)。自身がプロデュースするライフスタイルブランドTHE SHISHIKUI(シシクイ。出身地である徳島県宍喰町が名前の由来)は、モデルやタレントにも愛用者多数。さらに昨年、グッズショップVAKT.(バクト)もローンチ。その両方がチェックできる東京・青山のフラッグシップショップは連日客足が絶えない。
THE SHISHIKUI B東京都港区南青山5-11-24 1F A12:00〜19:00 ㊡火〜木
ジュエリーは老後を楽しむための投資です by DODO CHIHARU
百々さん私物のマルゴー。色やレザーの種類で表情が変わるのでつい欲しくなってしまうそう。
VACT.のインスタライブ中の百々さん。THE SHISHIKUIのニットを着た手元にはカルティエのベニュワールがキラリ
ロゴに頼らない長く愛せる魅力がある by AYA KANEKO
娘さんの入園式の日、Diorのセットアップを着た写真をポストした綾さん。バージャケットを想起させる綺麗なシルエットに♡。
YouTubeでも紹介しているPRADAのブルゾンはフードをまくると小さなロゴがキラリ。確かにこれは着ちゃうとどこのか分からない!
百々さん(以下D)金子さんとこうして面と向かって話すの、実は初めて。オトナミューズじゃなきゃ、なかなかお会いする機会がないですよね。
編集部(以下編)初セッションよろしくお願いします♡ うちの読者アンケートや公式Webサイトの閲覧データを見ていると、お2人が買ったものや注目しているトレンドの記事への関心度がすごく高いんですよ。
金子さん(以下K)ありがとうございます(照)。
編 読者にとって自分を投影しやすい、理想的なスタイルアイコンなんだと思います。だから、今回はそんなお2人に近ごろのラグジュアリーなお買い物事情を伺いつつ、40代半ばになった今、買い方や価値観の変化について聞きたいなと思って。最近、どんなものを買いました?
D えー、なんだろう。そう言われると思い出せない。想像されるほど、ばかすか買ってないんですよ(笑)。欲しいものに出会ったら買うけど、ここ半年はそんなにかな。
編 いやいや、絶対ありますって。今日着てるレザージャケット、この間、一緒にいるときにプレスルームでやっぱりいいねってチェックしていたプラダのですよね?
D あ(笑)。あの後、買っちゃった。
編 ほら! 他には、他には?
D なんだか確定申告のときの税理士さんばりにグイグイくるね(笑)。
K 私は最近より一層“どこのブランドなのか分からない”ものを選ぶようになったかな。基本的にモノトーンの服が多くて、スタイルのベースはコンサバなので、そういうラグジュアリーブランドのものって、生地やシルエットの美しさですでに圧倒的な存在感があるんですよね。素敵な服は着たいけど、変な迫力は出したくない。そうでなくても年齢的に圧があるから(笑)。そういうバランスを意識するようになりましたね。
D 私は洋服に関しては、そのときのトレンドやムードを取り入れる感じかな。その代わり、ジュエリーや時計といった貴金属には躊躇せず投資します! 老後は高級老人ホームに入って、楽しく長生きしようと決めてるので、その資金源でもある(笑)。たくさん使って、いざとなったら、全部つけて入居して、死ぬまでとことん活用しますよ。
一同 (大爆笑)
K ジュエリーは娘たちに譲れる自己完結しない買い物って思っていたけど、百々さんの考え方もありだよね(笑)。そういえば、昨年末に思いきって、ダイヤのパヴェがあしらわれたカルティエのベニュワールを手にいれました。40代に入って“チャーミングな人”でありたいってテーマを持つようになってからは、繊細で愛らしいデザインに魅かれます。ヴァン クリーフ アンド アーペルのフリヴォルのピアスも気になる。
D ベニュワールは私も欲しいデザインがあります。イエローゴールドのブレスレットタイプで、ダイヤモンドがドット柄のように全体に散っていて可愛いの。同じ時計でもキャラが出ますね。私、金子さんってクラシックなアイテムをモダンに落とし込むのが本当に上手だなって、いつも思ってるんですよ。
編 そういう百々さんも、Tシャツ+デニムの基本のスタイルに、エフォートレスな小物で上品さをプラスオンすることが多いですよね。
D 確かにそうかもしれないけど、私はつい遊び心のあるデザインにも手を出しちゃうから。金子さんは私の中で、“ぶれないハイクラシック”な人。インスタでディオールのセットアップを着ていらっしゃるのを見て、センスの塊だなって思いました。
K あれは袖を通した瞬間、仕立ての美しさにぶわっと心が震えて、想像以上の自分に格上げしてくれるようなパワーがあったんですよね。日常的に着るものではないし、これまた一見どのブランドのものか分からないので完全に自己満ですが(笑)。やっぱり私は服が好きなんだなと思ったし、これがラグジュアリーなアイテムの魅力かって実感させられました。
編 百々さんは、ラグジュアリーの魅力って何だと思いますか?
D いいエネルギーをもらうってことなのかな。これだ! ってものを買うときって、いくつになってもドキドキするんですよね。20代のとき、初めてティファニーのイエローダイヤのリングを買ったんですが、喜びと緊張が入り交じって震えました。40代になった今でも、そのときと同じように素敵なアイテムを買うときは胸が高鳴る感覚があるから、いいものには何か自分の活力になるパワーをもらえてる気がします。
K 私は一期一会の“出会い”も大切にしていて。つい先日も、シャネルで目が覚めるような鮮やかなピンクのバッグに一目惚れして、思わずお迎えしました(笑)。
編 それ、コンサバ派にはかなり大胆なアイテム(笑)。
D 結局私たち「可愛い!」ってトキめいたら、欲しくなっちゃうんですよ。
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※この特集の掲載アイテムは全て本人私物です
photograph:NAOKO ISEKI interview:HIROKA AMANO
otona MUSE 2025年7月号より
EDITOR
37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。