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【満島ひかりインタビュー】創作の最初のチームメンバーは「過去の自分たち」。MV撮影の舞台裏を語る

【満島ひかりインタビュー】創作の最初のチームメンバーは「過去の自分たち」。MV撮影の舞台裏を語る

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COVER MUSE HIKARI MITSUSHIMA

満島ひかりさん自らが手がけるクリエイションレーベル“rhapsodies”より発表された楽曲「LOST CHILD」のミュージックビデオ、みなさん御覧になりました? 鮮やかな赤いドレスを纏いワルツのリズムで踊る満島さんを追ったビハインド・ザ・シーンのスチールがあまりにも素敵だったので、今回特別に写真をお借りし、それを軸にイメージを膨らませて撮影、ひとつにまとめました。異なる時間と空間をチカ キサダのたっぷりのチュールが繋ぐストーリーをお届けします。

赤いドレス ¥429,000(チカ キサダ)

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Tシャツ¥37,400、パンツ¥242,000、ボディスーツ¥40,700、バッグ¥63,800、チャーム¥16,500、シューズ¥56,100(全てチカ キサダ)、ネックレス¥137,500、チャーム[22K×SLV/ボールチェーン付き]¥306,900、ブレスレット¥187,000(全てクロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)

ジャケット¥81,400、ボディスーツ¥40,700、スカート¥154,000、シューズ¥56,100(全てチカ キサダ)、シングルピアス¥232,100(クロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)、ソックスはスタイリスト私物

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トレンチコート¥297,000、カーディガン¥48,400(共にチカ キサダ)、ブレスレット¥187,000(クロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)

Tシャツ¥37,400、パンツ¥242,000、ボディスーツ¥40,700、バッグ¥63,800、チャーム¥16,500、シューズ¥56,100(全てチカ キサダ)、ネックレス¥137,500、チャーム[22K×SLV/ボールチェーン付き]¥306,900、ブレスレット¥187,000(全てクロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)

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INTERVIEW WITH HIKARI MITSUSHIMA

役者として数々の物語を生きながら、音楽を中心としたもうひとつの表現の場を育んでいる満島ひかりさん。その活動の輪郭が、自身のクリエイションレーベル“rhapsodies”を通して浮かび上がる。

赤いドレス ¥429,000(チカ キサダ)

連想が連想を呼ぶように自然にかたちになってゆく

 昨年主演を務めた映画『ラストマイル』は、多くの観客に愛され爆発的な大ヒットを記録。現在も公開を控える出演作が複数ある満島ひかりさんに、インタビュー冒頭、「ずっとお忙しい日々を過ごされていたのではないですか?」と、問いかけた。ありふれたその問いに、満島さんは少し笑いながらこう答えた。


「目まぐるしい日々でもあるけど、忙しいという言葉とは違う進み方で……なかなか答えるのが難しい質問ですね。イマジネーションを豊かにしながら、確かな選択ができるスキルを身につけていくと、たくさんの余白も暇も生み出せるようになっていて……」


 無意識に応じてしまいそうな問いかけにも、感覚の流れにわずかな違和感を覚えると、そっと風向きを変える。そのささやかな身振りのなかに、満島さんらしい繊細な感受のあり方が滲んでいた。


「潜在意識の中にある目を向けたくない自分の姿とか、ちょっと恥ずかしいくらいドリーミーな感性とか、それとは逆に外の世界と繋がるための第六感のようなものまで包んでくれるのが、音楽の豊かさだなと感じます。お芝居をするときとはまた違って、社会を生きる人間でいなくてもいいというか。たまに人間じゃない役柄や性別を超えた役柄もあるので一概には言えないけど、音楽の中の時間とお芝居の時間は、少し違う領域にあるような気がします」


 そう話す満島さんは、2年前に始めたばかりの自身のクリエイションレーベルrhapsodiesから今年の春、ニューシングル「LOST CHILD (Prod. MONDO GROSSO)」をリリースした。


「ある日ラジオから流れてきた「LOST CHILD」のメロディーと歌詞に惹かれて、気づけば何年も、ふと口ずさんでいました。この名曲を歌い継ごうと決めた自分に驚きます」


 2001年に藤原ヒロシ+大沢伸一 feat. クリスタル・ケイ名義で発表された「LOST CHILD」を満島さんがカヴァー。大沢伸一さんがリアレンジを手がけることで、本作は新たなかたちへと生まれ変わった。制作の過程では、香りや情景、気分など、五感のイメージを頼りに大沢さんとやりとりをしたという。


「カッコつけないで、愁いを隠さないままで大沢さんの音の世界に立てたらと思うんです」


 当時、満島さんはインド・ジャイプールに滞在していた。
「幻想じゃなく、現実の美しさが、歌詞の世界とリンクして漂ってくるようでした。“ピンクシティ”と呼ばれるジャイプールの夕暮れは、みんなをやわらかい桃色の光に包んで、薔薇の花びらがそこら中に落ちていて。寺院の前では、ヒンドゥー教徒の人々が薔薇水をまとって、街路では男たちが楽しそうに首飾りを編んで。花の香りと光、街の喧騒とネオンがもう、名作のアジア映画のようにリアルなんだけどロマンティックで、振り返ると失くなりそうな切なさも含んでいて。「LOST CHILD」への新しい解釈がやってきたんです」


 その印象を込めて、薔薇の香りのキャンドルにメッセージカードを添え、大沢さんに贈ったところ、「キャンドルを焚きながらアレンジしています」と返信が届いたという。「連想が連想を呼ぶように、自然と曲がかたちになっていく。そのプロセスがとても楽しかったです」

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創作のはじまりのメンバーは過去の自分たち

 作品としてかたちを与える、もっと手前の段階。言葉になる前の感覚の領域を、日々耕すようにして丁寧に向き合っている。そんな印象を抱かせる満島さんの創作の土壌は、いかに育まれてきたのだろう。


「意識したり考えたりすることと、野放しにしていたらぶつかる偶然とが、シンクロするタイミングがいつもあるんです。生きてきた39年の間に出会った人たち、訪れた場所、起きた出来事、そこで感じた感情や空気が、ある瞬間にふっと“今”に寄ってくる感覚があります」


 実際、創作をはじめるときにいちばん最初に集まってくるのは「過去の自分」だと重ねる。
「ある日ふいに浮かんだアイデアにも、それに至るまでの感覚の歴史のようなものがあって。だから、本当の最初のチームメンバーは、過去の複数の自分かもしれません」


「LOST CHILD (Prod. MONDO GROSSO)」のミュージックビデオ制作においても、そうした歴史を垣間見る。舞台となったのは、満島さんの友人家族がかつて暮らしていた、思い出の詰まった海辺の家。映像ではその家を「解体すること」がひとつの終着点として描かれている。


「林響太朗さんに監督をしてもらえたのも、素敵な必然でした。いくつか提案していただいた撮影アイデアの中に、“女性が家の前で踊る”というイメージがあったのですが、それを見た瞬間にあっ!と」


 思い浮かんだのは、2年前。自らの手でその家を建てた“友人の父親”と交わした言葉だった。「『自分の手で建てた家を解体しなきゃいけないんだけど、余裕がなくてね』っていうお話を聞いて、『いつかその家を映像に残してから解体するのもいいかもしれませんね』なんてお互いに盛り上がっていたんです。その“いつか”が、巡ってきたんだと思いました」
 完成した映像では、モノクロのスクリーンのなか、赤いドレスを纏った満島さんが家の記憶とともに踊る姿が収められている。


「赤いドレスは、大沢さんにリアレンジをお願いしたときにいくつか挙げたキーワード、“ワルツのリズム” “花嫁と花婿が去った後の薔薇の花びら”から響太朗さんが提案してくれました。映像をモノクロにするアイデアは、配信と合わせてリリースしたレコードのジャケットから着想を得たようです。その写真は、俳優の坂東龍汰さんの作品撮りに参加したときの素敵な写真で、映像の中で解体した家は、坂東さんが子どものころに過ごした家でもあるんです」


 海辺に家がある。赤いドレスを纏う。映像はモノクロ。それだけの要素で「撮影チームそれぞれが、内側にある幼い記憶とか大切なことを想える、自然で優しい空気の現場になりました」と話す。


「あまりにストレスがなさ過ぎて、“おっとっと”とよろけそうになるくらい。負荷を軽くすることには慣れてきたけど、これからは自由をコントロールする筋力を意識したいと思うほどでした」


 そして、その撮影の舞台裏を記録したのは、本誌の撮影を担当した写真家・黄瀬麻以さん。誌面では、記録の一部を特別に掲載している。


「もうすぐ解体される家を相手役にして踊るって、イメージするだけでロマンティックな時間ですよね。そしてとっても寂しくもありました。リハーサルの日にはみんなで海に沈む夕日を浴びて、撮影の朝はみんなで朝食を食べて。最後の日、壊れていく家に、失うことと再生する力の両方を見た気がします」


 力みのある関係は、自らの力みから生まれていたんだと自覚しているという満島さん。日々経験を重ねる中で「自分だけや数人の力だけでは作れない。関わる全員で一緒に作れたら、作品以上になれるんだ」と実感するようになった、とも。


「自分たちが船長になって、大きなものの力を借りない作品作りは、今まで経験してきたことや出会ってきたことを活かせる場にもなっていて面白いし、感謝が溢れてきて、好きです」


 舵を取らず、導かれるように進むその姿勢には、子どものころに描いていた「錬金術師」という夢の面影も重なる。異なるもの同士をつなぎ、かたちを与えていく創作は、点と点を星座のように結びながら、物語を立ち上げていく営みにも似ている。そうやって満島さんが自分自身をほぐしていった背景には、日常のなかで育んでいる生活の感覚がある。


「今いちばん心地いいなと感じるのは、近所にある行きつけのお店に通う時間かな。仕事や学びの息抜きに、お散歩がてら“ハロー”なんてお喋りしながら近況を報告し合って、たまたま同じお店にいた方とも話して。職種はさまざまにお店を営む友だちが多いので、私の人生にないものを見たり聞いたりする時間を豊かに思います。当たり前だけど、街にはたくさんの暮らしがあって、同じ日は二度となくて。私には、“画面の中”で濃厚な一瞬を過ごす時間も、“画面の外”で世界中の人たちと循環する日々も愛しいです」

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Profile_みつしま・ひかり/1997年に音楽グループ「Folder」でデビュー後、俳優を軸に多彩に活動。今年4月に最新シングル「LOST CHILD(Prod. MONDO GROSSO)」を配信&レコードで発表。公開待機作に『夏の砂の上』「cocoon 〜ある夏の少女たちより〜」『ホウセンカ』『兄を持ち運べるサイズに』『時には懺悔を』。毎週放送中の「アイラブみー」では60役以上の声を担当。

この記事の画像一覧

  • Tシャツ¥37,400、パンツ¥242,000、ボディスーツ¥40,700、バッグ¥63,800、チャーム¥16,500、シューズ¥56,100(全てチカ キサダ)、ネックレス¥137,500、チャーム[22K×SLV/ボールチェーン付き]¥306,900、ブレスレット¥187,000(全てクロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)
  • ジャケット¥81,400、ボディスーツ¥40,700、スカート¥154,000、シューズ¥56,100(全てチカ キサダ)、シングルピアス¥232,100(クロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)、ソックスはスタイリスト私物
  • ジャケット¥81,400、ボディスーツ¥40,700、スカート¥154,000、シューズ¥56,100(全てチカ キサダ)、シングルピアス¥232,100(クロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)、ソックスはスタイリスト私物
  • トレンチコート¥297,000、カーディガン¥48,400(共にチカ キサダ)、ブレスレット¥187,000(クロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)
  • トレンチコート¥297,000、カーディガン¥48,400(共にチカ キサダ)、ブレスレット¥187,000(クロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)
  • Tシャツ¥37,400、パンツ¥242,000、ボディスーツ¥40,700、バッグ¥63,800、チャーム¥16,500、シューズ¥56,100(全てチカ キサダ)、ネックレス¥137,500、チャーム[22K×SLV/ボールチェーン付き]¥306,900、ブレスレット¥187,000(全てクロムハーツ/クロムハーツ トーキョー)
  • 赤いドレス ¥42,900(チカ キサダ)
  • 赤いドレス ¥42,900(チカ キサダ)
  • 赤いドレス ¥42,900(チカ キサダ)
  • 赤いドレス ¥42,900(チカ キサダ)
  • 赤いドレス ¥42,900(チカ キサダ)

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interview & text:NANAE MIZUSHIMA
photograph:MAI KISE styling:TOMOKO KOJIMA
hair:TETSU[SIGNO](p15-19), HIROKI KITADA(p14,20-21)
make-up:MICHIRU[3rd] model:HIKARI MITSUSHIMA

otona MUSE 2025年8月号より

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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