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「子どもが大きくなったら観せたい」ホラー作品と再会! 菅野美穂が語る最新映画『近畿地方のある場所について』

キャリアが長くなればなるほど、現場に「何かを持って行かなければ」と背負うものもある。ただ、本作においては、あえて空っぽで飛び込む。それが新しいチャレンジでもあった。


「感動や笑いと違って、“恐怖”は特殊なもの。見ている人に怖さはどう波及するのか、どの瞬間で怖いとなるのか、その予兆をどう仕込んでいくか。自分が怖がることよりも、見ている人に“不安が伝わる”ように演じるのは緻密な計算が必要でした。ホラーは瞬発力が大事な演技が多く、突然の驚き、思わず漏れる悲鳴、普段とは違った筋肉の動き……やり過ぎると途端に“演技感”が出てしまって興ざめしてしまう。今回は特に、監督の中にちゃんと計算された設計図があるのを感じていたので、自分のアイデアを持ち込むよりも、ノイズにならないことのほうが大事だなと感じていました。現場での私は、“BGMのひとつ”くらいでいい。観客の目に自然になじんで、気づいたら不安になっている、そんな存在であることを意識していました」

 

共演の赤楚衛二さんとは、ドラマで共演してから実に4年ぶり。がむしゃらに働いていた過去の自分を思い出す瞬間もあったそう。


「あれからずっと活躍されていて、近況を聞くととてつもなく忙しそうで、彼にとって『ああ、今が頑張りどきなんだな』と。私自身もかつて、寝る以外ずっと現場にいるような時期があって、そのころは『これをいつ乗り越えられるんだろう』って正直しんどかった。でも今、子育てをしながら振り返ると、演技だけに集中できる時間は本当に貴重で、あの時期にしか得られなかった大切なことがたくさんあったんだなとも思うんです。今の若い俳優さんたちは、SNSなどで発信について自分で考えないといけないし、余計な情報を勝手にキャッチしちゃうこともあるだろうし。共演させていただく若い俳優さんたちを見ると、勝手ながら心配になっちゃうくらい、大変な時代なんじゃないかなって思ったりします。“おば”ぐらいの気持ちで見守りたくなることは正直あります」

©2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

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photograph:AKINORI ITO[aosora] styling:CHIKAKO AOKI hair & make-up:TAMAE OKANO model:MIHO KANNO

素材の略号:WG=ホワイトゴールド、YG=イエローゴールド、GG=グリーンゴールド、G=ゴールド、SIL=シルバー、DIA=ダイヤモンド

otona MUSE 2025年9月号より

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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