西島秀俊「やらないで後悔したくない。だったら飛び込もう、って」映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』9月12日公開
この作品で描かれた日常の崩壊は、これまでに体験してきたことと無縁ではない
――本編にもありますが、内緒話などを分からない言葉でされると、不安になりますよね。
西島 いい話でも悪い話でも、何となく不安になりますよね。脚本にも描かれていたのですが、感情が先走ってしまうときは、どうしても母国語になってしまう、というのはとても共感できるところでした。完成した作品からはカットされていますが、賢治が日本語でブツブツと独り言や文句を言うシーンもありました。
――日常が壊れていくところに惹かれた、と公式インタビューでおっしゃられていますが、西島さんにとっての「日常にある歪み」とはどういうものと考えられましたか?
西島 本当に些細なことから始まったりするのではないかと思います。たとえばタイミングの悪いときに家族から“部屋を片付けて”とか“手伝って”と言われる。ジェーンと賢治もそういう日常の些細なことから次第にギクシャクしていき、そのフラストレーションの蓄積が息子の誘拐事件で一気に弾けてしまう。いつもの日常が何かをキッカケに突然壊れるということを、僕たちもこの10年くらいの間に震災やパンデミックなどで何度か経験しています。この作品で描かれた日常の崩壊は、これまでに自分自身が体験してきたことと無縁ではないと感じました。

Interview:MASAMICHI YOSHIHIRO
Photograph:KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
Hairmake:MASA KAMEDA
Styling:TOSHIHIRO OKU
EDITOR
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