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西島秀俊「やらないで後悔したくない。だったら飛び込もう、って」映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』9月12日公開

――真利子哲也監督とは初めてのタッグですね。

 

西島 はい。映画『ディストラクション・ベイビーズ』(‘16)に感銘を受けていたので、非常に楽しみにしていました。理屈を超えたところで映画を撮る方という印象で、人間の奥深くに隠れているものの表現が素晴らしい、と感じていました。今回ご一緒させていただきましたが、直感的に撮るのと同時に非常に冷静な目で見ているんです。海外での撮影は特に時間の制約や、多言語・異文化間のコミュニケーションなど、ものすごく難しかったと思うのですが、僕が見ている限り、全くトラブルもなくスムーズでした。もちろん実際はいろいろと起きていたとは思いますが(笑)。

 

――ある意味期待以上?

 

西島 はい。冷静な判断をすることで、居心地のいい現場を作ってくださったのは監督の力だと思っています。素晴らしい体験になりました。

 

――真利子監督の作品は、暴力とその衝突が描かれることが多いですが、この作品では表向きにはそれが出ないにしても、なんらかの暴力や脅威にさらされています。その不安、不穏さみたいなものはどうとらえました?

 

西島 賢治たちが暮らしているのはブルックリンなんですが、移民であることや、相互理解が足りていない、周囲が無理解であることなどが、不安の根底にあると思っています。自分が大切にしているものが、自分の身近な人にも全く理解されない。特にグイ・ルンメイさんが演じたジェーンは、彼女にとって一番大切なものが簡単に否定されてしまう。この折り合いのつかなさが不穏さとなり、日常の崩壊と破綻への予感になっていると思います。同時に、それは現代社会に潜んでいる問題と直結しているようにも感じられます。肉体的な暴力ではなく、無理解や外からの暴力的な出来事にさらされることで日常が壊れ、お互いの状況や関係性が変わっていく様子が描かれています。

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Interview:MASAMICHI YOSHIHIRO
Photograph:KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
Hairmake:MASA KAMEDA
Styling:TOSHIHIRO OKU

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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