【妻夫木聡・広瀬すず】日本に生きるすべての方、必見! 9月19日公開映画『宝島』対談インタビュー

1952年、沖縄がアメリカだった時代。⽶軍基地から奪った物資を住⺠らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる、沖縄の若者たちがいました。幼馴染のグスク(妻夫⽊聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪⽥正孝)の3 ⼈と、彼らの英雄的存在でリーダーのオン(永⼭瑛太)。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは“予定外の戦果”を⼿に、突然消息を絶つことに……。原作は真藤順丈氏による⼩説「宝島」。第160回直⽊賞も受賞した傑作小説の実写映画です。監督は、映画『るろうに剣⼼』、NHK ⼤河ドラマ「⿓⾺伝」などを⼿がけてきた⼤友啓史氏。上映時間、なんと191分。ただし、鑑賞前に「長っ! トイレ、大丈夫かな」と思っても、鑑賞後は「この長さは絶対に必要だ!」と、感動と共に多くの方がお感じになるのではないでしょうか。これは……映画館で観たい!
本作の企画は2019年に始動したもののコロナ禍にも阻まれ、撮影が2度延期に。スタッフとキャストの「なんとしてもこの時代にこの映画を届けたい」という情熱と執念で、戦後80年となる2025年の秋の公開となりました。主演の妻夫木さんと、広瀬すずさんにお話をうかがう貴重な機会を得ました。
ドーンとこちらに飛んでくる圧倒的生命力にやられちゃった気がします
――原作と脚本を読んだときにどう感じられたかを教えて下さい。
妻夫木聡さん(以下妻夫木) 一言でいうと、圧倒的な生命力でした。それは原作を読んだときも感じましたし、脚本を読んだときも、また本編を最初に観終わったときも感じました。生命力が満ち溢れているんですよ。戦後から復興期にかけての、あの時代だからこそ出る匂いや色、温度が確実にあると本当に感じました。「生きなきゃ」ってシンプルに思わせてくれる説得力が魅力でしたね。
広瀬すずさん(以下広瀬) 私は脚本を先に読ませていただいて、それから原作小説を読んだんですが、どちらもひたむきに生きる人間像をすごく久々に見せられた気分でした。それこそ妻夫木さんがおっしゃったとおり、ドーンとこちらに飛んでくる圧倒的生命力にやられちゃった気がします。
――この作品の企画から撮影までは、コロナ禍などの影響でかなり時間が空いてしまいましたよね。原作や脚本に圧倒されたお2人がその熱量をキープするのはなかなか苦労されたのでは?
妻夫木 不安でしたね。読了したときのイメージは消えないで残っていたんですが、本当にこの企画が動くのか動かないのか、というのはわからない状況が続いていたので。プロデューサーや監督には何度も問い合わせていましたし、その都度彼らが本気でこの作品に取り組もうとしていることはわかったのですが、それでも2回、流れてしまっています。そのときは、もうムリかな、と思いました。その後撮影にこぎつけられたんですが、正直、複雑な気分で。本当に撮影できるのか、という驚きと、とはいえまた止まったらどうしよう、という不安と。でも、時間が空いていた分、監督はじめスタッフ、キャストは最初に思い描いたものだけではないアイデアやイメージが増えていったはずなんです。それが無駄にはなっていないし、あながち、時間をかけたことは得になったのでは? と今となっては思っています。
広瀬 何度か企画が止まることで、この企画自体が、人のように、こっちを振り向かせようとしているような感覚になりましたね。止まって、動いて、の繰り返しのなか、毎回お声掛けをいただいてありがたいと思う一方で、「きっとできるから、こっち向いてよ!」みたいな呼びかけが、どこかから聞こえてくるような。だからなのか、撮影に挑んだときはそのたまっていた感情からか、「あ、撮影できてる!」「完成したんだ!」と、心から嬉しく思いました。ある意味、ここまで時間がかかっても仕方ないと思える映像のパワーがありますし、なにはともあれ無事に完成してお披露目できることを、夢のように感じています。
Photograph:KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
Interview & Text:MASAMICHI YOSHIHIRO
Styling:YASUHIRO TAKEHISA(妻夫木さん)、AKIRA MARUYAMA(広瀬さん)
Hair & Make-up:AZUSA OUE(妻夫木さん)、MASAYOSHI OKUDAIRA(広瀬さん)
EDITOR
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