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「家族って鍛えられる存在ですよね(笑)」柴咲コウ|11月28日公開映画『兄を持ち運べるサイズに』インタビュー

ジャケット¥115,500、パンツ¥46,200(Maison MIHARA YASUHIRO)、チョーカー¥263,340、ピアス※右耳¥25,960、ピアス※左耳 ¥20,020、リング※左手¥80,85(avgvst)※全て参考価格

「まわりに迷惑をかけたくないという思いや家族との距離感は理子と似ているかも」

――役柄とご自身の共通点はありましたか?

 

柴咲 「人に迷惑をかけたくない」という気持ちや、家族に対しても一定の距離を取るところは似ているかもしれません。撮影前のオンラインミーティングで村井さんが、自分の旦那や子どもといい意味で距離感があるとおっしゃっていて。そこまでベタベタした関係にならないところは似ているのかなと。私はさらに輪をかけてそうかもしれないけど(笑)。

 

――それは、まわりに迷惑をかけたくないから?

 

柴咲 そうですね、あと“かけられたくない”もあるかもしれない(笑)。いくら家族といえど、やっぱり個なわけで、あんまり踏み込みすぎちゃうと映画の中の兄じゃないですけど、相手に対してこうなってほしいとか、こう変えてほしいとか、自分のエゴがでてきちゃうじゃないですか。だからある程度の距離は必要なのかなと思っていて。自分の家族でいえば、父はもう歳を重ねているので、今後は介護が必要になってくることもあると思うんです。けど、父も「人様に迷惑をかけたくない」という思いが強い人なので、どこか痛いところがあっても多分言わない。で、私に「もっと早く言ってよ!」と怒られるみたいな(笑)。そういう“我慢しちゃう気質”は、私にもあると思いますね。

 

――もし実際に映画のような傍若無人な兄がいたら許せないですか?

 

柴咲 どうだろう、リアルにいたら距離を置くしかないですよね(笑)。でも下手したら私も兄側かも? 「迷惑をかけたくない」と言いながら人と距離を置くのってきっと、人に合わせるのが苦手だからなんですよ。人に理解してもらえないのがわかっているから、あえてそうしてしまうみたいな。

 

――もしかしたら柴咲さんにも、作中の兄のようになる要素が……!?

 

柴咲 あります、あります(笑)。作中の兄のように空気を読めない、読みたくない部分もありますし、「ほっといてください。勝手に生きたいです」みたいなところもあって。人に迷惑をかけたくないと思う真面目さと、ほっといて!と思う自由さ、その両方が自分の中にある気がします。

 

――兄弟の中で理子は“ちゃんとした方”でしたが、それでも細かい表情や反応など、所々に「兄妹だな」と感じる変な部分はありましたよね(笑)。

 

柴咲 やっぱり理子もちょっと変なんですよね。そういう部分の間合いはけっこう細かく監督から指示があったんです。シーンごとに監督のこだわりポイントがすごく個性的で、「ここは気にならないんだ」ってところもあったりして(笑)。

 

――中野監督との初タッグはいかがでした?

 

柴咲 最初はつかみどころがない人なのかなと思ったんですけど、実際はそんなことなくて、けっこう丸出しな方というか、すごく正直な方でした。ちょっと違うんだよなという演技をすると、「ちょっと違うんだよな」という顔で寄ってくるので、こちらも「あ、違ったんだな」ってすぐわかるんです(笑)。そういう意味でも風通しがとてもよくて、監督が思い描いているものに近づけたときの嬉しそうな表情見ると、こっちもよかったなと思う。その積み重ねで、愛情いっぱいの作品になったと思います。

 

――中野監督が撮る家族の姿は、どの作品でもすごくリアルですよね。監督ならではの手法などはありましたか?

 

柴咲 事前準備がとにかく丁寧でした。出演者同士でたくさんコミュニケーションを取ってほしいと言われて、子役の子たちともおやつの時間をつくって話したりして。そのおかげで村井家の食卓のシーンは本当にリアルで親密になったと思います。

 

――時間が経過する中で家族との関係性が変化していくさまもリアルでした

 

柴咲 私自身、演じながら自分の家族観を学んでいくような感覚があって。「私にとって家族とは?」というモノローグから始まり、その答えは何かあるようで変化もするし、兄の死後に後始末をしながら追体験をしていっていろいろ思い出して、相手がもういないからこそ押し込めていた感情が出てくるんだなと気づきましたね。あと血縁だけでなく、元・義理の妹の加奈子ちゃんは、言ってしまえば血縁関係もないし、他人じゃないですか? その子どもは兄の血をわけているけど、切れてもおかしくない関係を兄の死が繋いだというのもまた奇妙なところで。4人で4日間の濃密な時間を過ごすうちに、ここまで関わったらもはや“他人じゃない関係なのかな”と感じ、血の繋がりだけじゃない何かがあるんだなと思いました。

 

――観終わったとき、自然と自分の家族に思いを馳せてしまう作品ですよね。

 

柴咲 そうですね、撮影中からずっと家族のことを考えていました。もっと優しくしたいなとも思ったし、“自分の当たり前は他人の当たり前じゃない”というのは家族にも当てはまることなんだけど、どうしたって自我の押しつけが出てしまう。そういうところは反省もしました。だからといってすぐに態度が劇的に変わるわけではないんですけど、少し優しくなりたいと思いましたね(笑)。

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photograph:MAI KISE/styling:KEI SHIBATA/hair & make-up: SHIGE(AVGVST)/interview &text:NORIKO YOSHII

衣装協力: Maison MIHARA YASUHIRO ☎︎03-5770-3291
avgvst https://avgvstjewelry.com/

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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