一緒に生きるって、簡単じゃない。映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの×宮沢氷魚インタビュー

人は、ある朝ふと目を覚ますと、自分の人生の湿度が変わっていることに気づく。コーヒーの湯気が、昨日よりゆっくりと立ちのぼる。隣にいる人の呼吸のリズムが、少しだけ違う。その変化を愛と呼ぶか、孤独と呼ぶかは、その日によって違うのかもしれない。映画『佐藤さんと佐藤さん』は、そんな「変化の音」を丁寧にすくいあげた作品だ。活発でまっすぐなサチ(岸井ゆきの)と、誠実で不器用なタモツ(宮沢氷魚)。大学で出会い、同棲を経て、やがて夫婦となったふたりは、時間の流れとともに、互いの中に別々の孤独を見つけていく。司法試験合格を目指していたタモツは落ち、支える側のサチが合格する。その瞬間、ふたりの重力がほんの少しずれていく――。
けれど、それは愛が壊れていく音ではなく、愛がかたちを変えていく静かな瞬間の記録のように感じられる。監督は『ミセス・ノイズィ』の天野千尋。脚本は熊谷まどかと天野の共作。ヒリヒリするほどリアルで、どこまでも優しいこの作品について、佐藤サチを演じた岸井ゆきのさんと、佐藤タモツを演じた宮沢氷魚さんに話を聞いた。
photograph:SHUYA NAKANO
EDITOR
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