PEOPLE

オトナミューズ編集部

一緒に生きるって、簡単じゃない。映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの×宮沢氷魚インタビュー

一人で生きても一人にはなれない

『佐藤さんと佐藤さん』というタイトルには、夫婦という関係の中に“二人の個”が併存しているという確かな手触りがある。どちらも佐藤であり、どちらも別の人間だ。その当たり前の距離が、物語の芯になっている。この映画は、愛の形を美化しない。けれど、それゆえに“愛が息をしている”と感じられる。

 

観終わったあと、あなたの隣にいる人を、少しだけ違う目で見つめたくなる。あるいは、いまはまだ隣にいない誰かを、思い出のなかからそっと呼び戻したくなる。そんな映画だ。では、現実に隣にいる人をさけ、ひとりで生きることと、誰かと生きることの違いとは何か――。

 

岸井さんは少し言葉を探してから答えた。「ひとりで生きても、ほんとうの意味ではひとりになれないと思うんです。どこかで誰かと関わっているし、生活をするってことは、誰かと繋がるってことだから」。宮沢さんはこう答えた。「誰かと過ごす時間って、見える景色が倍になる気がするんです。自分とは違う感性を持った人の見ている世界を、少しだけ覗ける。それが、誰かと生きることの醍醐味、自分の“好き”とか“苦手”の輪郭がはっきりするんだと思います」

 

ふたりの言葉の中に、映画のテーマが凝縮されているようだった。“ふたりでいることは、世界を広げること”――それは、この作品の根っこにあるメッセージのようにも思える。

NEXT PAGE

photograph:SHUYA NAKANO

PEOPLE TOP

EDITOR

オトナミューズ編集部

オトナミューズ編集部

37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

SHARE

  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE

Pickup

Weekly ranking

VIEW MORE