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オトナミューズ編集部

一緒に生きるって、簡単じゃない。映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの×宮沢氷魚インタビュー

ふたりの素顔に少しだけ触れる

映画についてひととおり話したあと、部屋の空気がふっとやわらぐ瞬間があった。窓の外に午後の光が斜めに入り、テーブルの上の水がかすかに光る。暮らしの呼吸を確かめるような時間になった。

 

「最近、おうち時間でハマっていることは?」岸井さんは少し考えて、「本を読んでます」と短く答えた。その言葉の背後には、静かなページをめくる音と、誰にも邪魔されない夜の匂いがあるように感じられた。

 

「好きな朝ごはんメニューは?」「おにぎりです。具は鮭」。言葉の響きは素朴だが、まるでその中に朝の光景がすべて詰まっているようだった。

 

「ちょっとした幸せを感じる瞬間は?」「うちの植物が元気なとき。主にフィカスです。フィカスとパキラ……サンスベリアも。朝、霧吹きを一個ずつ」。その声のトーンには、朝の光のような穏やかさがあった。植物に霧を吹きかける時間。岸井さんのそれは、世界と自分をつなぎ直すささやかな儀式なのかもしれない。

宮沢さんは「リラックスタイムは?」との問いに少しの間があって、「銭湯に行きます」と言った。その言葉に、湯気のむこうで誰かと並んでいる風景が浮かぶ。「気づかれないんですか?」と聞くと、笑いながら「気づかれないんですよ」と答えてくれた。

 

「よく使うスマホアプリは?」「ゴミ収集アプリです。収集日や分別のガイドがあって、今日は“燃えるゴミ”って知らせてくれますよ」。几帳面さと、日々の整頓を好む性格が透けて見える。


「ちょっとだけテンションが上がる瞬間は?」「天気予報で雨か曇りなのに、朝起きたら晴れてるときです」。言葉は軽やかで、どれも派手さがない。だが、こういう断片のなかにこそ、宮沢さんならではの“静かな幸福”の素敵な座標があるのだろう。幸せとは大きな出来事ではなく、たいていは何気ない朝の光や、植物の葉を撫でる霧の粒の中にあるのかもしれない。

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photograph:SHUYA NAKANO

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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