一緒に生きるって、簡単じゃない。映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの×宮沢氷魚インタビュー
愛がかたちを変える瞬間を、私たちは見ている

『佐藤さんと佐藤さん』という映画は、愛を“きれいごと”としてではなく、“生活の現場”として描く。だからこそ、観る人の胸に現実の温度で触れてくる。観終えたあと、ふと冷蔵庫の明かりの下で立ち尽くしたくなるかもしれない。買い忘れた牛乳や、言いそびれた「ごめんね」を思い出しながら。あるいは、誰かの寝息の音を聞きながら、“この静けさも愛なんだ”と気づくかもしれない。 “夫婦”という形に限らず、誰かと生きることの豊かさと不器用さ――その両方を、そっと抱きしめたくなる。
日々の生活のなかに、まだ見ぬ優しさを見つけにいく。この映画は、そういう“余白”を信じている。激しさではなく、時間の流れそのものが、愛のかたちを変えていく。観客はその変化の中に、自分の過去や未来の影を見つけるだろう。その瞬間、世界は昨日よりも少しやさしい場所に見えるはずだ。
佐藤サチ(岸井ゆきのさん)のまなざしは、「誰かを理解したい」という願いのように透明で、佐藤タモツ(宮沢氷魚さん)の声は、「まだ終わっていない時間」を優しく包みこむ。
――この映画を観るということは、もう一度、自分の生活を抱きしめ直すことに似ている。
photograph:SHUYA NAKANO
EDITOR
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