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オトナミューズ編集部

「距離をとれないほど笑って泣きました」【満島ひかり】『兄を持ち運べるサイズに』インタビュー

――作品を拝見して、満島さん演じる加奈子が涙を流していないシーンでも泣いているように見えるお芝居に圧倒されました。


「演じるのが怖い部分もありました。自分が育てている娘と共に、(離婚した)夫の元に行ってしまった息子と久しぶりに葬儀で再会するという特殊な状況から始まるから、からだが硬直しそうで……。加奈子ちゃんはバックボーンや気持ちもあまり多くは脚本に描かれていなかったし」


――職業すら終盤まで分かりませんし、服装から読み解くことも難しいですよね。


「脚本を読み進めていくうちに、彼女は例えば公務員や介護職、看護師など、地域と共存しているお仕事に近い方なのではないか、と考えました。私服に着替えたら何の職業か分からなくなるように、〝都会で働いている私〟みたいな意志や主張を服装に持ち込まない人。特に今回は(亡くなった元夫の)後始末に行く話だから汚れてもいい服装にするはずで、普段の格好ともきっとまた違うんですよね。スタイリストの西留由起子さんも『難しい』と悩んでいました。『この色は着ないよね』『ジーンズははきそうだけどタイトなものじゃない気がする』といったように、引き算で選んでいく形でした」


――記号的でないからこそ、リアルに生きている生身の感じが出たのでしょうね。


「テレビドラマだとキャラクターがはっきりしているぶん〝なぜこの服を着るのか〟が明確にありますが、実際の世の中でそういう人ってそこまでいませんよね。中野監督とも『中学くらいまでは地元でギャルっぽかったけど、今はそうでもない雰囲気を残したい』『何かを選択するのではなく、ただ生きていくことに強い人なんじゃないか』と、いろいろとお話しして探っていきましたが、決め込むことはありませんでした。最近は個性の強い役を演じることが多かったので、キャラクターをこうと決められない今回の感じが、すごく映画っぽくて懐かしかった」

©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

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photograph:MAI KISE hair:ASAMI MAEDA
make-up:YUMI ENDO[eight peace] text:SYO(P20-21)
model:HIKARI MITSUSHIMA coordination:MASAÉ TAKANAKA
thanks:ÉCOLE DE CURIOSITÉS, MAISON BY SOTA ATSUMI

©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

otona MUSE 2026年1月号より

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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