宮沢りえ、美しすぎるくびれで魅了♡ スペシャルな撮り下ろしとインタビューをお届け!
ファッションも人としても、ちょっとヌケ感がある方がいい
■センスを問われる
テイストが違うもの同士の組み合わせ
―今回のスタイリングは、今までの宮沢さんのイメージとはちょっと違うアプローチでしたが、いかがでした?
宮沢りえ(以下宮沢) ヴィンテージのTシャツで、こんな着こなし方があるんだなっていうのを知ることができてすごく勉強になりました。足し算、引き算が上手な、各々のパートが集まると、いい撮影になりますね。
―ヴィンテージは普段着るんですか?
宮沢 Tシャツは時折買いますよ。ヴィンテージって前の持ち主のエネルギーが現れるから、アウターだとズシッとくるじゃないですか。Tシャツだったら洗っていくうちに自分のものになっていく感じがするんですよね。今日のスタイリングはとてもかっこよかったと思います。だって、Tシャツでスタイリングする機会ってなかなかないですもんね。
―宮沢さんにラグジュアリーブランドじゃないものを着ていただくのは初めてで、じつはそれが裏テーマでした。
宮沢 そうでしたか! 私はむしろこっちの方が好きかもしれないです。ラグジュアリーはラグジュアリーのよさがありますし、ハイブランドの立体的なカッティングの美しさは本当にすごいなと思います。ひとつのブランドで全部揃えるのも素敵なんですが、プライベートではミックスしてるほうが好きなので、今日は最高でしたね。
―洋服は値段で評価できないですからね。テイストが違うものを合わせることってすごくチャレンジですし。
宮沢 そうですよね。それこそセンスが問われる。全身をブランドで統一したほうが安心感はあるんでしょうけど、今日のベルトの使い方とか本当に勉強になりましたよ。赤いベルトがちゃんと見えるとか、ループに通さず、パンツの上に着けるとか。ベルトを完全にアクセサーとして扱うなんて発想なかったですから。私服でちょっとやってみようと思いました。
―パンクだけど、グラムロック的な感じもありつつ、60年代のスウィンギング・ロンドンぽさもあって。
宮沢 うんうん。今日スタイリングのテーマでもあったのかな。洋服のトレンドって、巡りめぐってどんどんアップデートされていくじゃないですか。あのときのあのコート、とっておけばよかった! みたいなのが必ずあるから。この歳だから言えるけど、いつも新しいものにしていくんじゃなくて、大事に着られるアイテムを持ち続けていけば、次にその流行りがきたときにいいヴィンテージ感が出るんだ、と今日思っちゃいました。断捨離もほどほどに。すぐ断捨離しちゃうんで。
―断捨離大好きですものね。
宮沢 断捨離はするけど、その仕方を変えようかなと思いました。10年で似合わなくなるものって絶対自分が着心地が悪くなってくるものっていうのがあるんですよね。40過ぎてからは、できるだけ素材のいいもの、ちゃんと愛されて作られたものを買うようにしようと思ってるから、断捨離率が少なくなっている感じがします。この10年で大人になりましたね、私も(笑)。
■30代で買ったものが今やっと似合ってきた気がする
―とはいえ、欲しいものを見てしまうとやっぱり買ってしまう?
宮沢 そうなんですよ……。先週もありました。急に寒くなったから、着るのが楽しみなコートを1枚買いましたね。でも、もうラックがパンパンになっちゃうから、周りの友だちとか事務所の女のコとか、着てくれる人に譲ってるんです。これから買うものは、そのコたちが似合うような歳になっていくので、ちゃんとリサイクルしていけるように、キレイにしておきます。
―捨てないんですね。
宮沢 気に入っていたものを譲ると、大事にしてくれるんですよ。大事におしゃれに着てくれてるから、それを見ると、返してほしいなって思っちゃうくらい(笑)。でも最近は断捨離するときに娘が見張っていて、全部チェックしてますよ。
―自分用のはないのかな、って?
宮沢 それは私が着たいから、とか(笑)。服装もティーンエージャーの思考になってきてるから、おしゃれする気持ちがめばえてきていて、すごく可愛いなと思います。
―ついに親子二世代で着まわし!
宮沢 本当! 足のサイズは違うので靴ははけないですけど、バッグとかトップスはいけちゃいますね。でもハイブランドのものは、今持つには生意気だし似合わないよ、って言ってます。その歳に似合うもの……例えばエルメスのバッグなんて、10代のときに私が持っていとしても似合ってなかったと思うんですよ。清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちで、30代で初めて買ったものがやっと似合ってきたなって私は思いますからね。高級なブランド品は、どうやって手に入れたのかっていうストーリーも価値に含まれるんですよ。自分が欲しかったものをお金を貯めて買ったときのストーリーは、絶対に一生、それも含めて宝物。そういう風にして、若いコたちもそれを手に入れるために自分は何かを頑張る、ってことを分かってもらいたいんです。
―ストーリーは大事ですね。
宮沢 そうです。お母さんが使ってたものを譲り受けて、それが似合う歳になって、という、受け継がれていくものって素敵じゃないですか。私から娘、娘はその子どもに、大事に使われていくといいなあって思うんですよね。今日の靴もどれくらい経ってるんですかね?50年くらい?
―70年代のものだか50年前ですよ!
宮沢 きゃー! 私たちもヴィンテージだよ!もう半世紀生きてるんですよ! でも、もう50になったら、変にもがかなくてもかっこいいおばさんになるっていう覚悟ができると思う。
―その歳なりの風格を出すためにハイブランドのものがちょっと必要になってくるところを、今日みたいに崩すっていう方向も楽しめるようになる五十路ですよね。
宮沢 なんでもそうだけど、ちゃんとものの価値と質を知ってから崩していくのはいいことですよね。最初から崩すのはすごくテクニックがいるけど、一回ハイブランドのものをいろいろ通過していって、それから崩していけるようになると、それはもう一段階上のおしゃれになるんじゃないかな。
―若いころにはできなかった楽しみ方。
宮沢 うん、そうだと思う。若いコは今まで着てた自分の服に1点ハイブランドを足すっいうのが、私たちの引き算に似ているのかもしれないよね。私は崩すのが好きなので、全身ハイなもので揃えてるとちょっと恥ずかしくなっちゃうけど。
■仕事もプライベートも相手の心を開ける人に
―それこそ撮影のときだけでいい?
宮沢 そうそう。普段から全部高級品で固めていたら、いらない迫力出ちゃうもの(笑)最近の悩みなんですけど、自分の言葉が相手に響く音量が大きくなることなんですよ。20代のときに同じこと言っても聞き流されてたことが、今は受け止める側の方たちの重みが大きくなってることに気づいてしまったんです。だからこそ、普段着はちょっと隙があるくらいの方がお話ししやすいでしょ。私が全身バチバチのブランドでこんにちはって言ったら……ねぇ。私がそれされたら引くもの(笑)。
―しゃべっていいのかなみたいな雰囲気、下からは言いにくいですからね。
宮沢 人としての隙があって、ファッションもちょっとヌケ感があるほうが、親しみは持てると思うんですよ。旅や仕事で記憶に残っているかっこいい女の先輩たち、素敵な女性ってみんなそうだったから。例えば若いころにお会いした、ヨーロッパでジュエリーのデザイナーをれている方。すごく素敵なジュエリーだけど洋服の方はヌケ感がある人が多くて。そういう人がとても知的な会話をしてくれるのがすごく素敵って思えたっていうのがあるんだと思うんですよね。
―自分のテクニックとスキル、キャリアを持てるから、外見で頑張らなくてもいいじゃんっ
て感じですよね。
宮沢 そう! そういうこと。それによって、相手の心を開くってすごく大事なことだと思うんですよね。それは友だちでも仕事の面でも。クリエイションってひとりではできないものだから、それぞれが意見を持っててそれぞれの意見を交換し合うとき、話せる人と話しにくい人っているけど、やっぱり話しやすい人の方がアイデアを集められる。こういう現場でもそうだし、役者やっててもどんな若いコでも意見が言えるような現場の方がたくさんの意見が集まっていいと思うんですよね。意見交換ができない場所っていうのは何も生まれないですから。新しいものを生むためには、いろんなところから多様なものを集めて、それがミックスされることが大事。
―最後にひとつ。インスタ始めましたね。
宮沢 そうなの、始めちゃったの(笑)。娘に言われたのもあるんですけど、いろんな方に、以前やっていたインスタがすごく好きだったんですって言われることが多くて。その声が素直に嬉しかったんですよね。結婚してちょっと落ち着いたっていうのもあって、私のインスタが好きだったって告白を何度も街中でされたり、いろんなタイミングが重なって始めちゃいまた。でも自撮りがまだなんかおぼつかないし、50歳になって自撮りをしている自分は似合わないんじゃないかなって違和感はあるんですよ。自分が好きな自分っていうより、誰かが撮ってくれた方が、お披露目する意味としてはあるのかな、って。何を見て喜んでくれるんだろう、とか、そういうことは常に考えちゃう。自分の料理とか……?
―載せてください! むしろ見たいです!!
profile_宮沢りえ
俳優。映画、舞台、テレビなどで幅広く活躍し、モスクワ国際映画祭最優秀女優賞、三度の日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、読売演劇大賞・最優秀主演女優賞など数々の賞を受賞。次回作に、COCOON PRODUCTION2023 DISCOVER WORLD THEATRE vol.13『アンナ・カレーニナ』が控える。
photo:MITSUO OKAMOTO / styling:SHOTARO YAMAGUCHI[eight peace] / hair:KOICHI NISHIMURA[VOW-VOW] / make-up:MIKAKO KIKUCHI[TRON]
/ text:MASAMICHI YOSHIHIRO / model:RIE MIYAZAWA