夫・TAKURO氏と偶然贈り合ったのがCELINEのニット帽だった。ファッション大好き! モデル・岩堀せりインタビュー
from SERI with LOVE【岩堀せり ✕ CELINE in LA】前編
今回、約2年ぶりに表紙を飾ってくれたのは、ミューズ創刊当初からロールモデルとして在り続けてくれる不動のアイコン、岩堀せり。彼女を追いかけて、暮らし始めて5年になるというロサンゼルスへ降り立った。プライベートでも愛用しているCELINEの2023年ウィンターコレクションを、まさにそのショーが行われたLAの歴史あるライブハウスや、彼女が家族と暮らす自宅でスぺシャルシューティング! 心のままに進化し続けることを恐れない岩堀せり。その現在の胸の内や思い描く未来について、彼女をデビュー当時から知るファッション・クリエイティブ・ディレクター軍地彩弓さんが、旧知の仲だからこそ聞ける話を引き出してくれた。
久しぶりに会うせりは、ちょうど家族で過ごした韓国、ヨーロッパ旅行が終わり、東京に戻ってきたタイミングだった。いつもの笑顔、サラッと着こなしたジーンズにセリーヌのサンダル。そんなスタイルはずっと変わらない。いつも通り。やっぱり気取らない、最高にかっこいいせりだった。
—まずは撮影の感想を聞かせて。今回、着たのはセリーヌ。「Age of Indieness」というテーマで、音楽シーンと関わりが深いエディ・スリマンの真骨頂ともいえるコレクションだったけど、どうだった?
「本当に、全部好み! っていうくらい大好きなコレクションでした」
—ひとつひとつのアイテムが、私服かなって思うくらい、私がよく知る“せりスタイル”なんだよね。ファージャケットとか細いストールとか。
「撮影で着たスキニージーンズも! すごくシルエットが綺麗なんですよ。でも、ちょっときつくって(笑)。痩せなきゃって思いました」
—そこがエディならではだよね。今回のショーを開催したウィルターンシアターという場所もとても意味があって、ザ・ローリング・ストーンズやルー・リード、ソニック・ユースをはじめ、著名なバンドやミュージシャンのライブ会場としても使用されているんだって。
「そうなんだ! 車でよく前を通りますよ、ウィルターンシアター。コリアタウンの近くだから。K-POPにハマっているから、よく行くんです、コリアタウン」
—さすがLA在住! 今回のコレクションは音楽の影響とか2000年代の気分がすごく入っていたと思うんだけど、せりにとってスタイルアイコンって誰ですか?
「圧倒的にケイト・モスですね。彼女はその時代の他のモデルと違って、からだがリアルだったの。着ている服が素敵に見えるのがかっこよくて。パーフェクトにモデル体型の人だと、服よりそのスタイルのよさが目立っちゃうけど、彼女は雰囲気が先にきて、服が見えてくるというか。そういうところが好きだったんです」
アイコンはやっぱりケイト・モス
—ファッションとかもケイトから影響を受けていた?
「すごく受けていますね。ファージャケットとか今回のセリーヌみたいなロックっぽい雰囲気とか好きだった。ケイトがキャンペーンモデルをしていたTOP SHOPの服もたくさん買っていたし。家のトイレにはずっとケイトの写真集が置いてあります」
—確かに、せりはまさにケイト・モスだった。
「最近、15歳の娘がケイト・モス可愛いって言い始めて。昔はそんなに関心なかったのに。あの世代の子たちが興味を持つものを間近で見ていると、ファッションって本当に回るんだなって思います。私たち世代だと、見慣れた写真ばかりなのに、彼女たちからするとそれが新鮮みたいで。よく娘のファッションを見て、それママ、昔着てたよって会話になる。たまにムッとされるけど(笑)。クローゼットの私の服とか、今は娘が着ているの」
—せりのクローゼットには、当時の服とかがきちんととってあるよね。
「物持ちがいいというか、ずっと好きなものが変わらないからなのかもしれないですね」
—昔からせりはファッションが大好きで、服をたくさん持っていた。よく覚えているのが、2泊3日のロケなのにすごい大きなトランクで待ち合わせ場所に来たから、なんでそんなに荷物を持ってるの? って聞いたら、だって毎朝、何を着よう? って悩みたいじゃないですかって言ったの。
「そう、すごく大変なの。靴もいっぱい持っていくから(笑)」
CELINE LOVE
—セリーヌはプライベートでもよく着てるよね?
「最近、すごく買うようになったかな。エディ(・スリマン)のスタイルが好みっていうのもあるし、大好きなK-POPの影響も大きいと思う。よくLAのストアに買い物に行くんです」
—インスタで見たんだけど、夫のTAKUROくんとせりのクリスマスプレゼントが被った事件、あったよね。
「そうなの(笑)。あれは日本にいるときだったんだけど、クリスマスにTAKUROくんに何をプレゼントしようかなって、娘に相談していたら、彼は息子に相談していて。蓋を開けてみたら、時間差で同じ表参道のセリーヌに行って、同じニット帽を買っていたんです。偶然!」
—本当にそんなことがあるんだね。仲よしすぎて、この話大好き♡
「同じこと考えてるんだねって、結婚して19年なんだけど二人でよく話していて。ある話題を振ると、私も今それ考えてた! みたいなのばっかりなの。もう、周波数が同じになっちゃってるんじゃないかな(笑)。考えるタイミングも一緒みたい」
「何者?」みたいなファッションが好き
—せりが好きなものって?
「派手なものというか、主張が強いもの。多分、そもそも、目立ちたがりやなんだと思う(笑)。一周してそう思ったんです。若いときは“自分を出したい”とか、“自分が好きなものを着てる”とかよく言ってたけど、多分目立ちたいんだと(笑)。ちょっと浮いている存在でいたいというか……。だから、こんな派手な格好ばっかりするんだろうなって。“何者?”という存在でありたいんだと思う」
—この秋は、どういうアイテムが気になる?
「ロングブーツとか。でも、今ちょっと、闘ってるとこです。やっぱり、脚を出さないとだけど、ちょっと出す脚じゃなくなってきてるから(笑)。脚を出してもイタくはなりたくないから闘っている」
—えー、脚綺麗じゃない!
「いやぁ、ミニにブーツとかは、40超えているから躊躇するところはありますね。でも、ブーツインはしていきたいかな」
—ミニドレスもせりの代名詞だったね。
「うちには、着なくなったミニドレスだらけですよ。ギラギラのとか。娘にすすめてみたんだけど、派手って言われちゃって(笑)」
—今Y2Kが流行っているけど、せりはまさにその2000年代のファッションを作った側だったんだよね。
「Y2K、最近よく聞くワードですよね。ふわっとしか理解していなかったけど、どこのお店行っても、あの頃のこういうのが今また流行ってるんだな、というのは肌感覚でありました。おもしろいですよね。でも、結局、好きなものは私、変わらないので」
—当時から絶対残しているものは?
「デニムですね。デニムは、ほぼとってあります。クローゼットにここからここまで(両手を広げて)重ねて保管してあるから。日本とLAのおうちのクローゼットに、何本あるのかな。当時のTバック丸見えだったスーパーローライズとかも、まだちゃんととってあります。さすがにそれは今ははけないけど。最近、娘が脚を出したり、お腹を出すようなスタイルをしているんだけど、それを見て、出し過ぎじゃない? って思ってしまって。親の立場になるとね。やっと当時の自分の親の気持ちが分かる、そんな感じです」
モデルとしてのキャリア
—私がせりに出会ったのが、1997年だった。当時『ViVi』で募集したオーディションで、最終選考に残ったせりを見た編集者が、会場から駆け降りてきて「凄い子がいる!」って興奮していたのを覚えている。あのとき何歳だったっけ?
「20歳です。多分『ViVi』モデルとしては決して早くない年齢でした」
—どうして応募しようと思ったの?
「モデルのお仕事は実は子どものころからやっていたんです。高校時代もモデル事務所に入っていて、他の雑誌にたまに出たりしていたんだけど、高校1年生のとき、映画『プリティ・ウーマン』のジュリア・ロバーツの真似をしてパーマをかけたらダメと言われて(笑)。一旦モデル事務所を辞めて、そのあとは遊んでました」
—それなのに、なんでまたモデルをやろうと思ったの?
「『ViVi』が好きだったから。あとは、好きなモデルの李梨さんがいたから、というのもあって」
—オーディションのときの金髪と、目力をすごく覚えています。
「最終面接に“ノーメイクで来てください”って書いてあったのに、他の人たちはみんなばっちりメイクしていて、これは終わったって思った(笑)」
—でも、そこで圧倒的にせりが光っていたの。だから、即合格。髪、染めてきて! って言って、私が担当するグアムロケがあったから、すぐに連れていく、という急展開に。
「びっくりしました(笑)。そこから『ViVi』の仕事は始まったけど、事務所にも所属していなかったし、そんなすぐに活躍できるとも思っていなかったから、最初のうちはまだ病院事務の仕事も続けてました。あんまりモデル一本でやっていけるっていう意識はなかったですね」
—その少し後にまゆみん(佐田真由美)が入ってくるんだよね。
「そう、そのころからずっと一緒。『ViVi』は忙しすぎて、寝る時間もなくて。朝5時集合とかなのに、12時過ぎまで撮影していたりとか。ほんとやばかった」
—本当にごめんなさい! みんな寝れなかったよね。
「当時は1日にモデル4名で200カットとかあったから。でも遅くまで撮影しても、そのあと遊びに行っちゃったり。睡眠時間を削って、仕事も遊びもしていた時代ですよね。そんなとき、よくまゆみんと悩みを話したり、励ましあったり……。その関係が今も続いているって奇跡ですよね」
後編もお楽しみに!
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Photography by RENÉE PARKHURST
styling:KAZUE MIZUSHIMA hair & make-up:SACHIKO model:SERI IWAHORI coordinate:MAKI KONIKSON[KONIKSON PRODUCTIONS, LLC.] interview: SAYUMI GUNJI
otona MUSE 2023年11月号より