つねに彼が一番。彼以上に気を遣う人はいない。理想の40代モデル・岩堀せりが愛される理由【インタビュー】
from SERI with LOVE【岩堀せり ✕ CELINE in LA】後編
今回、約2年ぶりに表紙を飾ってくれたのは、ミューズ創刊当初からロールモデルとして在り続けてくれる不動のアイコン、岩堀せり。彼女を追いかけて、暮らし始めて5年になるというロサンゼルスへ降り立った。プライベートでも愛用しているCELINEの2023年ウィンターコレクションを、まさにそのショーが行われたLAの歴史あるライブハウスや、彼女が家族と暮らす自宅でスぺシャルシューティング! 心のままに進化し続けることを恐れない岩堀せり。その現在の胸の内や思い描く未来について、彼女をデビュー当時から知るファッション・クリエイティブ・ディレクター軍地彩弓さんが、旧知の仲だからこそ聞ける話を引き出してくれた。
子育てがモデルとしての転換期に
—モデルのキャリアとしてのターニングポイントって?
「最初はやはり佐田さんが『ViVi』に来たとき。二人でツートップと呼ばれるようになったぐらいからですね。そこからモデルとしての仕事量も安定して、責任感も強くなって。激しい時代を経て、結婚して子どもを産むまでの5年間くらい。その全盛期がひとつの区切りですね」
—まさに『ViVi』にとっても黄金期でした。
「結婚して、長男を授かったのがちょうど『GLAMOROUS』創刊のときで……」
—あの雑誌はまさにせりとまゆみんのために作ったところがあって……。当時『ViVi』で主役の二人に“私たちが30歳を超えてからも出られる雑誌を作ってほしい”と言われたことから『GLAMOROUS』の企画が始まったんだよね。
「そう! なのに大事な大事な創刊号の表紙を撮るモロッコロケ直前で妊娠が発覚。まだ安定期じゃなかったし、スタッフに言えなかったんです」
—そのモロッコが大雪で。アトラス山脈を越える山道でエトロのドレスで雪道を歩くことになって……。今、思い返しても本当に申し訳ない。
「あれはすごかったですね(笑)。でも、息子はしっかりお腹で踏ん張ってくれて。強い子になりました」
—本当にヒヤヒヤしたけど、無事出産! 今や二児の母でLAに住んでいて、生活環境はガラリと変わったよね。
「そうですね。お仕事との向き合い方が変化していったきっかけは子育てですね。子どもができた瞬間から優先順位がガラッと変わってしまって。それでもオファーをいただけて、ありがとうございます! って思っていました」
—せり自身の結婚、出産、仕事の両立、という姿は、まさに新しい時代のロールモデルとなりえる自由な女性像そのものだったんだと思う。偶然ではあるけど、必然というか。
「本当にありがたい。20代はただただ必死で駆け抜けてきたけど、子どもができたらモデルは続けられないんじゃないかな、って当時は思っていたんです。周りを見ても、子育てしながら第一線で活躍し続けている人は少なかったし……。だから当時も今も、子育てが最優先になっちゃう私の考えを理解してもらいながら、仕事ができているのはすごく恵まれているなと思います」
—今の環境はとても理想的なんだね。
「子どもが二人いて、5年前からLAに住むことになっても、帰国したタイミングで仕事をしたり、今回のLAロケみたいに『otona MUSE』が撮影に来てくれたり、ちゃんと誌面に出続けていられることって本当に奇跡!」
—40代も半ばになって、この先のキャリアのこととか考えたりするの?
「そろそろ子育ても落ち着いてきたし、これから私、どうしていくんだろう? って思ったりします。バリバリ仕事している人に憧れて、やばい、将来どうしよう……とか。不安に思うこともあります(笑)」
—全くそう見えなかった! 体型も変わらないし、理想の40代にしか見えないけど。
「全然! 実はコロナ直前にLAでパニック障害みたいになって、一時帰国したりしてたんです」
—え!? 知らなかった!
「詳しく検査したら、結果、パニック障害じゃなくて栄養失調だったの。あまり食べてなかったんだと思う。あとはLAという慣れない環境もあって……。それからですね、食に気を使うようになりました」
—具体的にはどう変えていったの?
「植物療法士でもあるスタイリスト(風間)ゆみえちゃんやウェルネスブランド“Kiyo NATURE”を手がける(森)清渼さんたちに教わって、まず食事を変えました。あとはヨガ。これもまわりの影響ですけど、それまでは“ヨガなんてつまらないもの”って思っていた私が習慣にするようになって(笑)。かなり変わりましたね、精神的にも落ち着いて、からだが楽になりました」
家族のこと 夫婦の将来のこと
—この夏は家族4人で旅行にも行っていて、本当に仲よしだよね。
「そう、今回の夏休みは韓国からヨーロッパまで旅してきました。ハネムーンで訪れたイタリアにも行けて♡」
—結婚19年でここまで夫婦仲よしなのって、本当にすごいよ!
「それ、よく言われるんですけど、考えれば考えるほど、“相手がTAKUROくんだから”に尽きるんです。お互いがお互いを想う気持ちのバランスがちょうどいい。夫婦関係としての目指す将来が一緒で。今こうしたほうがいいっていうのも、本当に同じテンションなんですよね」
—私はTAKUROくんがジムで見かけたせりに一目惚れして、いろんな人の伝手を辿ってやっと出会えた、というストーリーを知っているので、本当に奇跡のようなカップルだと思う。
「えへ♡ そうなんです。TAKUROくんはいまだに私の顔が好きって言うんですよ。だから私の中身じゃないんです、顔(笑)」
—いまだにそういうことを言いあえる仲なのが最高なんだよ。二人の子どもたちとの関係も親子というより、兄弟姉妹みたい。
「それはそう。あまり子ども扱いせず、ひとりの人間として対話するように夫婦で意識していますね。だから子どもから見れば、二人とも厳しい親だと思う」
—ルールとかあるの?
「う〜ん、健康ならいいよねっていうのが最終的なところで、それくらいかな。TAKUROくんとは、子どものこと以外では全く喧嘩にならないんです」
—夫婦のこれからについて話したりする?
「はい。今はもう子どもたちが手を離れてきたので、老後を二人でどうやって過ごそうか、とか話したりします。すっごく楽しみなんです。友だち増やさないとね、とか、趣味も増やそうねとか。ゴルフでも始めようって話してる」
—ゴルフ!? わあ、意外!
「これからも一緒にいたいわけだから、それを楽しむためにどういう環境作りをするかってことを二人ですごく考えてるんです」
—今、悩める読者が目の前にいるんですけど(笑)、どうやったらそんな風にパートナーと仲よくやっていけるのかな?
「お互いにお互いのことを一番に気遣っていますね」
—そうなんだ。それはすごいことだね。なかなかできないもの。
「私にとっては、常に彼が一番。彼以上に気を遣う人はいないですね。夫婦に限らず、人って気を遣わないとうまくいかないと思っているから。一番気を遣って、一番優先するし、一番大事にしてる。そして喋る。あなたがいないと私はダメですって。お互いが必要だってことを認識し合って、安心して、それが一番だと思うの」
Rock Star’s Wife
—くー、泣ける。せりはまさに“Rock Star’s Wife(ロックスターの妻)”なんだよね。
「最高ですよ。家でずっと一緒にいるけど、ステージの姿を見ると“あ、あの人、私の旦那♡”って(笑)。その刺激があるのは、ミュージシャンっていいな、って思います」
—なんて素敵なの!
「俳優さんとかともまた違うと思うんですよね。テレビで見てどうとかじゃなくて、ライブで毎回新鮮に惚れさせてくれるからありがたいなって。反対にTAKUROくんも(私が出ている)雑誌を見て“素敵ですね”とか言ってくれて、最高なんです(照)」
—これからモデルとしての未来像ってある?
「結局、私ってモデルしかやってきていなんですが、逆を言うとモデルをやりたいんです。今はLAと日本を行ったり来たりですが、こうやって今回みたいに撮影している時間が本当に楽しくて。今、自分から積極的にこれをやりたいというのはないけど、求められたところで、それを全力でありがたくやらせていただく、という感じです。望みがあるとしたら、それがなくならないといいな。基本受け身なんで(笑)」
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Photography by RENÉE PARKHURST
styling:KAZUE MIZUSHIMA hair & make-up:SACHIKO model:SERI IWAHORI coordinate:MAKI KONIKSON[KONIKSON PRODUCTIONS, LLC.] interview: SAYUMI GUNJI
otona MUSE 2023年11月号より