90年代リバイバルでリフォーカス!
白幡啓が語る「ケイト・モス」
オトナミューズ1月号の大特集「ずっと好きなもの」を質問したところ、「‥‥やっぱり、ケイト・モスってすごいのよ」とまた別の角度から語り始めたおケイ先生。
「スーパーモデルで、私服からブームを生み出した先駆者よね。ちょっと一緒に見てみよう!」と、皆様をお誘いです。
-先生、今月のオトナミューズは「ずっとずっと好きなもの。」の特集なんですけど、先生はたくさんありますよね、ずっと好きなアイテム。
白幡啓「うん、ある。けれど最近思ったの。最近、90年代のスーパーモデルがちょっとリバイバルっていうか、注目を浴びてるんだけどさ、なかでもやっぱり私はケイト・モスには影響を受けていたんだなっていうことと、ずっと好きなものが変わらない人=ケイト・モスでもあるの」
-と、おっしゃいますと?
白幡啓「ケイト・モスからだと思うんだよね、『私服がかっこいい』って言われたモデルって。それまでのスーパーモデルって、存在はかっこいいけどこれほどは私服までフィーチャーされてないのよ。そこにパパラッチが出てきて、彼女の私服を全世界中の人が知ることになるわけ。例えば、シンディ・クロフォードってさ、見た目は圧倒されるけど男の人が近くにいる雰囲気があるっていうか、本人がおしゃれってイメージはないじゃない」
-なんでしょう、ディ、ディスかな急にシンディ・クロフォードへの‥‥。
白幡啓「しかもね。よく見て。ケイトって、決まったものしか着てないの。着まわしとかもしてるの。大金持ちなんだからフルとっかえすればいいのに。お買い物にはブーツ、パーティーにはヒール靴、フェスは長靴にしてるだけだったりするの。そして難しい格好はしてないのよ。ボーダーが好きで、デニムが好きで、色もベーシックカラーにたまに青とか赤の差し色するくらいよ。ボヘミアンなアイテムで古着のテイスト入れてくる感じがさすがロンドンっ子よね」
白幡啓「で、バレンシアガのハンドルバッグもそうだし、グローブ・トロッターのスーツケースもそう。ハンターのレインブーツなんか世界中で流行ったでしょ。ボルサリーノのハットもそう、でもミニドレスなんかもちゃんと着るのよね。すごいのよ。彼氏と髪型はコロコロ変えるけど、服は変わらないの」
-今月のパンチライン出ましたね先生。
白幡啓「しかもそういうところがかっこいいのよ。見れば見るほど思い出したわ、昔、『ケイトが着てたアレそっくりの服探して!』って何度編集者に言われたことか‥‥。そして今回写真を見返して痛感したわ。ケイト・モスって私たちの根底に流れている。ジャケットの下に1枚シャツ着てTシャツ着るとか、やってたもん。すごく影響を受けていたんだなって改めて気づいたの。肌見せはここまでOKって判断基準も。そして、コーディネイト力って大事。すごいコーディネイト力よね、ケイトって。だから人気があるのよ。今見返しても学ぶべきところがいっぱいよ」
-でも先生、モデルって本人のファッションセンスが必ずしも必要なわけじゃないですよね。用意された服を美しく見せるのが仕事ですもの。
白幡啓「でもね、そこなのよ。ただ人に着せられるだけのモデルとケイト・モスの違いは。ちゃんと自分のセンスで自分に似合うように着て出てくる人のほうが表現力も高いってことよ。モデルなら表現しなきゃ。でもさ、この間ミラ オーウェンのディレクターの井木(秀香)さんと話してたの、『ケイトを知っている世代と知らない世代で違いは出るよね』って。だからもしあんまり知らないぞって読者の方がいたらね、今からでも見てみて。写真いっぱい載せとくから! 私の好きな要素は、彼女の着こなしに全部入ってたんだなって、再確認したわ」
cooperation:AFLO
otona MUSE 2022年1月号より