真面目さって狂気。菅野美穂が京都で語った『ゆりあ先生の赤い糸』出演を即決した理由
鈍くなっていく自分を受け入れるけどあきらめない
—菅野さんも真面目に頑張る側の人ですよね。
「真面目に頑張るって損だなと思うこともありますが、そもそも頑張れる事自体が実はとても幸運なこと。健康があって、その機会があった上で成立することなので。俳優の仕事は、スポーツ選手と似ている部分があって、『前はもっと早く台詞を覚えられたのに』と自分が鈍くなっていく現実と向き合っていかなきゃいけない。でも、現場ではキャリア63年の三田さんが、台詞を書き写してマーカーを引いたり、衣装の下に肉襦袢を着ておばあちゃんらしさを演出して、立ち方、歩き方も研究されている。あれだけのキャリアがある大先輩が新鮮な気持ちで向かっている姿を見たら、弱音なんて吐けない。同時に、若い共演者さんの瑞々しい感性にもハッとさせられる年齢になりました。改めて人の心に訴えるのはキャリアだけではないと痛感します」
—受け入れたり、抗ったり。その心意気がゆりあ先生の存在感とも重なるように見えます。
「原作のゆりあ先生は、背が高くて骨格がしっかりした女性として描かれているので、見た目でいえば私はしっくりこないと思います。けれど、どう頑張っても身長は伸ばせないですし、それ以外の部分でゆりあさんを表現するだけ。私でいいと言ってくださった原作者の入江先生にドラマを見てもらうとき、言い訳しないでいられるように引き続き頑張ります」
photo:TISCH[MARE Inc.] styling:CHIKAKO AOKI hair & make-up:KEIKO CHIGIRA[cheek one] produce:MAKI KONIKSON[Konikson Productions,LLC.] model:MIHO KANNO interview & text:HAZUKI NAGAMINE
otona MUSE 2024年1月号より