楽しいこと=愛情だと確信に変わった。長澤まさみが語る、野波麻帆にスタイリングを依頼した理由
野波さんのスタイリングを振り返り、「今までの私のイメージとは逆に感じる方が多いと思う」と長澤さん。そして、それが本質でもあると。
「今、流行っているというのもあるかもしれないですが、90年代のムードがすごく好き。野波さんが作るスタイルには、あの時代の映画やファッション、加えて私自身の“幼稚な部分”が反映されている気がします。私は少女性より少年性の方が強いので、少年っぽさっていうのかな。内面的な部分でいえば、明るい性格だと思われるけれど、実は陰の磁力も強いというか(笑)。そんな部分も出せたらいいねって、野波さんにも言われました。それは私のことを長く知ってくださっているから引き出してもらえる表現であって。私って笑うと快活な人に見えるんですよね。それは嬉しいことですし、得もしてますが、今回はそんなイメージとは真逆の私本来のものが出るような写真になったらいいなと想像を膨らませて現場に入りました。だから野波さんの選んだ服を着ると、どこか腑に落ちるような感覚があるんです。キャラクターとかけ離れるでもなく、かといってただシンプルに“素材でどうぞ”という感じでもない絶妙さが味わえる」
似合う服や好きな服、着心地がいいとか、今の価値観に合うかなど、ファッションの選択はそのときどきで求めるバランスが変化していく。
「たしかに変わりますね。世間のトレンドとは違って、自分の中だけでの流行りもありますから。ちょっとした丈感だったり、着たときの気持ちよさだったり。そういった私なりのこだわりみたいなものも、今回のスタイリングの中には落とし込まれていた気がします」
photo:SHUNYA ARAI[YARD] styling:MAHO NONAMI hair:RYOJI INAGAKI[maroonbrand] make-up:KOTOE SAITO styling cooperation:RANKO ISHIBASHI model:MASAMI NAGASAWA interview & text:HAZUKI NAGAMINE
otona MUSE 2024年4月号より