楽しいこと=愛情だと確信に変わった。長澤まさみが語る、野波麻帆にスタイリングを依頼した理由
紀信さんの言葉が今も息づいている
写真と映像は全く違った表現なのに、なぜだろう? 長澤さんがそこにいると物語が薫る。
「きっとフォトグラファーの荒井(俊哉)さんが、物語を作って、動きをつけて撮る人だからかな。芝居をしているのと同じ感覚で、すごく楽しいし、同時に写真もそうあるべきだとも思うんですね。自分がいる場所、モノが置いてある位置ひとつでも、どんな動作の中でいつ置かれたものなのか? そのイメージを持ちながらカメラの前に立つだけでも印象が変わる。そういった動きはカメラマンさんや芝居から学んで覚えてきたものだと思います。その一方で、過日逝去された篠山紀信さんから『もうね、動きはなんでもいい。むちゃくちゃでいいよ』と言われた過去があります。私、昔はすごく恥ずかしがり屋で静止画が苦手だったんです。そんなときに紀信さんと出会って、からだのカタチやポーズなんて変なほうがいいし、もっとパーッと躍動感があるほうがいい! って(笑)。『変でいい』という言葉で、私の苦手意識が吹っ飛んでいったんです。写真って不思議で、正しく写るほうが面白くなかったりする。逆にぎこちなかったとしても、写真になると自然に見えたりすることがある。紀信さんから“写真の不思議”を教えてもらって、そこから写真を撮られるのがすごく楽しくなれた。たまにしか会えなかったけど、写真との向き合い方を教わって、今でも撮影のときに大事にするようにしています。もっと一緒に撮影したかったし、もっとお会いしたかったけれど、そんな素敵な言葉をもらえて、私はラッキーだったなと。20年以上前のことでも、今もこれからもずっと息づいています。最後にお会いできたのは舞台のパンフレットの撮影だったんですけど、その前に雑誌の撮影で久々にお会いしたら、『老けたね〜』なんて言われて、それがとても面白かったんですよ。『ちゃんと綺麗に撮っといたからね』って(笑)。それもお人柄で、なんの嫌味もなくてチャーミングであり、とってもスマートな感じ。あんなに素敵な人とはなかなか出会えないですし、お会いできて本当によかったし、幸せな時間をもらったと本当に感謝しています。その後もいろんなカメラマンさんと出会うたびに学ぶことがたくさんありました。写真に“写る”とは、ただ普段の生活のように自然にしていればいいわけではなく、写る瞬間をどう演じられるか。その点がお芝居と一緒だから、写真って深い。苦手ではあるけれど、『いいページだね』と言ってもらいたいから、我ながらすごく真面目に取り組んでいると思います。やっぱり愛ですね。愛情がある仕事が一番幸せ」
【ATTENTION!】
野波麻帆さんのインタビューをオトナミューズ公式ウェブにて公開中。本企画に対する想いや、コーディネートのポイントなどを語ってくださいました。ビハインドザシーンのムービーも必見。ぜひ「otonamuse.jp」をチェックしてみてくださいね!
「四月になれば彼女は」
2024年3月22日(金)全国東宝系にて公開
後編もお楽しみに!
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photo:SHUNYA ARAI[YARD] styling:MAHO NONAMI hair:RYOJI INAGAKI[maroonbrand] make-up:KOTOE SAITO styling cooperation:RANKO ISHIBASHI model:MASAMI NAGASAWA interview & text:HAZUKI NAGAMINE
otona MUSE 2024年4月号より