生かす努力をしなければ才能はなくなってしまう。映画『四月になれば彼女は』長澤まさみインタビュー
注目してもらいたいのは、佐藤健さんと森七菜さんのシーン。「本当に、素晴らしかったんです」、そうしみじみと続ける。
「佐藤さん演じる藤代と、森さん演じる春は、映画の時間軸だと10年前に恋人同士だった関係。2人の恋愛の描写が、すごく自然体で懐かしくて、あまりにもリアルに感じて、羨ましささえ込み上げてきました。私が2人のシーンを見て芽生えた気持ちと、弥生の気持ちがリンクする部分もあって、現在と過去とでは恋愛に向かうエネルギーもすっかり変わっていて、なんだか羨ましくて仕方なかったのかもしれない。
森さんのお芝居からは、観客を引っ張って、物語に溶け込ませる魅力を感じました。共演してみて、すごく真摯に取り組んでいるのが伝わるし、お芝居がかっこいいんですよね。彼女は『ちょっとカメラの前にいて』って言われたら、たぶんずっとそこにいられる人だと思う。カットがかかるまでちゃんとそこにいられるというのは、本当に難しいことなんです。森さんは、カメラをまるで空気のようにしてしまう。共演シーンでも、森さんと2人だったから生まれた空気感がとても愛おしくて、すごく感謝しています」
photo:SHUNYA ARAI[YARD] styling:MAHO NONAMI hair:RYOJI INAGAKI[maroonbrand] make-up:KOTOE SAITO styling cooperation:RANKO ISHIBASHI model:MASAMI NAGASAWA interview & text:HAZUKI NAGAMINE
otona MUSE 2024年4月号より