生かす努力をしなければ才能はなくなってしまう。映画『四月になれば彼女は』長澤まさみインタビュー
生かす努力を怠れば、才能はなくなる
役者としてのキャリアはもうすぐ四半世紀になる。けれど、いつでも「私よりすごい人なんてたくさんいますから」と、自分への賛辞や評価の言葉からはそーっと距離を置く。
「何か賞をいただいても、授賞式が終われば、次の日からまた代わり映えのない生活が始まります。朝早く起きて、現場に入ってお芝居をする。特に同業者のみなさんのまなざしはシビアですから、夢のような時間というのは本当にあっという間に過ぎていく。だから、やりがいという意味でずっと心を温めてくれるのは、作品を観てくれた人たちの声。いつまでも自分を幸せな気持ちにさせてくれる唯一の産物というかご褒美というか。同じ作品でも、映画館で観る方もいれば、テレビやサブスクで観たりと、タイミングはそれぞれなので時差があったとしてもすごく嬉しいものです。ときに辛辣な言葉をもらうこともあるけれど、それにいちいち傷ついていたらね、先に進めないですから。考え方を変えて気にせず次のことに向き合う。別に全てが上手くいかなくても、一度の失敗は一生の失敗じゃない。チャレンジした上ならば失敗は失敗で終わらない。結果に自分が満足できなかっただけの話だと思うから、誰よりも自分自身がその痛みを分かっていられる自分であればいい。その痛みがまた新しい自分を作ってくれる材料になる。そう思えなかったら、この仕事を続けられなかったと思うし、改めて厳しい世界だなと痛感するんです」
photo:SHUNYA ARAI[YARD] styling:MAHO NONAMI hair:RYOJI INAGAKI[maroonbrand] make-up:KOTOE SAITO styling cooperation:RANKO ISHIBASHI model:MASAMI NAGASAWA interview & text:HAZUKI NAGAMINE
otona MUSE 2024年4月号より