役づくりで体重10キロ増!? 9月19日配信のNetflixシリーズ「極悪女王」剛力彩芽インタビュー
極力本人がアクションシーンを演じる。「チャレンジしないと」って思ってました
――役柄や芝居もそうですが、いいターニングポイントになりましたね。
剛力 この撮影中、ちょうど30歳を迎える節目だったんですよ。20代最後と30代のはじまりをこの作品に捧げたので、自分の節目に全てがはまった感じがします。こういうことって本当に出会いのタイミングですよね。
――年齢的にもお洋服のラインも変わるタイミングですし、よかったのかもですね。
剛力 そうそう。自分が気に入っていた洋服が着られなくなったことでモヤモヤしたこともあったんですが、よくよく考えてみると違うんですよ。細すぎた体型のときに合わせていたから、「こう着られる」っていう思い込みがあるだけだったんです。今は、お洋服は大好きだからこそ、そのときどきの体型で似合うコーデを、新たに楽しめてる感覚になってます。
――30歳で何か変わる、と思っていた? それとも変わらなきゃと思っていた?
剛力 チャレンジしないと、って思ってました。そのタイミングでこの作品のオーディションがあったんです。まわりの皆さんから30歳からどうなるみたいな話はいろいろ伺っていたんですが、からだのことやお肌のこととか、とにかく20代のままではいられないことを聞かされていて。
――30の次は35、35の次は40の壁がありますよ〜。
剛力 それも聞きました! やっぱり変わるんですね。で、それなら29歳のいまのうちにできることをやりたい、って思ったのがオーディションを受ける原動力になったんです。だって、このお話がもっと若いときだったら対象外だろうし、歳を重ねてからではできないし。しかも、プロレスというケガのリスクが高いことに0から挑戦できるのも今のうち。それで挑んだことで、健康第一、安全第一ということを学ぶこともできたので、からだが資本ってことを思い知りました。
――俳優もそうですよね。からだが資本。
剛力 そうそう。プロレスはケガをしてリングに立てなかったら終わりですけど、私たちの仕事も自分が現場にいかないと何も始まりませんから。この撮影で、自分のからだを守る、ケガをしないからだづくりなどを学んでよかったです。とくにこの作品のリングシーンは、スタントじゃなくて私たちがアクションをしていることもあって、素人同士のプロレスの危険性があったんですよね。
――そうそう。顔が映るリアリティはいいけど、その分リスクが。
剛力 そうなんです。極力本人がアクションシーンを演じるっていうのは、最初から条件にあったんですけど、プロのレスラーでも危険とされる技以外は全部私たちがやって。他の作品じゃ考えられないことです。
――(編集Y、興奮気味に割り込み)ジャ、ジャイアントスイング(仰向けの相手の両足首を脇の下に挟み込んで抱え上げ、ブンブン回転して振り回す大技)って、相手とのコミュニケーションがないとできないじゃないですか! あれやってるの観て「え、なんで剛力さん本人が!」ってびっくりしたんですよ。
剛力 そうなんですよ。あれはおたがいの息がピッタリあっていないとできない技で、しかも飛鳥さんは平均で10回くらい振り回しちゃってたんです。って、なぜジャイアントスイング(笑)。
――(編集Y)じつは私もやったことがあって(笑)。
剛力 まさかの(笑)。いや、私もあれはやってみてびっくりだったんですが、うまくいかないと自分自身が振り回されちゃうんですよ。それで11テイクしちゃったんです。できないことが悔しくて「もう一度お願いします!」ってやり直して。でも、目が回っているし、相手の体重がのった遠心力を踏ん張る力だけで支えないとだから、ぜんぜんうまくいかない。それでちょっと休んでまたやる、っていうことをやっていました。
photograph: KAZUYUKI EBISAWA[makiura office]
interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
styling:SHINGO TSUNO[impiger]
hair & make-up:HIROKO TAKASHIRO