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よしひろまさみち

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役づくりで体重10キロ増!? 9月19日配信のNetflixシリーズ「極悪女王」剛力彩芽インタビュー

血のりの量が多ければ多いほど、白石監督が喜ぶんです

――本作終盤の飛鳥と千種の関係性や、プロレスに対する取り組み方など、実際のことはお話をうかがえました?

剛力 聞きました。本作で描かれていることは本当ですね。リアル。私が演じた飛鳥さんは、まっすぐなプロレスで実力を見せたい、強いプロレスを見せたい、という人だったから、方向性が合わない人も出てくるし、人それぞれに何がかっこいいか、何が強さか、ということも違うしバランスの取り方も違うこともある。そこはちゃんと描かれていると思います。

――プロレスはショーの一つ、と考えるか、アスリート・スポーツの延長にあると考えるか、ですね。あの時代のプロレスはテレビ中継があることが基本だったから、前者だとは思いますが、ジレンマですよね。

剛力 ですよね。私も映像資料や雑誌など、当時のプロレスをできる限りリサーチしたんですが、基本は「どうしたらお客さんが喜んで共感してくれるか」ということが常に考えられていたんですよ。

――それって、俳優業にも近いものがありません?

剛力 そうそう。お芝居で見せるものが自分が見せたいものとお客さんが共感するもので合致すればいいんですが、必ずしもそうはいかないこともありますから。プロレスもそう。感情移入してもらうためには、表情ひとつ、目線ひとつで、語らない芝居みたいなところで勝負していたんですよね。だから、今回のお仕事で、プロレスから役者のあり方をすごく勉強できた気がします。

――リングにあがって一心不乱に戦っているようだけど、じつは中継カメラの位置まで考えられているんですよね。

剛力 そうなんですよ。それも無意識に近いくらい自然にできてるんです。もちろん打ち合わせなしですから、次に何の技がくるかなんて分かりませんが、それもおたがいの目線でのコミュニケーションで全部できちゃってる。すごいですよね。

――役者も同じですよ。

剛力 一人芝居もありますが、多くの作品では相手がいて芝居が成立しますからね。それも段取りだけで演者同士の打ち合わせはないこともあるし、そこでどれだけのエンタメ性をもたせるかっていう勝負。プロレスと似ているのかも。

――この現場でのお芝居は、役者やスタッフ、エキストラの熱量に影響されましたよね。

剛力 本当にそうで、誰一人のエネルギーも欠けちゃいけない作品だったと思います。誰か一人、たとえば私が張り切りすぎたとしてもダメですし、誰かのモチベーションが違う方向にいっていてもダメ。全員が一丸になって同じ方向を向いていないと、誰かケガをしちゃう。安全面に最大限気を配ることがこの作品では必須でしたから。とくにプロレスシーンはプロレス専門のスタッフさんがついてくれて、みんなで励まし合ったり、ちょっとでも疲れてるそぶりが見えたら止めてくれたり。もちろん白石監督の熱量にも影響されましたし。

――白石監督の現場は初めてでしたよね。いかがでした?

剛力 オーディションを受ける前から楽しみだったんです。絶対に何かが起きるし、自分を変えるチャンスだと思ってました。血まみれの作品ばかりの監督ですが、そのイメージと全然違う、とてもやさしい、笑顔のお兄さん。

――今回も血のりは使いましたね。大量に。

剛力 ええ。本当に大量に。しかも多ければ多いほど監督喜ぶんです(笑)。でも、可愛らしいんですよ。現場に入る前は怖い撮影だったらどうしよう、と緊張したんですが、ぜんぜん。いつもニコニコで、リングに上がったときは必ずロープに寄っかかってプランプランしてるんです。それ観ていて、失礼ながら「可愛い〜」って思ってました。

――ただ……たまに目の奥に狂気を宿してませんでした?

剛力 ある! あった! 役者に対してはいつも優しいんですが、突然目の奥がギラっとすることがあって。そのときは気が引き締まりますよね(笑)。

「極悪女王」
バブル真っただ中の80年代を舞台に、心優しき一人の少女がルール無用の極悪プロレスラーになっていく姿を描く。全国民の敵と呼ばれた最恐ヒールの知られざる物語。
出演:ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽

Netflixシリーズ「極悪女王」9月19日より世界独占配信

photograph: KAZUYUKI EBISAWA[makiura office]
interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
styling:SHINGO TSUNO[impiger]
hair & make-up:HIROKO TAKASHIRO

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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