朝ドラ『虎に翼』香淑役ハ・ヨンスさんインタビュー「“今じゃないとチャンスがない”と挑戦をしました」
『香淑は実はこういう人なんだ』という二面性をしっかり表現するように気をつけました
—日本でのドラマ初出演が朝ドラ『虎に翼』。一番緊張したことは何ですか?
「現場で感情の表現がちゃんとできるのか、気になってしまい、演技をする際にとても緊張しました。日本語がまだ不十分なので、日本語ばかり意識してしまい、表現力が下がってしまっていると感じたことがあって、悩みました。でも多くの視聴者さんが香淑のことを好きになってくださっているようで、嬉しかったです」
—全130話から、すでに115話ほどで物語も後半戦に突入していますが、クランクイン時と比較して心境の変化はありますか?
「もうすぐ終わると思うと、とても寂しいです……。日本での最初の作品だったので、特別な気分ですね。クランクインのときはドキドキが強かったのですが、今ではNHKのスタジオも俳優の皆さんもスタッフの皆さんもとても懐かしい気持ちです。スタッフ、俳優の皆さん、みんなに会いたいですね」
—撮影の裏側は?日本と韓国のドラマの撮影現場の違いは何ですか?
「待ち時間が長くなると、みんなおしゃべりに花が咲きますね。お菓子を食べたり、日常的な話をしたり。そういう点では日本と韓国の現場に大きな違いはないですね」
—印象に残っているセリフやシーンなどはありますか?
「明律大学女子部の新入生募集中止という話を聞きつけて『先生方、お待ちください!あと一年だけ待ってください!』と土下座しながらお願いしたシーンが一番心に残っています。当時日本では珍しかった異国の人という立場もあり、少し自分を内側に押し込めて、遠慮がちだった香淑ですが、実は心の中に芯のある思いを持っていたことがわかるシーンだと思います。また演技も難しくて、『二重人格なの?』という違和感を与えてはダメで、『香淑は実はこういう人なんだ』という二面性をしっかり表現するように気をつけました」
—日本語は独学だそうですが、特に苦労したことはありますか?
「小さい“っ”の発音が難しかったです。これだけは韓国語では存在しないので。個人的に日本語は、発音よりもイントネーションが難しいと思います。友だちに聞いてみても、方言によってイントネーションが変わったりして。一体何が正解なんだ?となりました。毎日が勉強ですね」
—日本で俳優業を始めたきっかけは?
「20代のころから日本の映画に出演してみたいと思っていたのですが、そのときは韓国での経験も不足していたし、すぐには来られなかったんです。30代になったとき、“今じゃないとチャンスがない”と思い、思い切って挑戦することにしました」
starring: HA YEONSOO direction & styling by MIKA NAGASAWA
hair by KOICHI NISHIMURA at VOW-VOW make-up by KIE KIYOHARA at beauty direction interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO