綾瀬はるかさん×メイクアップアーティスト UDAさんインタビュー「普段メディアでは見せない一面にスポットを当てたものになりました」
いろんな側面を知っているUDAさんの視点がなければ実現しなかったもの
20年以上一緒にお仕事をしてきたなかで、UDAさんはいつも世の中を俯瞰して先を見ている人だと感じることが多くて。言葉にできないモヤっとしたこともいつも明確に言語化してくれるから、お話をいただいたときも、きっとUDAさんに見えているものがあるんだろうなと思いました。
UDAさんと一緒に仕事をするようになった当時は、初めてお会いするスタッフの方がまだまだ多いときで、不安に思っていることや相談したいことも、誰にも話せずに口をつぐんでいることが多くて。だから、そのときの私はすごく暗いというか、大人っぽく、憂いのある子のように映っていたのかもしれません。
今回の撮影は、事前にあるモチーフを提案してくださっていました。それは、ずっと好きだとおっしゃって下さっていた、私が出演していた作品のひとつでした。今思い返してみると、確かにその作品に出演できたきっかけも、脚本家の方が私の写真を見て「目が笑ってないから、絶対彼女(※綾瀬さんが演じたある役)のような一面がある」と言ってオファーしてくださったんですよね。UDAさんは今回、そのモチーフのフィルターを介して出会った当時の憂いのあるような一面を引き出してくれたんじゃないかなって思っています。
また、撮影のイメージを話していくなかで“亡霊”というキーワードもでていたので、裏の世界から残された人たちを見ているような感覚で撮影に挑みました。年齢のせいなのか最近死についてもよく考えるようになって。自分の力ではどうすることもできないものごとに対して、諦念のようなものを感じさせる見え方を意識しました。
この撮影は普段メディアでは見せることがない、影にあたるような一面にスポットを当てたものになりました。これは昔から近くで私のことをすごく見てくれていて、仕事もプライベートも、いろんな側面を知っているUDAさんの視点がなければ実現しなかったものだったように思います。
direction & make-up:UDA[mekashi project] photograph:KATSUHIDE MORIMOTO styling:REINA OGAWA CLARKE hair:YUSUKE MORIOKA[eight peace] model:HARUKA AYASE interview & text:MIYU SUGIMORI, MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2024年12月号より