綾瀬はるかさん×メイクアップアーティスト UDAさんインタビュー「普段メディアでは見せない一面にスポットを当てたものになりました」
根底にある個性とファッションがもう一歩繋がって、より魅力的なものになるように
この連載を構想し始めたきっかけは、今の俳優さんとファッションの関係が、出演されているその方自身の根底にある個性ともう一歩繋がっていると、さらに魅力的なものになるんじゃないかと感じていたことでした。それをオトナミューズ編集長の渡辺さんにお話ししたところ共感いただいて、こういったことを実現する機会を得ることになりました。
撮影前に俳優さん自身と直接お話をして、おひとりおひとりとファッションとが繋がる「何か」を見つけられたうえでイメージを作っていくことができたら、ご本人にとっての新しい発見や、一面を引き出すきっかけにもなるんじゃないかなって。この連載は普段とはまた少し違う、でも彼らの自身の奥のほうにある部分と何かしら繋がった、一歩踏み込んだものにしたかったんです。そこで、タイトルは「IN THE BACK」に。お節介な企画です……。
初回は20年ほど前から交流のある綾瀬はるかさんに出演いただきました。タイトルの「IN THE BACK」が指す、彼女の奥に秘められたものは何かと考えたとき、僕たちが見えている太陽のような天真爛漫な部分の裏には、憂いを含んだ静けさだったり、直感的に深いところを見抜く鋭さだったりと、A面ではあまり見せないB面的な綾瀬さんもいるように感じていたので、それをネガティブなものではなくポジティブな面として、その一面を含んだコントラストのある彼女を見せられたらいいなと思いました。
そう思案したとき、太陽が全面ではなく、月のような、夜に沈まない太陽とでも言うようなB面のイメージとなりました。
そのアイデアが浮かんですぐ、このモチーフをどうクリエイティブに落とし込もうかスタッフの皆さんと話し合いました。そのなかでスタイリストの(小川クラーク)麗菜さんがスタイリングを通して人物像の輪郭を見事にはっきりさせてくれた。人物像がはっきりしたことで、フォトグラファーの守本(勝英)さんから「実態があるのか、ないのか? みたいに綾瀬さんがいろいろなところにふわふわと現れたら、面白いんじゃないか」というアイデアが出て。普段撮られているような“綾瀬はるか”という部分は極力奥にしまって、意識が浮遊するように遊んでいたり、ぼんやり何かを見ていたり「実はそこにいないんじゃないか?」「もしかしたら亡霊?(笑)」、でも、やはり強い存在感があるというイメージの全体像が固まりました。
ご本人には、モデルとして被写体になっていただくのではなく、意識のない自分を演じていただくような、俳優としての表現をお願いしました。麗菜さんの鋭いスタイリングと守本さんの絶妙な写真によって今まで見たことのないような綾瀬さんの表情になったのではないでしょうか。
僕たちとしては、それが読者の皆さんにとって「かつて見たことがあるような、実は知っていたような、でも見たことがない新しい綾瀬さんの魅力」として伝わるものになっていたらとても嬉しいです。
direction & make-up:UDA[mekashi project] photograph:KATSUHIDE MORIMOTO styling:REINA OGAWA CLARKE hair:YUSUKE MORIOKA[eight peace] model:HARUKA AYASE interview & text:MIYU SUGIMORI, MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2024年12月号より