「憧れの綾瀬さんは撮影が終わった今でも会うと緊張します」映画『ルート29』大沢一菜インタビュー
森井勇佑監督作品『こちらあみ子』で強烈なスクリーンデビューを放ち、11月8日公開映画『ルート29』では、綾瀬はるかさん演じる主人公のり子と共に旅する女の子ハルを演じた大沢一菜さん。デビュー後、またたく間に注目を集め多くの俳優仲間や映画ファンからラブコールを受ける彼女も、普段は部活に夢中なひとりの女の子。そんな13歳のいまだベールに包まれた素顔に迫ります!
――大沢さん、綾瀬さんのガチファンだとうかがいましたが、本当?
大沢 本当です。じつは撮影が終わった今でも、綾瀬さんを前にすると緊張してしまって……。
――がっつり共演してるのに!
大沢 小さいころから綾瀬さんの出ているCMやドラマをたくさん見ていたので、共演できるとなったら嬉しい……いや、恥ずかしかったかな。実際に会ってみたら本当に印象そのままだったんですよ。やさしいし、可愛いし、大好きな綾瀬さんそのままだ! って感じで。だから今でも緊張しちゃうんです。
――いやいやいや……緊張してたのは綾瀬さんのほうだったと思いますよ。『こちらあみ子』での大沢さんにドハマりしたっておっしゃってましたから。じゃ、撮影でも緊張しましたよね。
大沢 撮影が始まったばかりのときは、ぜんぜんしゃべれなかったんです。でも、いつも気を使って話をしてくれたり、私からもお菓子をあげたりして、ちょっとずつ。
――打ち解けていきましたね。この役を演じる難しさよりも綾瀬さんとの距離の縮め方のほうが難しかったようですね。
大沢 この台本を読んだとき、人を傷つけたり暴力振るったりするシーンがなくて監督らしいなって思ってて。ハルは自分をモデルに描いているのかな、って思ったほど似ているキャラクターだったので、難しくなかったんです。スクリーンに映っているのは、ほぼ自分で、ほぼ素みたいな感じ。
――だからといって、劇中のように呼び捨てには……
大沢 できないです!
――ですよね(笑)。では、撮影で困ったことは?
大沢 暑かった……。とにかく暑かった。
――それ、綾瀬さんもおっしゃってました(笑)。
大沢 そうなんです。ただ、いろいろな場所に泊りがけで行けたのはよかったです。兵庫も鳥取も初めて行く場所だったので楽しかったです。
――特に思い出に残っているのは?
大沢 鳥取かな。行くまでは全てが砂におおわれているのかと思っていました……。
――砂漠じゃないのよ、鳥取は。
大沢 ですよね(笑)。鳥取ではたまたま夏祭りをやっていて、そこに監督や綾瀬さん、高良健吾さんと一緒に遊びに行きました。
――え、バレなかった?
大沢 ぜんぜん。綾瀬さんや高良さんが雰囲気を消していたからだと思います。
――兵庫の思い出はありますか?
大沢 撮影の最初のほうだったせいもあって、かなり緊張していたので、鳥取のような楽しい思い出は……あ、ごはんがおいしかった。お好み焼きとか、とんかつとか。お肉おいしかったです。
――この作品の撮影時から比べてもすごく背が高くなりましたよね。お肉好きだからかしら。
大沢 そうかも。でもチーズは苦手。ピザとかグラタンとかスパゲッティのチーズは食べられるんですけど、チーズだけだとダメ。
――このお仕事をしていると、いろんなところでその土地のおいしいものを食べられるからいいですよね。では、撮影で一番難しかったことをあげるとしたら?
大沢 ホテルのシーンです。自分が演じたハルと綾瀬さんが演じるトンボがハルのお母さんに会う前に泊まって、ハルの口からお母さんの話をするんですが、監督からは「宇宙で一人ぼっちになってるようなイメージで」と言われてたんです。それがなかなかイメージできなくて……やってみても自分では納得できなくて、何度も撮影しました。
――え? 監督はものすごく細かいことを指導するとうかがっていましたが、そのシーンはその一言アドバイスだけ?
大沢 そうですね。
――やば……天才に任せた感。
大沢 じつは撮影前に一度読んだ台本、監督に取り上げられたんです。セリフは忘れろ、って。
――うわ〜……マジで天才に任せてる。
大沢 だから、セリフが全然頭に入っていないんだけど、方言指導の先生と一緒にちょっと練習して。でも、台本は手元にない。それで撮影に行ったんです。もうわけがわからない。
――そりゃそうでしょう。でも監督とは『こちらあみ子』の後、こんなすぐにまた一緒できたのはよかったのでは?
大沢 嬉しかったです。あのときの監督との思い出は楽しいことがたくさんあったので、またこの作品で新しい思い出が作れると思っていました。
――そこに憧れの綾瀬さんもいるんだものね。
大沢 本当にそうです。砂丘のシーンあたりではなんでも話し合える仲になっていたので、すごく嬉しい経験でした。
photograph:KOTA ISHIDA[MARE]
interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
styling:MIHOKO TANAKA
hair & make-up:GO UTSUGI