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【INTERVIEW】
6月号のカバーミューズは、
はじめましての中村アンさん

本日発売、オトナミューズ6月号に初登場の中村アンさんのインタビューをたっぷりお届けします!

前に進みつづけるために。
いったん立ち止まって、
自分と向き合う時間を作る

―オトナミューズ初出演、ありがとうございます。撮影はいかがでしたか? 「オトナミューズの誌面に出られること、単純に嬉しくて。ワクワクしながら今日を迎えました。そしてテーマがミニということで……私自身、しばらくミニボトムから離れていたので新鮮さはありながらも、やっぱり気恥ずかしい部分もあって(照)。でも、いざ着てみたら若々しい心意気に戻るというか(笑)、マインドがぐいっと上がる実感があってすごく楽しめました」 ―ミニボトムの特集が決まり、似合う人に出ていただきたい! とオファーさせていただきました。凜々しく着こなせる方を想像したら、アンさん! となりまして。 「嬉しい! ありがとうございます。活発なイメージがあるんですかね、私。自分でも“静”と“動”でいうなら、間違いなく“動”って認識はあって。動いている方が自分らしいし、自然体でいられる気はしますね。でも最近、思うんです。チアリーディングをやっていた学生時代を含め、活発に過ごしてきた10~20代を経て、今30代を生きているなかで、動かず立ち止まること、止まって考えることも必要だなって。モデル業だけの時期は、からだ作りのトレーニングもそうだし、日々忙しなく動き続けている感覚だったんですけど。お芝居を始めてから、自分と向き合う局面が増えた。それがひとつのきっかけだとは思います。年齢的にもいろんな経験をして、いろんなテーマにぶつかりながら、そのたびに内面に変化がもたらされて。そういう変化や葛藤をひとつひとつ咀嚼するために、止まることや考えることに行き着いた感じです」 ―世間一般に浸透している、溌剌としたヘルシーさのようなパブリックイメージとのギャップを感じたことも? 「長い髪をガッてかき上げてるころのアレも、もちろん私ではあったし、キャラを作っていたつもりもないです。ただ、徐々にイメージだけが先行してひとり歩きしてる感覚があって。それに応えなきゃ応えなきゃ、みたいな思いは常にありました。求められているイメージや世間のニーズに沿うことで、自分という存在をより広く知ってもらいたかった。その一心だった気がします。私、普段そんなにハキハキしてるわけじゃないんですよ。かといってローテンションではないけど、“え!嬉しい~!!”ってよりは“あ、嬉しい”みたいなタイプ。伝わりますか? これ(笑)。もちろん心から嬉しいんだけど、わりと淡々としているからか“……本当に嬉しい?”って聞かれたり。スイッチを入れないと、だいぶシャイなんですよ。なのに一般的なイメージは、ハキハキ系じゃないですか。実際そうでもないんだけどな~って漠然と思ってはいました」 ―その点でいうと、髪を切られたことでかなりイメージ変わりましたよね。 「本当ですか? ドラマでいただいた役柄がきっかけではあったんですが、これまでのイメージを払拭する意図もあって30cm以上切りました。『グランメゾン東京』で出会った塚原監督から、次の『着飾る恋には理由があって』で演じてもらう羽瀬ちゃんって役は、こういう体勢で絵を描いていて、髪と肌のバランスはこんな感じで……と、結構具体的なビジュアルの想定を伺ったんです。そのとき“アンちゃん、髪切ったりしないよね?”って。もともと、髪を思いきり短くしたら、すでに定着している中村アン像を少しは崩せるかなって気持ちが沸々としていたので、ぜひ! とお答えしました。何より信頼のおける監督のリクエストだし、待ち望んでいたタイミングがついに来た! って思いで、カットしたのが約1年前。そこから少し楽になった気がするんです。絵を描くことに没入している役だから、顔が見えなくてもいいし、メイクも大してしなくていい。そういう役を与えてもらったことで、お芝居そのものを心底楽しめた。改めて好きだなと思えたんです」 ―外見どうこうっていう視点から解放された、清々しさを感じます。アンさんにとって転機となった作品なんですね。 「転機、まさにそうですね。今まで“中村アン”ってものに自分が一番縛られていて。こんなふうに見られてるんだろうなっていう前提で、勝手に先回りしてたけど。長い髪がなくなったら感覚的にも身軽になって、役として違う人を生きるってことの意味がようやく本質的に理解できたような気がしています」

運よく世に出られたからこそ
お芝居ではコツコツ経験を積んで
意外性を見せていきたい

―前クールの『DCU』ではタフな役どころを演じられていたのが印象的です。 「自分の中にあるサバサバ感やタフさみたいな部分が、髪を切ってからより前面に押し出されてますね。基本せっかちなので、動きが速いんですよ私。振り向きとか秒速(笑)。いわゆる体育会系のやつです。そのイメージのお陰もあって『DCU』でも、男性チームの中に女性ひとりでしたが、すっと入り込むことができたのかなと思います。ありがたいイメージではあるんですが、なんせ色気みたいな要素が昔から乏しいのが悩みで。ゆっくりした所作とそれに伴う沈黙の時間が怖いというか、恥ずかしくなっちゃう。あのロングヘアのかき上げも、色っぽさを演出したかった部分もあるんです。でも逆に女のコたちがマネしたい! って支持してくれて。意図していたセクシーとは方向性が変わってヘルシーになったけど(笑)、それで今があるわけだから結果的にはよかったのかな」 ―ヘルシーさというアンさんの個性は役柄としても際立っている感じがします。 「髪型や風貌で覚えてもらえるようになって、そのおかげでありがたく世に出たからこそ、お芝居で全てを変えないと次のステージにいけない。30歳前後でそう思い始めました。そもそも、最初は演技をすることにどこか引け目を感じていたんです。バラエティの知名度で呼んでもらえてる、私ここにいていいのかな、とか」 ―どんな俳優さんも最初は新人で、ベテランだらけの中で奮闘しなきゃですよね。そこを乗り越えることがまずすごい。 「そうなんですよね。皆さん、現場でさり気なくフォローしてくださるので、その優しさが本当に染みます。私には周りがみんな完璧に見えて、自分との差を感じるばかり。だからこそ、誠意をもって共演者の方々とコミュニケーションを重ねながら、お芝居を作ることの大切さを学ばせてもらっています。コツコツ積み重ねていって、何かのタイミングで“あれ?意外といいじゃん”って思ってくれる人がいたら嬉しいですね」 ―持ち前の芯の強さが感じられます。アンさんが今理想とする女性像って? 「人まかせじゃなく、自分の力で進んでいける、ごまかしのない人かな。最近やっと自分らしさを掴めてきたなって手応えがあって。何もないよりは大変さやハードルがあるほうが幸せっていう自分の気質も生かせて楽しいですね。一方で、もう34歳なのに私まだまだだ~!って年齢に急かされる感覚もある。きっと自分に満足できないタイプなんです、いつまで経っても(笑)」 profile_中村アン(なかむら・あん) 1987年、東京都出身。スマートながらも強さやひたむきさを感じさせる演技で、引っきりなしに多くのドラマや映画に出演。1月期のTBSドラマ、日曜劇場『DCU』で演じたダイバー・成合隆子役でも話題に。

model:ANNE NAKAMURA / photo:YUSUKE MIYAZAKI[sept] / styling:KASUMI KATO / hair:SHOTARO[SENSE OF HUMOUR] / make-up:NOBUKO MAEKAWA[Perle management] / interview & text:NAO MANITA[BIEI]

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