「年齢はただの数字ではない」51歳の梨花が語る、年齢を重ねる上で必要なセンスと得られたもの
オトナミューズ2025年2月号から梨花さんのロングインタビューをお届けします。「肩の力を抜くのが本当に苦手」と長いこと言い続けてきた彼女ですが、最近は心境に変化があったようで、撮影日も終始リラックスムードでなんだか楽しそう。年齢を重ねることで見えてきた新しい景色とは? 久々にたっぷり語っていただきました。加えて、11月にローンチしたばかりの「/r laje uneglerie(ラジェンドゥリ)」についての想いも。
トータルのバランスで人を、自分を
素敵だと思えるようになってきている
「ここ1カ月くらいのことなんですが、人生のフェーズが、変わった気がするんです。肩の力が抜けていて。たぶん、自分が何に重きを置いているのかが、分かってきたからだと思うんです。
肩の力が抜けている女性って、長年の私のテーマであり、理想でした。もちろん、誰だって長い人生を考えたら全力投球過ぎるくらい全力投球しているほうがいい時期と、そうじゃなくていい時期があると思います。今まではお仕事に対して、完璧に準備するのがあたりまえで、緊張感からピリピリすることもありました。そんな自分って、素敵じゃないなと思うんです。でも今はもう、そんなに厳しく自分に向き合って、ピリピリしなくっていいじゃない、って。気負っていたものが、自然と抜けていったんです。この先、私は『なりたい自分』になっていくだけ。すぐに『自分らしさとは何か』『違和感のない自分とは』って考えてきたけれど、そういうふうに自分に向き合うのをやめたんです。もう十分。あとはなりたい自分になっていくだけでいい。無理なら無理で、もう、来世で頑張ろう、って(笑)」
「肩の力が抜けた」というフレーズは、誰よりも自分に厳しく、これまでなにごとにも全力で向き合ってきた梨花さんとは正直、真逆のイメージ。梨花さんが今、重きを置いているものとは?
「自分のなかで『モデルとしてどう在りたいか』よりも、『自分がどう在りたいか』が、増えたんだと思います。スイッチを入れてモデル・梨花の理想を追い求めるとかではもう、なくて、そのスイッチすら必要ではない……ただの自分。ただの人間として素敵になりたい。そしてね、『可愛い』とか『キレイ』とかの要素を追求するのではなく、『素敵』と感じるためにはもっと、いくつもの要素が必要だなあって感じるんです。そのとき『いくつも揃っていなければ素敵ではない』ではなくて、『素敵を作るものって、いくつもあるんだ』『たくさんあればいいな』と感じて、嬉しくなる。ひとつの側面だけではない、トータルのバランスで人を、自分を、素敵だと思えるように、なってきているんだと思います」
こんな大きな心境の変化は一体、何をきっかけに起きたのか。梨花さんは「ここ1カ月くらいのことだから、まだまとまりがないんだけれど」と言いながら、ていねいに説明してくれた。
「何かが起きたわけでは、ないんです。ただある日、『私、どんなふうに死ぬんだろう?』って考えたんです。その瞬間、何を考えているんだろう。隣に誰がいるの? 仕事は続けているのかな。苦しいの? 大丈夫? 満足してる? そう思ったら『ちょっと待って』。そのときに『ああ、楽しかったなー』って自分で思えるように、生きていきたい。人間って長くても直近の、10年くらいのできごとを色濃く覚えているものでしょう。今、日本人の平均寿命が80歳くらいだとしたら……頑張って働いたあとの、60歳とか65歳以降の意識、時間の過ごし方が、とても大事なんじゃないか、って。
そう考えたときに、これまではお仕事が人生の大半を占めてきたけれど、これからは日常をもっと、大切に。普段、幸せを感じることや素敵だなって思うことを大事にしていきたい。私は今51歳だけれど、この年齢だからこそできることを自分のなかで見つけていきたいんです、人として。家の中での過ごし方も、そう。身なりも、そう。何もなくても普段もメイクしたり、オンもオフも関係ない。年齢を悲観するんじゃなくて、そのときそのときの年齢ならではのよさ、みたいなものを、自分で感じられるようになりたい。これから歳を重ねていくなかでも、そういうふうに理想を持ちながら生きていければいいな、って思ったんです」
photo:YUKI KUMAGAI hair:KOICHI NISHIMURA[VOW-VOW]
make-up:UDA[mekashi project] model:RINKA
otona MUSE 2024年2月号より