宝塚歌劇団卒業から5カ月。元星組・愛月ひかるさん3週連続インタビュー【前編】
宝塚のクラシカルな男役として人気を博し、昨年末惜しまれながら退団された、元宝塚歌劇団・星組男役スター、愛月ひかるさん。その魅力は、クールで哀愁&色気の漂いっぷりが尋常ではないプリンス的一面がありながら、普段はとっても愛らしいチャーミングなキャラクターの持ち主であること。
そんな彼女の魅力爆発のインタビューを、前編・中編・後編と3週にわたってお送りします。
ほとんど何も塗らない
ナチュラルメイクが新鮮でした。
まずはどこでも聞かれる質問から。卒業から約4カ月経ちまして……。
「絶対聞かれるやつですね(笑)」
はい(笑)。現役時代とはかなり違った生活が続いていると思いますが、そろそろ落ち着いてきましたか?
「だんだんつかめてきた感じです、暇さにも慣れて(笑)。でも大して暇じゃないんですよ。もっと暇だと思ってたから」
ジムとかにも通ったり?
「加圧トレーニングには週1で行ってるのと、先輩の鳳翔大さんが“バレトン”の資格を持ってらっしゃって、今朝もオンラインでやってくださったり。“バレトン”っていうのは、バレエの動きにいろんな要素を組み合わせてやる有酸素運動なんですけど、そんなにスペースを取らないので、家でやるのにはすごくいい。いい汗かきます」
インスタも始められましたが、やってみていかがですか?
「なかなか慣れないですね。投稿一つするのにもすごく時間をかけてます。みんなすごい!」
映画を観に行った投稿をされていましたが、映画はお好きですか?
「映画は元々好きで、下級生時代は1日2本映画館で観たこともあったくらい。でもコロナになってから現役中は1回も観に行けてなかったから、今は思う存分観てます。SNSで言っていないのだと『ナイル殺人事件』もおもしろかった」
映画や買い物など、一人でお出かけするタイプですか?
「一人でどこでも行きます! それこそ最近は電車と自転車をかなり使いこなしてます。自転車はまだまだ下手だけど……」
最近観た舞台で印象に残っているものは?
「お笑いも大好きなので、山里亮太さんの単独ライブはすごく楽しかったです。プロフェッショナルで尊敬しました。台本とアドリブを織り交ぜてあんなに自然に一つの舞台になるんだなと。私はアドリブが苦手で、あると気が重くなるので(笑)、お客さんを味方にして場の空気を掴む力に圧倒されました」
花組公演『TOPHAT』のライブ配信をご覧になっていましたが、愛月さんも演じられたアルベルト・ベディーニ役の帆純まひろさんはいかがでしたか?
「すっごく頑張ってたと思うし、素敵でした! 最初の方にホテルの花屋さんとの芝居があって、当時普通にやることもできたけど、花屋さん役が同期の瀬音リサちゃんだったから、“あそこおもしろくしたいよね”ってすごく考えたんです。回ったら回るみたいな振りとか。それを全く同じではないけど生かしてくれていて、参考にしてくれたのかな? と思ってすごく嬉しかった。もちろんほってぃー(帆純さんの愛称)なりのベディーニになっていました」
宙組公演『Never Say Goodbye』の感想もあげられていましたが、特に印象に残っている場面などはありますか?
「フィナーレはKAORIalive先生(振付家、今公演フィナーレの一部の振付を担当)が天才! 本当にゆりかさん(真風涼帆さんの愛称)がかっこよすぎて……ご本人に送った感想が我ながら気持ち悪かったです(笑)。フィナーレ中に片側の口角だけ上げるの、あれ、何? どこであんなこと覚えたんですか? って。そういうの見ると今度モノマネしようと思ってずっと見るんだけど、かっこいいポイントがありすぎて真似できない! あの骨盤グーで叩くだけでかっこいいって何? って思ったし、2番プリエみたいな状態で移動するのがかっこいいのもなんだと思って。その後のキキ(芹香斗亜さんの愛称)が真ん中で残る場面もめっちゃくちゃかっこよくて、“犯罪やで”って送っときました、本人に(笑)。あとやってる方は大変だと思うけど、男役が布を使うのもかっこよかった。みんなあの布を娘役に渡してもらうじゃないですか、そういう芝居みが入ってるのもめっちゃ素敵なんですよね、カオリ先生。例えば私だったらロミジュリフィナーレでみほちゃん(有沙瞳さんの愛称)を奪うとか」
(ここから宝塚トークが止まらなくなりましたが、それはまた次回)
今回はファンサイトの為の写真撮影ということで、初めてのスタッフとの撮影だったそうですが、終わってみていかがでしたか?
「メイクがほとんど塗らないくらいナチュラルで、すごく新鮮でした。宝塚のメイクって結構描くし、自分も普段濃いめのメイクが多かったんです。最近ファンデーションはそこまで塗らないけど、目元は濃い色を一色入れないと締まりがなくなりそうで不安で。でもやらなくても、ナチュラルな方が意外にいいんだっていうのを知れました」
退団後の観劇についても熱く語ってくださった愛月さん。次回はご自身の現役時代の出演作品について細かくお伺いします! 来週もお楽しみに。
《撮影裏話》
初対面のヘアメイクさんが驚愕するほどの肌の白さを誇る愛月さん。眉や目元以外はほぼ何も塗らずに撮影に臨みました。しかし撮影中、モニターを見ていると彼女の頬がしっかりめのピンクに。チークを足した? と思いきや、スタジオの暑さで頬が赤くなっていたのでした。それに気づいて一同爆笑、そしてさらに頬が赤くなる!「笑うと赤くなるから笑っちゃだめ~!」と和気あいあいとした撮影現場でした。
【PROFILE】愛月ひかる(あいづき・ひかる)千葉県市川市出身、8月23日生まれ。2007年に93期として宝塚歌劇団に入団、宙組に配属。二枚目から悪役まで幅広い役を演じ分け、人気男役スターとして活躍。専科を経て星組に組替えとなり、2021年「柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」で宝塚歌劇団を退団。5月13、14日には、退団後初めての舞台となる「珠城りょう1stコンサート『CUORE』」にゲスト出演予定。
photograph:MARCO / styling:YOKO IRIE [SIGNO] / hair&make-up:IKUKO SHINDO [tron] / text:ERI KURODA
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