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オトナミューズ編集部

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初台詞は「発声法教室大ブーム!」宝塚歌劇団元星組・愛月ひかるさん3週連続インタビュー【中編】

先週の【前編】に続いて、元宝塚歌劇団・星組男役スター、愛月ひかるさんのインタビューをお届け。宝塚現役時代の出演作品や当時の苦労、こだわりについて、深掘りしていきます!

 

舞台に出て行った瞬間
もう大丈夫だと思えました。

ーご自身が出演された作品のフィナーレ(宝塚歌劇の作品の多くにある、終盤のダンスパートからカーテンコールまでのこと)の中から、お気に入りを教えてください。

「やっぱりKAORIalive先生のフィナーレは素晴らしくて、『異人たちのルネサンス』<2018年>はお気に入り。『ロミオとジュリエット』<2021年>も大好きです。階段の使い方が神! あとは『クライマックス- Cry-Max -』<2012年>フィナーレの“月光”の燕尾、『Amour de 99!!』<2013年>の“愛の宝石”の燕尾も好きでした。どちらも羽山先生(宝塚歌劇団所属の振付家)の振付です」

-ご自身が在団中に歌った中で、好きだった曲は?

「難しいな~なんだろう! 『クラシコ・イタリアーノ』<2011年>新人公演で歌った『LIFE IS WONDERFUL』、レニー(本役:凰稀かなめさん)が最後に銀橋で歌う曲が、歌詞もメロディーも好きでした。あとは『不滅の棘』<2018年>一幕ラストの『それこそ人生』、サヨナラショーでもディナーショーでも、あまりに曲が長いのと、五重奏というのもあってできなかったけど、とても好きな曲です」

-お気に入りの衣装はありますか?

「『異人たちのルネサンス』のフィナーレの衣装。あれは演出の田渕先生に“絶対に裾が翻る長さにしてほしい”という衣装へのこだわりがあったんです。私自身も裾長めの衣装が好きで、特に捌けるのが。娘役みたいに裾を捌きたいんですよ(笑) 。マントも好きで、原作漫画のファンだったこともあり『天は赤い河のほとり』<2018年>の黒太子マッティワザの衣装は好きでした。あれに関してはマント及びカツラ捌きもあったから大変で。

あと地味に好きだったのは、『ベルサイユのばら』<2014年>フィナーレナンバーの、薔薇タン(“薔薇のタンゴ”というシーン)の前に踊っていた時の赤い衣装(笑)。上半身がすごく逆三角形に見える形なんです。それが好きすぎて、昨年のディナーショーの衣装を作ってもらう時に、ベースの形はああいう風にしてほしいとお願いしたくらい。肩があって、前は小さめのホック1個しかなくて、裾が長いっていうのが、一番私の骨格を生かせる形だったのかなと思っています。それこそ新調してもらった昨年のディナーショーのピンクの衣装も、サヨナラショーの真っ白の衣装も、その形だったのでひと目惚れ。デザイン画をもらった時点で“うわ~すごい!♡”となりました」

-舞台に立っていて、客席を惹きつけたと手応えがあった瞬間はありますか?

「『神々の土地』<2017年>で演じたラスプーチンの出(登場シーン)かな。あれは掴んでましたね(笑) 。あとはロミジュリの“死”の出とか。舞台に出ていった瞬間、“あ、もう大丈夫だ”と思えました」

-殺陣で印象に残っている役はありますか?

「『SANCTUARY(サンクチュアリ)』<2014年>のフェンシングは大変だったから印象に残っています。最初と最後はガチでした。殺陣をつけてくださる栗原先生は、芝居と殺陣を流れの中で一体化させることを大切にされているから、とても難しいんです。ラスプーチンの時も栗原先生で。あれは武器を持っていないけど、不気味さや奇怪さを表現するのが本当に大変でした。殺陣って安全上無言で相手に襲いかかるということはなくて、“はぁ~!”とか“うぉ~!”とか言うのが基本なんですが、ラスプーチンがそれをやるのは違うとなり、よくわからない呪いの言葉みたいなものをずっと喋ってと言われて、全然できなかったです(笑)」

-ご自身が演じて好きだったラブシーンは?

「ラブシーンを考えるのは結構好きで、一番最初にすごく考えたのは、『誰がために鐘は鳴る』<2010年>の新人公演。新公はカットがある関係で本公演とは演出が違うところがあったから、ラブシーンも変えないといけなかったし。やっぱり本役の祐飛さん(当時の宙組トップスター・大空祐飛さん)がされることは難易度が高くて、当時研4(研究科4年目のこと)の私がやるには難しいと思ったので、自分で考えてこだわって作りました。あとは『SANCTUARY(サンクチュアリ)』も、何パターンもキスシーンがあったから、それも全部自分で考えました」

-出演された作品で、好きだった演目を3つ教えてください。

「『WEST SIDE STORY』<2018年>、『翼ある人びと-ブラームスとクララ・シューマン-』<2014年>、『雨に唄えば』<2008年>」(すらすらと出てくる)

-『雨に唄えば』はかなり懐かしい公演ですね。

「楽しかったんですよね、最下級生だったのに。この公演で頂いた初台詞“発声法教室大ブーム!”は一生忘れません」

-他組でやっていて、ご自身も出たかった公演はありますか?

「月組公演『BADDY -悪党は月からやって来る-』<2018年>ですね。舞台稽古を見学とかではなく、チケットで2回観ました。普通なかなかそんなことしないんですよ。それくらいハマった作品です。オープニングのたまちゃん(珠城りょうさんの愛称)が宇宙服で登場するところから、掴まれっぱなしでした」

根っからの宝塚ファンだった愛月さんならではの、こだわりと愛が詰まった宝塚トーク、いかがだったでしょうか? 次回は好きなお菓子から愛用のコスメ、LINEスタンプまで、細かすぎる質問をさらにぶつけていきます! 来週もお楽しみに!

 

【PROFILE】 愛月ひかる(あいづき・ひかる)千葉県市川市出身、8月23日生まれ。2007年に93期として宝塚歌劇団に入団、宙組に配属。二枚目から悪役まで幅広い役を演じ分け、人気男役スターとして活躍。専科を経て星組に組替えとなり、2021年「柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」で宝塚歌劇団を退団。9月には「シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート Dramatic City “夢”」に出演予定。

 

愛月ひかる公式Instagramはこちら!

photograph:MARCO / styling:YOKO IRIE [SIGNO] / hair&make-up:IKUKO SHINDO [tron] / text:ERI KURODA

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37歳、輝く季節が始まる! ファッション、ビューティ、カルチャーや健康など大人の女性の好奇心をくすぐる情報を独自の目線で楽しくお届けします。

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