A. 婦人科系疾患が潜んでいる場合も。まずは婦人科に受診を。日常生活に支障をきたすほど痛みがひどい場合、それは月経困難症と言えます。
この月経困難症には2種類あり、ひとつは子宮や卵巣に異常がないのに生理痛が起こる機能性月経困難症。これは子宮内膜から分泌されるプロスタグラジンという“痛み物質”が増えて、子宮を過剰に収縮させてしまうことが原因。出産前の方で月経量が多い場合、子宮頸部を経血が通るときに痛みが出てしまうこともありますね。
もうひとつは子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の疾患によって痛みが起こる、器質性月経困難症。ただの生理痛だと思っていたら、実は病気が潜んでいたなんて場合もあるので、自分の痛みの原因が何なのかを知ることが大切。生理痛や月経過多などの月経困難症は保険適応なので、まずは一度、婦人科に受診しに来てみてください(宮崎先生)
Q. 生理用品&グッズ選びで迷う。
ナプキン、吸水ショーツ、月経カップetc.
結局どれかいいの?
A. ライフスタイルや月経量に合わせてチョイス。生理用品のバリエが増え、私たちの選択の幅が広がったのはとてもいいこと。でも、それぞれに特性や相性があるため、一概にどれがずば抜けて優れていると言えるわけではありません。
例えば、接客業などで長時間ナプキンを替えにくいという方は月経カップ、今日もしかしたら生理になるかも? なんて日は吸水ショーツが役立ちます。どれかひとつのアイテムに絞らず、その日の気分や月経量などで使い分けることで、憂鬱になりがちな生理日も驚くほど快適になると思いますよ(谷口さん)
A. ピルやミレーナという選択肢も。子宮や卵巣に異常がなく生理痛が辛いなら、我慢せずに鎮痛剤を。それでもなかなかコントロールが難しい場合は、ピルやミレーナがオススメです。
ピルにはエストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンが入っており、このホルモンを外から補うことで、脳にあまりホルモンを分泌しないようにストップをかけます。この結果、排卵に伴う女性ホルモンの変動によって起きる生理痛やPMS、肌荒れなどの症状を安定させ、月経量などを調整できるように。継続して続けることで卵巣がん、子宮体がんなどのリスクを減らすメリットも。
ミレーナは、子宮内に留置しておくT字型の避妊リングのこと。内部に黄体ホルモンの成分が含まれており、装着後にゆっくりと放出されて子宮内膜の増殖をおさえ、月経過多や生理痛を和らげることができます。私自身、ミレーナ歴5年半になりますが、だんだんと月経量も生理痛も軽減し、今はほぼありません。ミレーナは装着すると、5年間は効果があるという、持続性の高さも魅力(もちろん定期検診は必要)。ただし、出産経験のない方は子宮頸管が細く硬い場合もあるので、ミレーナの装着が難しい場合も。ピルもミレーナも、どちらもメリット・デメリットはあるので、自分の体調やライフスタイルに合った方法を医師と相談してみてください(宮崎先生)
A. まずは冷え性改善から。からだが冷えた状態だと、血液の循環が悪くなり、ホルモンバランスを乱すことも。ホルモンバランスが乱れることは、痛みの元となるプロスタグランジンが骨盤内に滞ってしまったり、卵巣機能を低下させてしまったりするので、生理痛や生理不順を招く結果に。
だからこそ、日頃からからだを冷やさない心がけが必要。特に直接デリケートゾーンに触れるナプキンやおりものシートなどは、化学的な吸収剤を使用しているとからだを冷やしてしまうので、なるべくナチュラルな素材のものを。また、コーヒーなどのカフェインを過剰に摂取する習慣があると、交感神経が常に優位に。自律神経のバランスを崩し、血行不良になるので要注意。飲みたい人は、ホットコーヒーを1日午前中までに1杯にとどめたり、チコリやタンポポなどの代用コーヒーの選択肢も視野に入れてみて(菅原さん)
お話を伺ったスペシャリストの方々
宮崎綾子先生
W Femina Clinic院長。日本産婦人科学会 産婦人科専門医・日本女性医学会認定女性ヘルスケア専門医。W Femina Clinic、吹田徳洲会病院産婦人科医勤務。「もっと身近な婦人科」を目指して日本の女性の婦人科との向き合い方の変革を啓蒙。