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フェムテックについてもっと話そう♡
「妊娠・不妊治療」のお悩みにプロが回答!

新しい技術や発想などが取り上げられ、ますます盛り上がりを見せるフェムテック業界。でも、そもそも私たちにとって「フェムテック」とは何だろう? 自分のからだやセクシュアリティと長年付き合ってはいるけれど、一体どのぐらいの理解や知識があるのだろうか。そこで、様々なジャンルのプロフェッショナルな方々に、からだのこと、性のこと、妊娠のことなど、ミューズ世代が気になるギモンをぶつけてみました。 本日は、「妊娠」「不妊治療」をテーマにお届け。答えてくださったのは、リプロダクションクリニック東京院長・竹内 巧先生。これからの未来をもっと快適で、もっと健やかに過ごすためのヒントがきっと見つかるはず! ※回答してくださった竹内先生のプロフィールはこの記事の最後に記載してあります。

Q. 妊娠しやすいからだ作りって
どんなことをするといいの?

A. 規則正しい食生活を。温め過ぎるのも避けて。まずは規則正しい食生活。和食は質素で栄養素が多いと思われますが、糖質が多いのがネック。実は妊活中の人にとって、過剰な糖質摂取はホルモンバランスを乱し、子宮や卵巣の環境を悪くしかねません。とはいえ、極端に糖質を控えるのではなくバランスが大事。低GI値の全粒穀物やオリーブオイル、魚介類や緑黄色野菜を多く摂る地中海食は健康だけでなく、妊活にも効果があるとされています。 また、睡眠不足は卵胞発育にもよくないので、睡眠もしっかり取るように心がけてください。もちろん、からだの冷えは妊活にとって大敵なのですが、実は温め過ぎも厳禁。卵巣内の温度が高いのもよくないので、妊活中であればサウナなどの高温な環境は避けるようにしましょう(竹内先生)

Q. 不妊ってどう判断したらいいんですか?

A. 1年以上避妊をせずとも妊娠しない場合。健康なカップルが1年以上避妊をせずに性交したにも拘わらず、妊娠が成立しない場合、それは不妊症です。最近の調査では、35歳以上では約30%、40歳以上では約60%が不妊症という結果が出ています。数字を見る限り、決して珍しいことではないのですが、不妊症は疾患です。つまり治療が必要な病気。決して年齢だけが不妊の理由ではありませんが、治療するのは早いに越したことはありません。女性側がもし35歳以上であれば、1年と言わず、半年妊娠をしない場合は治療を始めてみるのをオススメします。 2022年からは不妊治療は保険適用になります。年齢制限が設けられる予定ではありますが、今まで不妊治療のハードルを高いと感じていた方は、これがよいきっかけになれば思います(竹内先生)

Q. 今パートナーはいないけど、
将来子どもは欲しいかも……。
卵子凍結について知りたい。

A. 技術が進化し生存率も増加。ただし、ある程度費用はかかります。少しでも若い卵子を残しておきたい、今ではないけど将来子どもを産みたい、悪性腫瘍があり抗がん剤や放射線治療をする。そのような理由で卵子を凍結し出産に備える場合もあります。卵子凍結は、受精卵凍結よりも困難とされてきましたが、近年技術が進化し、ある程度経験&技術のある施設で行えば、卵子の生存率は80~90%といわれています(受精卵の生存数は95~99%程度)。 ただし、妊娠したいタイミングで凍結した卵子を使えばすぐに妊娠する、という単純なものではありません。そもそも精子と受精するとは限らず、35~37歳の1個の卵子あたりの出産率は7.3%。卵子の数があるほどに妊娠率は上がりますが、採卵1回につき病院によって20~50万程度かかり、保管するのも特別な施設で行うため、一年ごとに更新料などの費用がかかります。排卵誘発をしたり、卵巣に針を指して採取をしたりとからだへの負担もないわけではないので、卵子凍結には肉体的&金銭的な覚悟はある程度必要です(竹内先生)

※出典:Fertil Steril 2016;105:459より作成

Q. ぶっちゃけ何歳まで産めますか?

A. 個人差はあるので断言はできません。とはいえ治療するなら早めに! 出産経験のある・なしや体質、環境などによって変わるので、いくつまでに産めるとは個人差があるので断言はできません。 興味深いデータが、日本は体外受精の実施件数が世界2位。しかし日本の性行為頻度は41カ国中、世界最下位という結果。1位のギリシャは年138回、世界平均の年108回に対し、日本は平均年45回と際立って低い。性交と妊娠率の調査においても、週1回の性交で妊娠率が15%に対し、隔日では33%、毎日では37%に上がります。回数が増えることで妊娠率が上がるのは考えれば分かることですが、日本はそもそも性交回数が少な過ぎる。だから、子どもを望んでいてもなかなか妊娠できず、先延ばしにした結果、体外受精に行き着くケースが多いんです。そして晩婚、晩産化が進んでいることもあり、妊娠しづらいと気づく年齢も高いんですよね。 近年では、卵子や受精卵の凍結技術も日本はトップクラスといわれ、体外受精の技術も進化したこともあり、産める年齢が以前より上がっているのは事実。とはいえ、高齢出産は染色体異常や流産のリスクが増えてしまいます。それは自然妊娠、体外受精のどちらも同じこと。だからこそ、妊娠を望むのであればパートナーとの性交回数を増やす、不妊治療をするのであれば早い段階から行うのが賢明です(竹内先生)

日本人は調査された41カ国中、最下位。※出典:Durex Global Sex Survey 2005より作成

日本はかなりの生殖補助医療実施国! 世界2位。※出典:ICMART World Report 2016より作成

Q. 男性が気をつけるべきことってありますか?

A. 不妊原因の割合は男女半々! お互い協力して規則正しい生活を。妊娠治療は女性だけの問題ではなく、パートナーである男性との二人の問題として、協力し合うことが大前提。WHO(世界保健機関)によると、不妊原因の割合においても、男性と女性が半々だとされています。 男性不妊には乏精子症、無精子症、精子無力症、勃起障害などがあり、普段の生活習慣が精子の状態を悪化させてしまう場合も。日頃から精子の状態をよくするために、まず気を付けることは禁煙。そして精巣付近の温度が高い、熱がこもってしまうのはよくないので、サウナに長時間入らない、ノートパソコンを膝にのせない、自転車やバイクに乗り過ぎない、なるべくブリーフよりトランクスをはくことをオススメします。また禁欲し過ぎると精子の動きが鈍り、質も悪化するので禁欲期間は1~2日にとどめましょう。大切なのは女性同様、規則正しい食生活。生まれてくる子どものためにも、まずは自分のからだを労ってください(竹内先生)

お話を伺ったスペシャリストの方

竹内 巧先生
リプロダクションクリニック東京院長。医学部卒業後、産婦人科に入局。以来30年間生殖医療に関わる。一般産婦人科研修後、大学院に入学し、体外受精を研究テーマに博士号を取得。1997年から11年半、世界不妊治療の第一線であるニューヨークのコーネル大学産婦人科生殖医療センターに勤務。2017年、泌尿器科医、産婦人科医が常勤し、最先端の医療を毎日提供できる日本屈指の生殖医療クリニックであるリプロダクション東京の院長に。男性不妊治療にも注力している。

いかがでしたか? 次回は、デリケートゾーンのケア&トレーニングに関するお悩みQ&Aをご紹介します。

illustration:KAORI YOSHIOKA[asterisk-agency] / text:EMI TANIGUCHI

otonaMUSE 2022年2月号より

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