よしひろさん、「昨日なに観た?」
『エルヴィス』
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。
『エルヴィス』
★エルヴィス・プレスリーに明るくない方へ★
おかわりしました、『エルヴィス』。名前と楽曲は知ってるけど、音楽史的にどういう人なのか、また人となりってどんなか、じつはよく知らなかったエルヴィス・プレスリー。だってさー、彼の全盛期って生まれる前だったんだもん。詳しく知ってるわけないじゃん。でも、洋楽はおろか今あるポピュラー音楽の祖、みたいなポジションで、神格化されているじゃない。その謎、この映画を観ると一気に解けるのよね。
まず最初の驚きは、エルヴィスの音楽的ルーツが黒人音楽だったこと。彼がデビューした当時、白人と黒人のカルチャーが全く交わることがなかったのね。でも、彼が生まれ育ったのは主に黒人が居住するエリア。見聞きするものは黒人カルチャーだったの。冒頭、エルヴィス少年が教会のゴスペルでトランス状態になるシーンがあるんだけど、あの瞬間だけでもぶっ飛び。ほら、カルチャーショックを受けたときって、白目ひんむいてしまうことってあるじゃない。まさにアレ。
で、もう一つの驚きが、彼の楽曲のいくつかはオリジナルがあったってこと。黒人シンガーが歌っていた楽曲を、エルヴィスが歌うことでメジャーにしたって、かなりびっくり。それだけでロックだわ~、と思っちゃったのよね。
エルヴィスっていうと、「あぁ、昔東スポで『エルヴィスは生きていた!』みたいな記事読んだわ」って世代の皆さん(楳図かずお先生の『まことちゃん』にもそういうくだりありましたわよね)。そしてロックといえばザ・ビートルズが祖! って思っていた方。白目ひんむくからぜひ観て!
よしひろまさみち
オトナミューズのカルチャーページ編集担当&映画ライター。おバカなコメディからおマジメ社会派まで幅広くカバー。ほんとにおもろいもんしか紹介しません。