よしひろさん、「昨日なに観た?」
『連続ドラマW フェンス』
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ〜。
『連続ドラマW フェンス』
★沖縄以外で生まれた方へ★
すごい。マジですごい! WOWOWの週1オンエアでシリーズ終了前に、WOWOWオンデマンドで全話配信されちゃったもんだから先んじて2周。そしてオンエアも全部オンタイムで観て、さらに録画でも2周。それくらいおかわりしても、まだまだ「こんなところまでこだわって……」というディテールを見つけてしまう、おそらく今年上半期最強のドラマ『連続ドラマW フェンス』。まじですごすぎて、どこから説明すればいいのか全然分からないのよ!
まずすごいのは練りに練られた脚本。あたしが大好きでこれまたおかわり何度したかしれない『罪の声』を手掛けた野木亜紀子さんがオリジナルで勝負したもの。あらすじをググればすぐ分かるんだけど、表面上は沖縄の基地問題、性暴力問題がメイン。でもね、それだけじゃないのよ。沖縄以外の人たちが絶対に知っておかないといけない沖縄の現実と、日本全土に広がるムラ社会の弊害やジェンダーによる格差問題、はたまた日本のご都合主義が招いた限りなくグレーな戦後処理とか……。もうこれでもか! ってくらいに詰め込みまくってるの。しかも、そのどれもがサラっサラ。深堀りしたら何十時間もかかるようなネタだもの、サラッと触れて、それが観終わった後で喉に刺さった魚の骨みたいにイガイガして、問題を可視化してくれるという親切設計なの。
そしてキャスティング。キー役の松岡茉優さん、バディとなる桜役の宮本エリアナさん、どっちもすごいことやってのけとる! もうぶっ飛び。これ、映画だったら映画賞総なめレベル。もちろん共演者も強烈な印象で、あたし個人的には青木崇高さん&佐久本宝さんのズッコケ凸凹警官コンビに胸ズキュン。ラストなんて大泣きさせられたさー!
ということで、WOWOWオンデマンドで一気見。これだけのために加入する価値あるミニシリーズよ!
よしひろまさみち
オトナミューズのカルチャーページ編集担当&映画ライター。おバカなコメディからおマジメ社会派まで幅広くカバー。ほんとにおもろいもんしか紹介しません。